【01-07】特殊効果多彩な装備たち(特殊魔導具編)
「で、アリサちゃん、さっきから話している下着の解決手段って何?」
「ああ、それ。その解決手段ってね、これをも用いて行うのよ。」
そう言って私は、セーラー服の胸ポケットに入っているスマホを取り出して、皆の前に置く。
「スマホで、何をするの?」
「まあ、そういわずに、みんなも自分のスマホを持ってきて。説明するから。」
「俺・・・・、いや、わらわのスマホは、何処かの誰かさんのモノなんだが、それでも大丈夫なのか?」
「その事。そのスマホは、確かにも共持ち主は違う子だったけど、今はユウト君が所有者として登録されているはずよ。嘘だと思うのなら、『設定』の中にある『所有者』って欄で確認してみて。」
「・・・・・確かに、わら我がこのスマホの所有者になっておるな。」
ユウト君の懸案も解決した事だし、本題の入っていこうか。
「じゃあまずは、トップ画面にあるアプリを解説していこうかな。私が言ったアプリは、すべて入っているのかの確認も込めて、1つずつアプリを開けながら解説していくね。
あ、ちなみに、充電は考えなくてもいいよ。
このスマホ、自然界にあふれている魔力を変換して充電しているみたいだからね。【アイテムボックス】に入れない限り、充電している電力?が消費していく事はないから。」
こうして私は、皆がスマホの画面を見たのを確認して、自分のスマホのアプリを1つずつ開きながら、現状判っている事を解説していく。現状なので、今後アプリが増えていくかもしれないし、すでに入っているアプリについて、新たな発見があるかもしれないのはご愛敬である。
現状といったのは、昨日から今までの間で暇な時にポチポチと遊んでいて分かった事を解説するのみである。その上で、実際同じように遊んでいたヒナタちゃんには、私の解説する事の5割程度はすでに理解できている。
さて、そんな私たちのスマホには、現在9個のアプリがインスールさてている。
1個目のアプリは、『設定』という名のアプリだ。
このアプリは、スマホ内のありとあらゆる設定を行う事ができ、自分好みにスマホをカスタマイズできる優れもの。なお、このアプリを使用してスマホの使用者登録を行った。やり方は簡単で、アプリ内の『使用者登録』という画面において、使用者の名前(私たちはこの世界に来てからすぐにそれぞれの名字・・・所謂家名を放棄しているので下の名前でそれぞれを呼びあっている)を、この世界の文字で記入した後、それぞれの魔力を流すという方法だ。この世界の文字については、【エンド=レキナス言語〔E〕】というスキルで、最初から読み書きできており、現状でも日本語ではなく、たぶん現在地に一番近い場所で話されている言語で会話をしていたりする。
2個目のアプリは、『電話帳』という名のアプリだ。
電波がないこの世界で、どうやって通話やメールを行うかというと、設定アプリで登録した魔力を介して行うのだ。登録したい相手が持つスマホと赤外線通信(設定アプリの中にある)をする事によって自分が持っているスマホに個人情報として登録。その登録情報を基に対応する魔力へと、電波のように自分の魔力を飛ばして接続させる方法が取られている。
なお、赤外線通信はないが、この魔力を介しての会話の方法は、現にこの世界には『遠隔都市間通信』という魔導具として存在している。
この魔導具は、あまりにも大きくて移動困難なほど重量物であり、そして高価なため、一般家庭どころか、王侯貴族すら持つ事ができないのだ。(【世界樹の知識〔E〕】からの引用によると、)その大きさは、六畳間ほどの大きさの部屋1つがすべて魔導具になっており、一度設置したら解体する事もできない。また、希少で高価な素材を多数使用するため、設置できる数も少ないというものだ。
そのため、現在では各国の王都と、それぞれの辺境地域を統治する辺境伯領の領都くらいしか設置されていない。また、使用する際のコストも莫大なため、緊急時にしか使用される事がないほどの魔導具である。
3個目のアプリは、『写真・動画』という名のアプリだ。
地球で行ってきたアプリの使い方と全く同じであり、機能やできる事もほとんど同じなので、使用方法含め、詳しく解説する事は割愛する。
