ずっと、大切にしてね。
〜2016年5月14日 宿泊学習3日目〜
まさかの天気が大荒れに。大雨と暴風が重なって、外に出た瞬間吹き飛ばされる勢いだ。
もちろん、宿泊学習の外出も中止。今日1日はホテルで自由になった。
そんな中慶達の部屋では男子8人全員が集まって、トランプの「ダウト」をしていた。
「1」
「2、次は慶ね」
「3」
「ダウトォ!」
「・・・何故分かる?」
「顔に出てる。」
慶の驚いた顔を見て、皆は笑いあっていた。そんな感じで、10時から始まった「ダウト」は2時間にも及び皆は慶の部屋で疲れ果てていた。
「流石に2時間ダウトは疲れるわ・・・」
「だな。そういや腹減ったな。飯ってどうすんだっけ」
「今日は、好きなタイミングで売店行って部屋で食うんだってよ。」
「そうだっけか。」
そんなたわいのない会話をしていた。
「慶君いるー?ちょっと来てくれない?」
そうやってやってきたのは「あーちゃん」こと庄司さんだった。
「え、あ、はい」
慶は気の抜けた返事をした。「なぜ庄司さんに呼ばれるんだ・・?」と疑問に思いながら、庄司さんにただただついていった。
「咲ちゃん、連れてきたよ!それじゃ!」
そう言って前田さんと庄司さんは出ていった。
2人きり。なんだか雰囲気的に気まずい。「もしかして、告白?」などと変な期待をしてる自分を恥じた。
「あの、慶に少し話があって。まあ、座って!どうぞどうぞ。」
そう言われて、ベッドの上に座った。というか雰囲気的に座らざるを得なかった。沈黙が流れる。
「あの、率直にいうと慶のことが好きです。付き合ってくれませんか?」
まさか、ここまで単刀直入に言われるとは思わなかった。まあ、サッパリしていた方が個人的には好きだ。
でも、なんて、返せばいいのだろう。そんなことを考えるより先に、声が出た。
「もちろん。喜んで。」
「ホントに・・・?ずっと大切にしてね。」
「もちろん。誓います。」
自分でもすぐさま返事をしていて驚いた。本能なのだろうか。
また2人の間に沈黙がやってきた。
「咲、ありがとうね。」
「えっ、なんで?」
「やっぱり俺は咲のことが好きだったけど、それを咲は知らなかった。だけど、そんな勇気のいる中で告白してくれてありがとう。本当に嬉しかった。」
「えへへっ」
2人とも照れくさい顔をして、あとはそのまま黙り込んだままだった。
その後2人は解散したが、2人は、皆に夜まで質問攻めにされて、疲れていた。
だけどそんな疲れなんかよりも、2人は付き合えたことの方に喜びを感じていた。
2人とも同じことを思った。
「ずっと、君を大切にしていきたい。」