第11(9.5)話 お母さん
すいません! 投稿し忘れてた10話です!
~~ブラックサイド~~
ギルドマスターとやらを無事に治した私とアニキ。正確には私の手で治した。正直、この町でそんなことをする義理は無かったんだけど、面倒ごとに巻き込まれそうだったから対策に出たのだ。
面倒といってもブ男が一方的に絡んできたからアニキと私がそれを撃退したんだけど、領主だの貴族だのが後ろ盾だと言うので面倒見切れないから対等な立場の人に押し付けようと思った。それがこの町のギルドマスター。彼女が復帰すれば、この町における私達に敵対する者は行動できないだろう。
……行動しても倒せばいいけどね。
「ん? ルル、どうした?」
「ルルちゃん?」
そんなことを考えている時に、ルルちゃんが緊張して私達を見ている。どうしたのかな?
「あ、あの……お兄さんとお姉さんにお願いがあります!」
「「?」」
私達にお願い? あ、そういえば……
「私のお母さんも助けてください!」
「「!」」
そうだった、忘れてた、確かこの子のお母さんも病気に罹ってたんだった。あの時はこんなに重い病気とは思っていなかったから、軽く受け流しちゃったけど、さっきのギルドマスターの様子を考えると急いだほうがいいわね。
「相棒!」
「ええ、急ぎましょう! ルルちゃん案内して!」
「お母さんを助けてくれるんですね!」
「「もちろん!」」
助けないはずがない。ここまで関わった身であり、迷子の私達を町まで案内してくれた恩もあるんだもの。それ以上に、母親のために命を懸けて森に入るような勇敢な子を放っておけるはずがない! 私にできなかったことができる子なんだもの!
「鑑定魔法・ボディースキャン!」
ルルちゃんの家に着いた私達は早速ルルちゃんのお母さんを診てみた。見るからに顔色が悪く、さっき見た人よりも痩せていることが目に見えて分かる。これは……。
「どうだ、ミエダ」
「……マズいわね、ギルドマスターの時より状態が悪い」
「そんな! お母さん!」
そうなのだ。これはかなり危険な状態、ギルドマスターにやった治療では完全には治せない。病気を取り除いても、この体ではマズい! ならば……
「アニキ、回復魔法を使って!」
「何?」
「最初に体力のほうを回復させるの!」
「よし、分かった! ハイヒール!」
「こっちも、エクストラヒール!」
「わわ、まずし……!」
「う、うう……」
「お母さん……!?」
上級回復魔法を二種類掛ける。これぐらいすれば体力が全快するはず。その証拠に母親の意識も戻りかけている。後は病気の根元を断つ!
「拒絶魔法・ウイルスデリート!」
ギルドマスターよりも状態が悪いから先ほどよりも魔力が必要になるけど問題ない。魔力光も派手に輝く。
「うわ、まぶしっ……」
まぶしく映るのは仕方ないから、もう少し我慢してね。必ずうまくいくから。
「うう……ルル?」
「お母さん!?」
「起きた! ってことは!」
「治ったのよ、完ぺきにね」
「う、うわああああん!」
「ちょ、ルル? どうしたの?」
ルルちゃんは大喜びで泣きながら母親に抱き着いた。
「なるほど、そのようなことがあったのですね……」
「そうなんだよ、お母さん」
「「そういうこと」」
ルルちゃんの母『ラレル・タスケ』さんは事情を知って深々と頭を下げた。
「ああ、なんとお礼を言ったらいいのか分かりませんが、本当にありがとうございました。ルルが……いいえ、私たち親子が大変お世話になってしまって申し訳がありません。こんな状態でおもてなしもできず……」
「何を言ってるんですか、ルルは道に迷った俺達を村まで導いてくれた恩人なんですよ。最初に世話になったのは俺達のほうなんです」
「その通りよ、お礼なんてとんでもない。当然のことをしただけよ。可愛くて勇敢な女の子が困ってるなら放っておくわけにはいかないわ」
「……!」
「お兄さんお姉さん……!」
ふふふ、親子そろって感激してくれてる。自分のしたことが誇らしく思えるのって気持ちいいいわ。もっとも、アニキの言う通り恩人に尽くしただけだけどね。
「さてと、もうこんな時間だから宿で予約取らないとな」
「あら? もうそんな時間なのね? 今度は宿に案内してもらわないとね」
「そんな、助けていただいたのに……せめて我が家に泊まりませんか? 小さな家ですが何かおもてなしを……」
「そんなわけにはいきません。治ったばかりの体で客人のもてなしなんてきついでしょう。本当に宿の場所を教えてもらうだけでいいですよ」
ラレルさんは申し訳なさそうに言うけど、遠慮させていただく。……悪いけど、小さな家で家族二人で暮らしてると裕福でないことが分かってしまう。流石にそんな家でやっかいになるわけにはいかない。アニキも同じ考えだしね。