ほとんどといったのは、注ぎ込む魔力に比例して、直線状に障害物がなければ、何処までも拡大したうえで写真を撮る事ができる。・・・・・このアプリは。
動画の場合は、同じく注ぎ込んだ魔力に比例して、本当に髪の毛の際ほども見えないほどの距離でも録画し、どんな些細な音でも録音してしまう。
4個目のアプリは、『世界の暦』という名の通りのアプリだ。
所謂、この世界のカレンダーである。ちなみに1日の時間もこのアプリでもって確認可能。
そしてこのアプリで分かった、この世界の暦がこれだ。
現在の日付及び時刻・・・・ウブタマ新聖暦(USDC)2966年1月22日午後1時44分30秒。
1年の日数は、360日で12ヶ月。球体の惑星で、地軸が23.4°傾いているので、中緯度帯ではしっかりとした四季がある。ちなみに、四季が存在している場所は、春が3~5月、夏が6~8月、秋が9~11月、冬が12月と1~2月となっている。
1ヶ月が30日となり、1週間が6日サイクルとなる。ちなみに曜日の呼称は、光の日・闇の日・風の日・水の日・火の日・土の日となり、基本的に光の日はお休みする人が多い。で、新年は1月1日なのは、地球と変わらない。
この辺りはたぶん、地球からこの世界に転移・もしくは転生してきた人たちが決めたんだろうと思う。もちろん、これから伝える時間の概念もね。
1日は一応24時間で、1時間が60分、1分が60秒となっているのも地球のそれと変わらない。ただし、体感的に1時間・1分・1秒当たりの時間の長さが、地球のそれを1・5倍くらい長いような気がする。たぶんだが、この暦や時間を作った当時の転生者成り転移者たちは、地球での度量衡単位に合わせるため(実際、距離や長さ、重さなどの単位系は、地球にある国際単位系の単位と一致している)、地球での時間の長さが異なっているのを無視して、1日24時間・1時間60分・1分60秒としたのだろう。
なお、現在の1年間は正確には360.25日であるので、地球と同様に4年に1回閏年が存在しており、今年がその閏年であるみたいだ。ちなみに、閏年はあるが、閏秒などはない。
なお、この時間を正確に測っている時計は、この世界ではとても高価なモノであり王侯貴族の権威の1つとされている。そのため、一般庶民には時計を持っている者は少ない。というか、持つ事を禁止されている。
ただし、町や村に存在する教会には時計塔が併設されており、町中に時間を知らせるため、昼間は1時間に1回(6時~18時の間)、夜間は21時・0時(24時)・3時に鐘を鳴らす事になっている。
なお、昼間にならされる鐘は、6時の鐘を『前1つ』を言い、1時間ごとに『前2つ』といった風に数字が上がっていく。そして、正午(12時)を境に、『後ろ1つ』・『後2つ』となり、18時の鐘を『終日の鐘』と呼び、その日の(昼としての)1日が終わり、夜の時間になる。18時の鐘が『終日の鐘』と呼ばれているのは、この鐘が鳴りやむと同時に町の門が閉まるためだ。また、この18時の鐘のみ、鐘を鳴らす回数が6回(ほかの鐘は1回)となっていることも影響している。
珍味に夜の間に慣らされる鐘には、21時の鐘には『就寝の鐘』という名称が、0時(24時)の鐘には『日替わりの鐘』という名称が、3時の鐘には『宵覚ましの鐘』という名称が付いている。
なお、王侯貴族を含めた人族にカテゴライズされている生命体は、この教会や神殿が鳴らす鐘の音で、1日の時間を知る事ができており、また生活サイクルとして組み込まれている。そのため、日の出とともに商店が開き、日の入りとともに閉まるといった事は、余程の田舎町や村でない限り起こりえない事でもある。
なお、各町や村に存在する町門の開門時間は6時で、閉門時間は18時となっており、夜間については基本的に門が開く事はない。そのため、閉門している時間帯に到着した場合は、基本的には町の外で夜を明かす事になるわけだ。
5個目のアプリは、『世界樹の記憶』という名のアプリだ。
このアプリは、魔眼で鑑定した結果を自動更新で記録していってくれる、所謂『辞書機能』である。また、別アプリ『写真・動画』によって撮影した動植物を、データ化し、鑑定結果と共有化して記録する事も可能である。
