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14話




○冒険者ギルド


仲間たちが待っているテーブルに行くとすでに登録し終わったのかゲルドも座っていた。


「がはははは!お前が最後だなぁ、ロイドぉ!」

「お前もさっき来たところだろうが、それにしても遅かったな」


ゲルドにツッコミを入れつつ、こちらに話しかけてきた腰まで伸びた灰色でベースが暗めのグラデーションのかかった髪の犬耳青年ししゃも。


「私たちを何時間も待たせるとは、いいご身分やねー。二人ともなんばしよったと?」


そう俺とゲルドに笑顔で聞いてくる赤髪ロングの女エルフましゅまろ。


「噴水前結構集まってましたけど。よく見つけましたねアーサー」


黒髪で落ち着いた雰囲気の細マッチョな優男

エド。


ちなみにししゃもとましゅまろは姉弟だ。


なんでししゃもは訛ってないのか飲みに行った時聞いたことがあるが、「田舎もんに見られるけんゲーム中は標準語ば喋りよる」だそうです。


だが咄嗟の時だったり、興奮すると訛ってしまう時がある。


他にもあと二人いるが今日のところは予定が合わなかったようだ。


「ああ、というかみんなロイドを見に来ていたみたいだからね」

「そうなん?」


アーサーのそんな一言にましゅまろが俺に返答を求めてくる。


「レベルアップエフェクトが思いの外長く続いたんだ。数十秒間光ったままだったな。」

「ブッ!」

「うわっ!ししゃも汚かやん!」


光っていた俺を想像したのだろう。


ししゃもは口に含んでいた飲み物を吹き出してしまう。


正面に座っていたましゅまろから抗議の声が上がる。


「あっはっはっは!噴水前でロイドが光っとるの想像してしまったやん!ばりシュールすぎる!」

「がはははは!確かに面白いなぁ!」

「ししゃも訛ってるよ。そんなに笑わなくても…ふふっ…ロイドがかわいそうだろ」


そう思うなら笑うなよアーサー……。


「ははは…。このゲームでバグとは…。ロイド、ドンマイです」


俺の言葉を勘違いしたエドが慰めの言葉をかけてくる。


いや、そう言うわけじゃなくて……。


「普通にレベルが一気に上がったんだが……。」

「えっ?バグじゃないんですか?」


俺の言葉を聞いたエドが聞き返してくる。


それに対して、俺がチュートリアルであったことを話して、メニューから俺のステータスを見せる。


仲間たちは5人とも俺のステータスを覗き込むようにしてみる。


「は!?レベル56ぅ!!」

「と言うかなんなん、この称号!【歴戦討伐者】って、絶対初心者で取れるもんじゃなかやん!」


完全に訛ってしまってるししゃもとましゅまろ。


「職業レベルに関してはカンストしてしまってますし、スキルの方も知らないものがありますね。というか、ステータスの偏り方がすごいですねぇ。AGIに関しては660ですよ」

「加護ってのも気になるけど…確かに完全にAGI特化だね。職業も盗賊だし次なるとしたら…STR上げるためにも前衛職かな?」


こちらの2人に関してはなんか話し合いが始まっている始末。


「加護に関しては[識別]弾かれたからあまりわからんが、確認できた限りではAGIの10%上昇だったはずだぞ」

「へー、10%も上がるんですか。良いですねわたしも欲しいな加護」


そんなことを言っているエド。


「おお?なんかロイドめちゃくちゃレベルが高いなぁ」


……うん、なんと言うかゲルドらしい反応だ。


ここまで反応されると普通はどんなものなのかが気になってくる。


ギルドカードを交換しながら仲間たちに聞いてみると、


「普通に装備貰って、うさぎ倒したらアイテム採取をして終わりだったな」

「僕はオオカミだったねぇ。まぁロイドが戦ったやつみたいなのじゃなくて普通のやつだけど」

「わたしもオオカミでしたよ。普通のですけど。」

「私はロイドと同じでスライムやったよ〜」

「がははは!オレはニワトリだったぞ!」

「「「「「なんでニワトリ!?」」」」」


ゲルドのまさかのニワトリに全員が驚く。


というかアーサーとエドなんだよ"普通の"って、まるで人が戦ったのが普通じゃないみたいな言い方じゃないか。


「ニワトリについても気になるところだけど…聞いた感じ職業によって変わってくるんじゃないかな」

「そういえば、みんなは何を選んだんだ?」


他の仲間たちの職業について尋ねる。


「僕は見ての通り槍使いだよ主武器は槍だね」


そう言って背中の槍を見せるアーサー。


「オレは戦士だぜ。武器はメイスだ!」


腰にかけたメイスを手に取る。


というかメイスでニワトリ倒したのか結構えげつないな。


「わたしは兵士ですね。武器はロングソードです」


彼も背中にかけた剣を見せてくる。


なんか少し雲行きがあやしいな。


「俺は傭兵で、武器が斧だ」


斧を手にとって振って見せる。


「私は商人ば選んだよ〜、武器は短剣ばい」


そう言って短剣を振るうましゅまろ。


「まさかの全員物理……。しかも全員遠距離武器なし」


そう言ってうなだれる俺。


「うわー……。協調性が皆無やね」

「魔法職を誰もとってないとは…うん、なんとも僕ららしいバランスの悪いパーティーだね!」


元気よく言われても……。


結局俺が今から神殿に行って職業を変えてくることになったので、ギルドを出て神殿に向かう。


「じゃあ、門前で待ってるから変なのに首を突っ込まないように、あと、あやしい人について行ったらダメだからね」

「俺をなんだと思ってるんだ!」


そう言って仲間たちと別れる。



○神殿



ギルドを出て右手に曲がり大通りをまっすぐ進み噴水広場に戻る。


そこから今度は左側に進むと、ヨーロッパを思わせるような建物が並ぶ中、その奥に一際目立つ大きな白い建物である神殿が存在する。


「結構でかいな」


さっきまでいた冒険者ギルドも十分に大きかったが、この神殿はそのギルドが四つは簡単に立ちそうなほどに広い敷地を持っている。


手前に転職をすることができる教会があり、その奥に神々を祀っている祈りの間があるようだ。


神殿の敷地内に入るとアナウンスの音声が流れる。


《神殿内に入りました》

《これにより、死亡した際のリスポーン地点を神殿に変更できます》


そこまで流れると目の前に半透明のプレートが現れる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リスポーン地点を神殿に変更しますか?

YES or NO

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



YESを選択するとまたアナウンスが流れる。


《リスポーン地点を神殿に変更しました》


それを確認すると転職するために教会の方に歩いていく。



◆教会



教会内は真ん中に赤い絨毯が敷いてあり、その両脇に長椅子が並んでいて、色とりどりのステンドグラスから入る光は、少し薄暗い教会内を明るく照らしている。


外から見ていて、何人かのプレイヤーが教会内に入っていたが一人も見当たらないのを見る限り、一人一人別空間へとつながっているようだ。


赤い絨毯の上をまっすぐ歩いて行くと牧師のような、額に魔物の爪によるものだろうか?大きな傷のある初老の男が椅子に座って本を読んでいた。


男はこちらに気づくと、「よっこいしょ」と言って立ち上がると、


「おや?参拝の方かな?こちらの教会では状態の回復と転職を受け持っていますよ。今回はどちらをお求めで?」


そう言って話を進める。

フレンドたちの一人称

アーサー→僕

ゲルド→オレ

ししゃも→俺

ましゅまろ→私

エド→わたし

になってます。

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