世界征服よりも世界掌握
全戦闘区域をたった1人で完全に支配、それと同時に制圧する。
それがまず最初の僕のコンセプトだ。要するに全戦闘区域を1人で制圧しちゃおうと言う訳だ。
『広域戦闘制圧兵装システム』
それがこの異世界と言う新たな世界には存在しないテクノロジーだ。
簡単に言えば、ロストテクノロジーと言った所だろう。
誰も知りもせず、誰も生み出そうとしなかった脅威的である力。
それに加えて、他の誰も使う事が出来ず、僕にしか使う事の出来ない完全オリジナルの兵装。
『広域戦闘制圧兵装システム』
そう僕は呼んでいる。簡単に事について説明しよう。
この能力を簡単に言うのであれば、単独または単騎での戦闘区域制圧及び敵の殲滅を目的とした能力であり、例えやすい例を挙げるとするのなら全方位に攻撃を行う事が可能とするオールレンジ攻撃の様なモノだ。
それでは、構造と使用用途について説明しよう。
まずこの『広域戦闘制圧兵装システム』は言わば個人の空間認識能力に強く依存する兵装だ。
基本的な使用方法については、多数の複数攻撃端末(別称:飛行砲台)を同時制御し広領にオールレンジ攻撃を無数に展開する様な感じだ。
勿論の事ではあるが、使用者の空間認識能力によって運用する事が前提であり、非常に高い能力を保有しなければ使用は困難を極める。
僕の身に付けてある空間認識能力なんてたかが知れている。だからこそ、思考回路を増幅させた。
僕の貧弱な脳では、こんな兵装を使えば一瞬で過密で大量と言える程の情報に押し潰される羽目になる。
自らの思考回路を増幅させた事で、姿勢制御及び攻撃移動の過密情報を簡単に処理する事が出来る。
そして個々の端末には攻撃用のビーム発射砲、更には多数の推進・姿勢制御用スラスターを備えており、ビーム砲による高い攻撃力と機動力を持つ。
因みにだが、流石にこの世界での近未来兵器の代表格である『ビーム兵器』の普及はまだだったみたいなので、これもまた新たな力を加える事となった。
僕では無理だったので、ミディアの技術力をもって、魔力を粒子に変換してその粒子を攻撃エネルギーに変換して、そのエネルギーを用いてビームを擬似的に再現していると言う………。
ゴメン、何言ってるかちょっと分かんない。
取り敢えずミディアには、
「成程、理解した(理解していない)」
と一丁前にカッコよく言っておいたが、今の所はよく分かっていない。
だって彼女のやっている事はよく分からんのですよ。言っておくけど、これ本心だからね。
他にも攻撃端末の稼働に必要となるエネルギーや推進剤は全て『掌握者の権威』の内部に戻る事で自動的に補給され、すぐさま再行動を起こす事も可能だ。
特殊量子通信と多数のロックオンシステムによって各端末は複数同時コントロールされており、ビーム砲端末による無線誘導で複数への目標に対して全周囲からのオールレンジ攻撃が可能であるなど、チートも甚だしい武装だ。
攻撃端末には全12門のビーム砲を備えた歪と言える程に変形した小型の鳥の翼を象った様な形をした大型タイプが4基。
3門のビーム砲を備えたスクエア形小型タイプ10基。
今の所は『掌握者の権威』の内部に全攻撃端末搭載されており、ビーム砲の総門数78門の攻撃端末を自らの空間認識能力と増幅させた思考を用いて、無線制御する力を秘めている。
そして、最終的には異空間的場所である『掌握者の権威』内へと戻る為、破壊される心配も無い。
更に、攻撃のみを得意としている兵装かもしれないが、一応防御兵装として使用する事も可能だ。
例えば、発射したビーム線同士を接続させてビーム線によるカーテンや網を作る事も可能だ。
ビーム線は触れただけで質量を持った存在や実態がある武器等は焼き切ってしまうと言う破格の性能を所持している。
うん、最早これチートだね。段々それっぽくなってきた様な気がする。
だって考えてみなよ、
全方位から多数のビーム砲を備えた攻撃端末が超高速で襲いかかってくるんだよ。
前からだけではない。後ろ、斜め、横、上、ありとあらゆる方向からの一斉射撃だ。
しかも一発でも命中してしまえば、その体は無惨にも散る事となる。
そして、今僕は現在進行形で各端末を天魔騎士に向けて全射出している。
「ファン○ル、ドラ○ーン、フ○ング、敵を抑えろ…」
皆も聞いた事あるんじゃないだろうか。
何処ぞのニ○ータイプが使っているオールレンジ攻撃の際に言われるヤツだ。
僕は言っておくが、ロボットは大好きだ。だから乗れなくとも、それっぽい武器が使えてご満悦なつもりだ。
「な、何だ!?」
「喜べ、貴様ら等…我が直接手を下すまでもない」
MasterMindは腕を組んだまま、余裕の表情を見せたまま天魔騎士とマッセルを前に立っている。
余裕ながらにニヤリと微笑むその表情は、明らかに天使だろうと異端審問隊の隊長であったとしても、彼らの事を軽蔑するかの様な冷徹な視線だった。
