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第3話 二度目の恋

 私が通う小学校の名前は『青葉第六小学校』


 これから六年間、お世話になる小学校……

 というか、またもう一度、やり直しをしなくちゃいけなくなった小学校。


 一から友達も作り直しなんだなぁ……


 でも皆の性格は分かっているから、こちらから色々と話しかけやすいし、前よりも早く友達になれるかもしれないわね。


 そう考えると何だかとても楽しみだわ。


 しかし一つだけ問題がある事に気付いてしまった。


 それに気づいた時、私は凄く驚いた。

 何を驚いたのかといえば、私……


 今まで習った授業の内容を全て忘れてしまっているのよ!!

 漢字や英語だけとかじゃなくて、算数もひらがなも何もかも忘れてしまっている。


 普通は『夢』って自分に都合のいい内容になるんじゃないの?


 それなのに何故、『この夢の中』では今まで学校で習ってきたことが全て消えてしまったのだろう……?


「不思議だわ……」


 っていうか、あれから二週間……私、全然『夢』から覚めないんだけどいいのかな? まぁ、何がいいのかどうかはよく分からないけど……


 とりあえず私はこの『夢』が覚めるまでは『小学生』を必死で演じようと思っている。


 できれば『あの子』に会って……『想いを伝える』ところまでは『この夢』を見ていたいなぁ……


 

 【入学式の日】


 いよいよ『入学式』の日がやって来た。

 今、私は体育館の中で椅子にちょこんと座り『入学式』が始まるのを待っている。


 私は『一年二組』で出席番号は女子で一番……

 体育館での私の座席は一番端で横は通路になっている。


 やっぱり『夢の中』でも前と同じクラスなのね?

 出席番号も同じかぁ……


 そう言えば『あの子』も出席番号は男子で一番じゃなかったかな?

 まぁ、クラスは違うけどさ……


 でもさ、せっかく『夢の中』なんだからクラスくらい『あの子』と一緒にしてくれてもいいと思うんだけどなぁ……


 ただ、そんな事よりも……


 私は周りをキョロキョロしてしまい、保護者席に座っているお母さんと目が合うたびに『前を向いていなさい』と言っている様なジェスチャーをお母さんはしている。


 私が周りをキョロキョロしているのは、落ち着きのない子では無く、また別に緊張しているからでもなく……少し戸惑っているからというのが正しいかもしれない……


 まさか二度目の『入学式』を経験するなんて……という思いで戸惑っているのでは無く、同級生全員の顔が本当に『小学一年生』の顔に見えている事に戸惑っている。


 今、私……変な事を言っている様な気がしたけど……いや、おかしいかな?


 でも、そうなのよ。

 皆、幼く見えてしまうの。


 当たり前の事なんだろうけど、前に私が『小学一年生』だった頃はそんな感覚は無かったと思う。そりゃぁ大人っぽい顔をした子や、逆に凄く幼い顔をした子もいたけど、今の私の感覚はそんなレベルじゃない……


 中学三年生の周りに小一の子達がうじゃうじゃいる感覚……


 『この子達』には申し訳ないけど、どうしても私はそんな感覚になってしまう。


「はぁ……」


 こんな状況で『あの子』に会って……凄く幼く見える『あの子』に会って……私、ちゃんと……彼にトキメクのかしら……?


 私が『本当の小学生』だったら、きっとトキメクのだろうけど、『本当の私』は十五歳……やはり無理があるのかなぁ……


 『この子達』と八つも歳が離れている中身が十五歳の私だから、皆の姿が幼く見えても仕方の無いことなんだけど……油断しちゃうと私……『この子達』に対して上目線でお話をしてしまう可能性もあるよね? これは今後、気をつけないといけないわ。じゃないと十五歳の私が六歳や七歳の子達にイジメられるかもしれない……


 それって、とても情けない気持ちになってしまうわ。本当に気をつけなきゃ……



 そんなアレコレと考えている私の右肩に通路を歩いている児童がぶつかってきた。


 ドンッ


「いたっ!!」


「あっ、ゴメン!!」


 私は右肩をさすりながらぶつかってきた相手の顔を見て驚いた。


「あっ!! い……五十鈴君……」


「ああ、石田だったんだ? ゴメンなぁ……ワザとぶつかった訳じゃ無いから許して欲しいんだけど……っていうか、右肩大丈夫? 痛くない?」


私は驚きのあまり今の気持ちが少しだけ声に出てしまう。


「な、何で……?」


「えっ? 何でって何が? ああ、だからワザとぶつかった訳じゃ無くてさぁ……」


「ちっ、違うの!! 何で五十鈴君が私の名前を知っているの?」



 そう、彼とは同じ幼稚園で同じクラスだったけど、引っ込み思案の彼は誰とも馴染めていなかった。特に私達、女子とは目すら合わせる事ができなかったくらいなのに……


 それなのに……


「なっ、何でって言われても……幼稚園で同じクラスだったしさぁ……あっ!! こ、こう見えて俺は名前を覚えるのは得意なんだよ……だから石田の名前も覚えてるというか……それに『卒園アルバム』にみんなの名前も書いていただろ? 俺、昨日の夜も見てたしさ……ハ、ハハハハ……」


 な……何なの……?


 あの五十鈴君が私の名前を知っていたってことなんてどうでもいい……


 何で小学生になったばかりの子が漢字で書かれている名前が読めるのかなんてどうでもいい……


 幼稚園の時の五十鈴君は自分のことを『僕』って言っていたはずだけど、小一になったらいきなり『俺』に変わっているのも少しは気になるけどどうでもいい……


 見た目は幼いのに……何故だか十五歳の私よりも『大人』な感じがするのは何故?


 さっきからみんなが幼く見えて仕方が無いやらアレコレと思っていたけど、訂正させてもらうわ。


 五十鈴君、カッコイイ……


 小学一年生なのに凄くカッコイイ……


 私は二度目の入学式の日、彼に二度目の恋をした。

お読みいただきありがとうございました。


いかがでしたでしょうか?

またコメント頂けると嬉しいです。


二度目の恋をした浩美

果たしてこれからの二人はどうなっていく・


どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆

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