5話
○チュートリアルルーム 草原
「へー、何でさ?さっきも言ったけど今のままじゃ次は確実に死ぬよ」
ディルクは数分前までの陽気な感じはなく、苛立ちのようなものを少しその声から感じる。
「俺は自分のことは自分で決めるたちでな、あまり人の尺度ではかられたくはないんだ」
そう言いながら俺は目の前に浮いているディルクに少し近寄って話す。
「高性能AIだか何だかわからんが、お前の中の俺で俺のことを決めるな」
そう言って指差しながらディルクを睨む。
そのまま、数十秒間睨み続けるとディルクが笑い出した。
「あっあははははっ!はははっ!やっぱり面白いよ、おにーさん」
「は?」
まさかの反応に、俺が何も言えず驚いてその場に立ち尽くしていると、笑っていたディルクが喋り出す。
「いやー、おにーさんなら断ると思ってたけど、まさかこんな断られ方するとはね」
「まるで、俺が断ると思ってたみたいだな」
「そうだね、おにーさんなら断ってくれると思ってたよ」
ディルクは、さっきまでの険悪な感じは全くなく逆にまたニカっとした笑顔でそう言う。
なんかディルクの思い通りになっているようで少し嫌だが、グダグダ言っていてもしょうがないのでそのままディルクの話を聞く。
「そんな顔しないでおくれよ、それだけおにーさんのことを信用してるってことさ」
「会ってたかだか数十分の俺をか?」
「あぁ、そうさ僕はおにーさんのことを信用してるんだ」
そう言ってまたニカッと笑う。
その笑顔を見ていると自然と苛立ちが治まってくる。
「はぁ、わかった、そう言うことにしておこう」
「むー、しぶしぶって感じだねー」
そんなに信用できないかなーなどと言いながら頬を膨らませる。
「まぁいいや、とにかくこのままじゃおにーさん死んじゃうだろうしここは、僕からのお詫びも兼ねて少しプレゼントをあげよう!」
そう言って俺に向かってディルクが手をかざすと俺の体が光り出しレベルアップのアナウンスが聞こえる。
それを聞いてすかさずメニューから自分のステータスを確認する。
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名前:ロイド LV.5
職業:盗賊 LV.10
種族:人間
性別:男
HP 100
MP 100
STR 11 →20
VIT 10
INT 10
MIND 10
AGI 30 →48
DEX 18 →36
LUK 10
SP:80
称号
なし
スキル
・心得
【盗賊の心得 LV.1】
・戦闘
【短剣術 LV.1】【体術 LV.1】
・識別 隠蔽
【識別 LV.1】【隠蔽 Lv.1】new
・生産
【調薬 LV.1】
・強化
【敏捷強化 LV.1】【器用強化 LV.1】
・技術
【跳躍 LV.1】【歩行術 LV.1】【回避 LV.1】new
・耐性
【麻痺耐性 LV.1】【睡眠耐性 LV.1】
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俺が、レベルアップによって変化したステータスを見つめているとディルクがおもむろに話し出す。
「それはさっきまでの戦闘で得た経験値をプレイヤーレベルと、職業レベルの分だけ振り分けた結果だよー。本来ならチュートリアルが終わった後に振り分けられるものなんだけど、今回は特別だよ」
感謝してくれよーと言いながらドヤ顔でむねをはっているディルクを横目にステータスポイントを振り分ける。
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名前:ロイド LV.5
職業:盗賊 LV.10
種族:人間
性別:男
HP 100
MP 100
STR 20
VIT 10
INT 10
MIND 10
AGI 48 →100
DEX 36 →54
LUK 10
称号
なし
スキル
・心得
【盗賊の心得 LV.1】
・戦闘
【短剣術 LV.1】【体術 LV.1】
・識別 隠蔽
【識別 LV.1】【隠蔽 Lv.1】
・生産
【調薬 LV.1】
・強化
【敏捷強化 LV.1】【器用強化 LV.1】
・技術
【跳躍 LV.1】【歩行術 LV.1】【回避 LV.1】
・耐性
【麻痺耐性 LV.1】【睡眠耐性 LV.1】
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AGI に52、DEXに18振り分けて、再度ステータスを確認する。
確認を終わると、いつの間にか増えている
【隠蔽】と【回避】についてディルクに聞く、
「何でスキル欄に【隠蔽】と【回避】が増えているんだ?」
「ん?あー、それは職業レベルのレベルアップで手に入れたものだよ」
「職業のレベルアップでもスキルは手に入るのか?」
「そうだよ、今のおにーさんみたいなゲーム開始時の初期職業の事を下級職、次に中級職、その上に上級職、さらに上に覚醒職があるんだ。中でも覚醒職は一つの職業につき一人しかつけないからゲーム内でも覚醒職の人は全然いないんだよ」
そう言って俺に向けて職業についてディルクは説明する。
「まぁ、今回は下級職で説明すると、職業レベル5毎に恩恵としてスキルが貰えるようになっているんだよ」
「要するに、今俺は職業レベルが10になったからスキルを二つ手に入れたって事だな?」
「うんっ!そう言うことさ!」
そう笑顔で相槌を打つとディルクは本命の話をしだす。
「さぁ、一応確認が終わったと言うことで次の、いや最後の敵についての話だね」
そう言ってディルクが話し出す。