MasterMindは僅かに腕を上に翳し、指をパチンと鳴らした。
刹那、MasterMindの背後から門が現れた。
無限の存在が眠る異空間に繋がる門、掌握者の権威が開かれたのだ。
「い、一体何なんだ」
「囀るなよ……」
「ひ、怯むなぁ!行け!」
愚者の選択だな。今なら、まだ尻尾を巻いて逃げ出してしまえばまだ楽な死に方を選べたかもしれないのに。
まぁ、いいか。もう退屈していた所だった。
阿鼻叫喚の地獄とは、無数に広がるのだ。
例え、天使が羽を生やして飛び立とうとするのなら、僕はそれを自らの力を持って地へと叩き落とす。
刃を向けると言うのなら、その刃をへし折るだけだ。
黒幕たる僕に楯突く者、それは万死に値する。
「………な、何だと!?」
一瞬だった。目には捉えられる速度では無かった。
最早、刹那の決着よりも圧倒的な速度で決着は着いていた。
異界を繋ぐ門から、ほんの僅かな時間だけ、多数の各攻撃端末が出現すると同時に、一斉に全方位からの射撃を仕掛けたのだ。
門から現れた総門数78門ものビーム砲が同時に、天魔騎士達へと襲いかかってきた。
全門から、何の躊躇もなく発射されたビーム線は全ての天魔騎士の美しくも頑丈そうな騎士風の装甲を意図も簡単に貫いていた。
見た目は、魔法も剣も通らなさそうな頑丈そうな作りに見えるが、MasterMindの放ったビーム砲の前では無力に等しかった。
まるで紙に穴を空ける程度の感覚だ。
そして、天魔騎士もそれを従えるマッセルすらもこの攻撃の存在には一切気が付いていなかった。
何も分からぬまま、そして何も知らぬまま天魔騎士は無数のビーム砲によって、無惨にも撃ち落とされていたのだった。
何も知らなかったんだよ、気が付けば翼を焼かれ、朽ち果て、無惨にも奪われた。
そして全身に穴と言う穴を開けられ、息絶えて絶命し、落下していく鳥の様にして全ての天魔騎士は地上へと堕ちた。
マッセルはその光景を目の前で目の当たりにした。
無論、その表情は完全な絶望へと切り替わっていた。
天魔騎士を召喚した所辺りまでは、まだ強気な表情ではあった。
しかし今となれば、彼の表情はまるでこの世の全ての闇を同時に見せつけられたかの様な強い恐怖と絶望を覚えたかの様な表情であった。
しかし、無理もない。
絶対にマッセルは勝てると思っていたのだろう。確かに、天魔騎士は天族の中でも中位ぐらいの地位に立っている存在だ。
普通の人から見れば、悪しき存在から信仰する者を守る騎士の様な存在だ。
だが、その悪しき者を撃破しようとしているのに悪しき者に無惨に殺されたのだ。
人々を守る騎士が、悪しき者によって手も足も出ずに撃破される。
そんな展開、非力な人間からすれば絶望そのモノであった。
そしてまた、マッセルもその1人だった。彼も恐れ慄いていた。
自分では撃破出来ないと感じて呼び出した多数の天魔騎士は一瞬にして、まるで赤子の手をひねるかの如く始末された。
「これは、地獄か……?それとも……戦争の再来だと言うのか?」
遂に狂ってしまったのか、マッセルは意味の分からない事を言い出した。
僕にとっては完全に意味の分からない事だが。
この世は地獄。
戦争の再来。
全てにおいて完全に間違っている。
この世界は地獄ではない。
そして戦争がまた起こった訳でも無い。
MasterMindは口元で嗤いを見せながら、静かな足取りで、腰を抜かして尻もちを着いてしまっているマッセルの元へとゆっくりと歩み寄る。
歩み寄る最中、自分よりも大きな天魔騎士の遺体を踏み荒らしながらMasterMindはマッセルに言葉を投げていた。
「や、やめろ!来るなぁ!」
「This does not mean that the world has turned into hell, or that the past has been reawakened…(訳:これは世が地獄に変貌した訳でも、過去が再び呼び覚まされた訳でも無い…)」
「な、何を言っているんだ!?」
「The outbreak of war…(訳:開戦の勃発さ…)」
そうだ、これはこの世界が地獄に変貌した訳でも過去の復活でもない。
新たなる戦争の開戦が奏でる序曲に過ぎないのだよ。
こんな恐怖、まだ恐怖とすらも呼べない程だ。
本当の恐怖と絶望は、これから起こる。
「何が目的なんだ、お前達は!?世界征服か!?」
世界征服、それもまた面白いかもしれない。
MasterMindは彼の言葉を受け取ると、軽く深みを込めて笑う。
しかし、彼の目的は世界征服ではなかった。
「そうだな、世界征服なんて事も面白いかも知れない…………だが、我々の目的は……」
「世界そのモノの掌握だ…」
さて、もう飽きた。終幕とするか。これ以上下衆の命乞いに耳を貸すのもアホらしい。
「それじゃ、さっさと散ってくれ」
「ま、待ってくれ!話を……」
弱者と下衆と愚民と愚者と雑種の話なんて聞くに絶えない。
