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第10話 仕事だ仕事だ!

 ~~ホワイトサイド~~


 ギルドマスターと呼ばれる人が起き上がった。どうやらうまくいったようだ、当然だがな。


「「「ニナールさ~~~~ん!!」」」


「わっ!? ちょ、何々? 何なんだい? みんなして涙目になんかなっちゃってさ」


 職員皆が一斉にギルドマスターに抱き着いてきた。おいおい、ギルドマスターは女性だぞ? 男性職員まで抱き着いたら張り倒されるんじゃないか?


「よかった! 本当に良かった!」

「心配してたんですよ~」

「う、うわああ~ん!」


「やれやれ、あんたたちは……しょうがないねえ」


「マスターさん、良かった……!」


 おお? 仕方なさそうに苦笑してるだけ? 結構優しいようだな。体は弱ってるみたいだが、ただものならぬ感じはするのに。ルルも目に涙を浮かべてる様子だとかなり慕われてたようだな。


「それにしても、私は治ったのかい? ついさっきまで悪化したっていわれてたから寝てたんだけど?」


「ああ、そうみたいだったけど」

「私が治したのよ」


「え?」


 この辺で事情を話してもいいだろう。いいタイミングだしな。





 とりあえず、事情を聞いてもらった。テメジハの町のギルドマスター・『ニナール・タヨッリ』さんは理解が早かったようだ。仕方なさそうにため息をついた。


「はぁ、そんなことになってたんだね。今の領主とあの馬鹿も面倒なことを起こしてくれるよ全く……」


「申し訳ありません、ニナールさん。私達にもっと強い力があれば……」


「あんたらの強い弱いの問題じゃないよ。気にすんな!」


「「「はい……」」」


 しっかりした人みたいで良かった。ギルドマスターっていうのは人と地域にもよるが、領主をやってる貴族と対等に扱われる場合が多いと聞く。さっき確認したところ、この町もそんな感じだという。これからは町はいい方向に変わっていくだろう。何しろ、これから病気の問題が解決していくんだからな。


「ゼクトとミエダでよかったかな。あんたたちは私の命の恩人だ。心から感謝するよ、本当にありがとう」


「いやあ、俺はそんな……。全部、相棒のおかげですよ」

「何言ってんのよアニキ。ルルちゃんを助けたり、あのブ男の手下を倒したのは誰でしたっけ」

「それは俺でした!」

「そうでしょ、堂々としてよ!」


 ……大男を倒したり病気を治した相棒に比べれば、大したこと無さそうな気もするがまあ割も頷いてくれている。嬉しい限りだ。


「それはすごいじゃない! その子を助けてくれたことは感謝することだし、あいつらも数が多くて並みの冒険者だとてこずるだろうに、その若さで成し遂げるとは将来が楽しみだね!」


「「いやあいやあ、それほどでも!」」


 ギルドマスターに褒められるのは嬉しい。示し合わせてもいないのに相棒と声が重なる。セリフも同じとは、お互いにいい影響を与え合ってる証拠だろうか?

 

「それじゃ、病気も治ったし早速仕事を再開しないとな」


「「「え!?」」」


「「え?」」


「ええ!?」


 俺たちみんな驚いた! 治ったばかりなのに仕事に行くとか、何言ってんだこの人!? 仕事熱心なのはいいけど、今すぐ仕事行きはおかしいだろ! せめて病気に費やした体を回復させないと……。


「何を言ってるんですか!」

「そうですよ、治ったばかりなのに!」

「最低でも今日一日休んでください!」


「馬鹿言っちゃいけないよ。ギルドマスターはとても重要な役職だ。それを一週間以上休んでしまった遅れを取り戻さないとマズいだろ。病気に使っちまった体力何てすぐに……」


「いいえ、今すぐ取り戻すわ」


 そういうわけで、ここでも相棒の出番だ!


「ヒール!」


「え? お、おおお! 力がみなぎっていくし、体が軽くなっていく!」


「ニナールさんの顔色が一気によくなった!」

「痩せてた体も健康的に引き締まっていく!」

「しかも、お肌がツヤツヤして……うらやましい!」


 流石だな。これなら働きに出ても誰も文句は言えまい。ていうか、最後のほうはどうなんだ?


「おっほぉ……! これならバリバリ仕事できるよ! お嬢さん、いい仕事してくれるよ。本当にありがとうな!」


「いえいえ」


「あんたたちもこれなら文句ないだろ! さあ、仕事だ仕事だ!」


「「「はい!」」」


 ニナールさんはベッドから飛び起きてその姿のままギルドに戻ろうとした。すごい熱血ぶりだが、いくら何でもそのままの服装でいいはずがない。ということで俺達と男性職員とルルは外で待機した。


「ありがとう二人とも、本当にニナールさんを治してくれるなんて! 正直私は君たちのことを疑っていたんだ、すまなかった」


「気にしてないですよ、よそ者をすぐに信用するのは得策じゃない」

「……アニキがそういうなら私も気にしない」


 ……え? そういう言い方だと、もしも俺が気にしていたらミエダは何かしてたってこと?


「君たち……!」


 男性職員が感動すらしている。大したことではないと思うのだが……。ん? ルルが緊張した顔でこっちを見ているが……?


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