当然ながら、私たち自身の事・・・・・所謂ステータスのようなモノを自動で作成しても記録する事がでる。しかしその記録される情報は、使用者が見知っている事柄だけとなり、知らない事を表示する機能はないようだが、データー上に記録されているモノに対しては、新たに知る事ができた情報は、どうも自動で更新されていくようだ。
また、『自動地図作成』と連動させる事によって、その記録された動植物が何処に生息しているのかも地図上に記録する事もできた。なお、広範囲に移動する動物に関しては、登録された魔力という前提条件はあるが、何処にいるのかも『自動地図作成』状に、詳細データとともに表示されている。
6個目のアプリは、『自動地図作成』という名のアプリだ。
この足で歩いた場所と、視認できる距離までの地図情報を記録してくれる、所謂オートマッピング機能である。元々搭載されていた地図アプリが進化?したモノだと思うが、地球の地図情報はすべてリセットされており、真っ黒な画面からスタートしている。そのため現状では、あまり歩いていないため、現在地周辺以外魔真っ黒だ。
たぶん歩いた場所と、そこから見えていた景色の範囲のみが線(拡大すると、筆で一筆書きした感じになっている)のように記録されていくのだろうと推測する。つまり、世界地図を完成させたければ、世界中を歩いて旅をしろと言っているのである。
ただし、充電の時と同じように、アイテム袋やアイテムボックスの中に入れている時は、マッピング機能は作動していない。
7個目のアプリは、『異世界通販サイト:ISEZON』という名のアプリだ。
実は今回この家を新築した時に、いろいろと発注したサイトで、ここで売られている物が多種多彩なため、使い方も含め、皆に知らせようと思っていたサイトでもある。
実際、このサイトの存在自体は、スマホで遊んでいる時に全員が知っている事だ。ちなみに使い方が不明だったため、(全員一致で)今まではなかった事になっていたが、この家を作った時に私が発見してしまったのだ。一番謎だった『使用するためにはISEZONポイントが必要です』という項目にある『ISEZONポイント』の使用方法と、使用するための手続きを。
このアプリで提供されている商品や使い方については後程詳しく語るとして、今は軽く概要だけ説明しておく私。ISEZONポイントも含めてね。
なので、今は詳細については割愛しておく。
8個目のアプリは、『ゲーム』という名のアプリだ。
このアプリで提供されているゲームは、地球におけるゲームアプリのカテゴリーがすべて1つずつインスールされていた。そのため、多種多様なゲームが存在しており、中にはアダルトなゲームも存在している。
ただしそのゲーム方法は、ずいぶんと異なっている。
まずゲームを起動させると、1人でするか、複数人でするかを問われる。複数人を選択した場合は、同じゲームアプリを、半径10m以内で複数起動させ、『共有化』のアプリで起動したゲームを共有化させる。
この共有化の作業も、名称は違うが地球でも同じ事が可能だったので理解できる。
なお、ゲーム自体はいろいろと特殊だったのだが、いつの間にか時間が過ぎ去っていたというのは、地球でもここでも変わらない事実らしかった。
そして、ゲームによっては、時間の流れが現実とは大きく違っているのもあり、そういったゲームを行う際は、現実の時間を確かめておかないといけないと痛切に理解させられている。
なんせ、『ゲーム内で1日過ごすと、現実世界では1時間しか経過しません』というゲームをやった際、気が付いたら半日ほど(ゲームを始めたのが昼食後で、ゲームを終えたのが真夜中だった)時間が経過してしまっていたのだから。
なお、このゲームでは、VRみたいな特殊環境下でのゲームだったので、気が付いて現実に戻ってきたら、全員がいろいろと言えない状態になっていた。
そして最後の9個目のアプリは、『共有化』という名のアプリだ。
個々のスマホでデーター化された情報は、赤外線通信を使用する事により、スマホ同士で情報を共有する事ができる。この機能により、それぞれのスマホ内での未完結していたデータ(動植物の情報や地図アプリの情報)を共有化できるようになった。なお、残念ながらこのアプリには、ISEZONポイントは対応していなかった。つまり、使いたかったら、各々個人でISEZONポイントを溜めろと言っているのが理解できる。