なので、僕はさっさと手にしたハンドガンで奴の事を始末する。
躊躇いなく引き金を引いた事で、銃口からは一発の鉛弾が容赦なく放たれた。
腰を抜かしていたマッセルは、その弾丸を避けられる事もなく、眉間を正確に撃ち抜かれたのだった。
正確無比な一発の射撃はマッセルの命を完全に途絶えさせたのだった。
額にはポッカリと穴が空いた。
頭部から血を吹きながら、崩れる様にしてマッセルは後ろに倒れ込んだのだった。
「よし、帰るか……」
後始末等、知った事か。面倒臭いし、別に僕が犯人として特定される要素は一切存在しない。
僕は月明かりが照らす中、素早い鼠みたいにスタコラサッサと逃げました。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
まぁ、そう言う訳でして、暇潰し兼力試しの為に行った異端審問隊襲撃作戦は無事に成功を収める事となった。
結果的にあの作成は、かなり大々的に表沙汰で取り上げられる事となった。
神に仇なす者を取り締まる異端審問隊が、意図も簡単に全員撃破され、しかも隊長であったマッセルや呼び出した天魔騎士達も全員仲良く屍にされてしまったのだ。
かなり大々的に取り上げるのも無理はないのかもしれない。
回ってきた新聞の記事にはデカデカとこの情報について記されていた。
誰が異端審問隊をボコボコにしたのか、だとか。
犯人は組織的なのかそれとも個人の仕業か、だとか。
天魔騎士の撃破による天族への信頼低下、だとか。
色々であり、様々だった。
あ、言っておくけど誰も僕達が犯人なんて思ってないからね。
まずもって僕がやったなんて証拠は一切存在しない。
それに他の異端審問隊の皆様だって、こんな貴族生まれのまだ小さい僕が異端審問隊の人達をボコボコにしましたなんて最初っから思わないだろ普通。
その証拠に、疑いは僕どころかこの家にすら掛かっていない。
それに共謀犯であるヴェイザーや雪兄ぃ達の存在は世間には完全に隠匿されているから、余計にバレない結果となった。
はい完璧、僕ちゃんの勝ちって事にしてくれ。
◇◇
さて、今日は素晴らしい日だと僕は思っている。
今回の一幕は結果として大勝利、こちら側には被害は全く無しと言う、清々しい程の大勝利だ。
まぁ最初から負ける気なんて一切していなかったが。
そして、まだ実力不鮮明だった僕は今強い自信に満ち溢れている。
前までは、妄想とシュミレーション内や模擬戦でしか実力を発揮する事が出来なかった。
しかし、今回の戦闘で異端審問隊に加えて、天族である天魔騎士までもを撃破したのだ。
掌握者としての新たな一歩だ。掌握者っぽいムーブも上手い事イかせてたし、カッコよく英語で話す事も出来た。
まぁあの英語は殆どアドリブではあるのだが……。
今の所は、向かう所敵なし。
と言わせてもらいたい。この先、この言葉が使えるとはあまり思えないが。
理由は明白だ。僕の年齢は現在13歳。
後2年、言わば高校生になると同時に、僕は割と異世界系ではありがちな王都にある『魔法学校』に通う事になっている。
勿論だが、王都はこんな片田舎の貴族の世界とはまるで違う。
この世に存在している中で特に大きく、多くの権力者や多くの著名人が集う巨大都市の一角である『王都:ジブラルタル』に、2年後に僕は向かうのだ。
人口の数だって、そして実力者の数だって計り知れない。
恐らく、我々よりも高い実力を持つ者も存在しているに違いないだろう。
更なる強者に対して、胸が高鳴ると同時に、更に力を身に付けなければならないと言う渇望に駆られる。
一応、王都に赴くのは表向きでは僕だけになっているが実際はCRISISのメンバー全員が、それぞれ王都に潜伏する事になっている。
のだが、既に雪貞と紫苑は何故か2人揃って仲良く行方を晦ましているし、ミディアに至ってはもう王都に出向いていると言う。
本当にこのチームは団結力が無いんだよなぁ。
まぁ、自由奔放スタイルにしたのは僕だ。
それに彼らにも何か事情があるのかもしれない。あまり深入りはしないでおこう。
◇◇
いや、後2年どうしよう。
ぶっちゃけ暇潰しに人殺すのも正直な話、飽きてきてるし。
普通に暇だ。
ヴェイザーとチェス勝負するのも一つの手だが、最近は目のやり場に困っている。
だって、彼女歳を重ねる度にどんどん乳がデカくなっている様な気がする。
現在もまだ16歳であるにも関わらず、かなりの大きさを誇っている。
言わせてもらうが、僕だって男だ。掌握者とは言っても、興奮してしまう事だって多々ある。
深入りしたくもなってしまうが、そこのラインは厳しく引かなければならないと感じている。
一応、他の暇潰し方法としてジャックにお話をしてあげたり、たまに帰ってくる雪貞や紫苑と組手をする、ヴェイザーとチェス又は将棋等をする、がある。
取り敢えず、2年後までスキップしよう。




