第六十話 ブラックかホワイトか
俺とベルーナは倉庫へと戻った。
「うわっ!いきなり来るんじゃないよ。驚くじゃないか!」
戻ったところでいきなりスーリャに怒られた。
「貴様!奴隷の分際で師匠に向かってなんて口の利き方だ!」
「は・・・師匠?シュウ、一体何をしたんだい?」
「話すと短いんだが・・・。」
「斬新な前置きだね・・・。まあ話してみなよ。」
俺はスーリャに狩りでの事を説明した。
「なるほどねえ・・・そりゃ変わってるけど理解は出来るねえ。確かにシュウのスキルは強力で便利だ。
ウチやレオンにも使えるようにしてくれるんだろう?楽しみにしてるよ。」
「ああ、時間が取れたらな。これからまた忙しくなるだろうから手伝ってくれる人たち次第かな。」
「まあ、ウチは物を作ってるのも楽しいから良いけどね。」
「話がそれたがベルーナはグリズリーの皮を剥いでスーリャの剥製の製作を手伝ってくれ。」
「あたしにこいつの手伝いをしろって言うんですか!?」
む・・・なんでそんな不仲なんだ?いや、一方的にベルーナがスーリャを嫌っているだけか。
「そうだ。さっきも少し言ったが俺たちはかなり忙しく活動している。だからベルーナにも手伝いを求めたんだしな。もしそれが嫌なら手伝うのをやめてくれても構わないぞ。」
折角の人手が減るのは残念だが仕方がない。無理強いはしたくないしな。
「待って下さい師匠!師匠はあたしを見捨てるんですか!?」
見捨てるって人聞きの悪い・・・うちで働くのが嫌なら辞めても良いという親切心じゃないか。
うちは辞めたい人を無理やり働かせるブラック企業ではないのだよ!ホワイト企業だ!多分・・・
奴隷を無理やり働かせてるって? 飯は好きなだけ食わせてるしそんな無理はさせてないぞ。多分・・・。
「見捨てるつもりはないがな。俺たちと上手くやっていけそうにないなら無理に付き合う事はないって話だ。」
「やれます!上手くやっていけますよ。師匠!」
「そうか?それなら頼んだぞ。」
「はい!」
「ウチは不安だけど・・・頑張るよ。」
「それじゃあ剥製を沢山作っておいてくれ。売れるか分からないけど売れ出したら在庫がいくらあっても
足らないからな。」
「分かったよ。」
「はい!」
俺は剥製の製作を2人に任せて店へとワープした。
「あ、シュウさん。」
すぐにアンネが声をかけてきた。
「アンネ、調子はどうだ?」
「それが・・・お客さんが全然来ないんです。」
全然か・・・やはり新商品の売り出しを急ぐべきか。
「それなら仕方ないからマイクさんの店でも冷やかしに行こうか。」
「良いんですか?」
「ああ。お客さんが来ないのに店を開けてても仕方ないしな。」
「分かりました。すぐに用意しますね。」
アンネは店を閉め用意を手早く済ませた。
「それじゃ行くぞ。」
「はい。」
俺はアンネと王都へとワープした。
マイクさんの店へ向かおうと思ったが、そういえばお土産を持ってきてないな。
「何かおみやげを買っていこうと思うんだけど何か思い付くものはあるか?」
「それでしたらグリズリーの絨毯が良いのではないでしょうか?お土産には高いですがおじさんに一流の
店を持っていると教えることが出来ます。」
ふむ・・・。確かに金貨20枚の贈り物は高すぎる気がするがマイクさんにはお世話になってるしな。
それに前回の脅しもある。ここは絨毯を贈り物にするとしよう。
「「こんにちは~。」」
相変わらずお客さんがいない。
「お?おお!アンネ。良く来たな。」
「おじさん!久しぶり。」
2人で話が盛り上がっている。
俺は空気になって待つだけだ・・・。
ひとしきり盛り上がったところでようやく俺に声がかかる。
「何だ?シュウじゃないか。居たのか。」
居たのか。じゃないよ!アンネが居るなら俺も居るに決まってるだろう。
「ええ、あ。これお土産です。」
俺は用意しておいたグリズリーの絨毯をマイクさんに渡した。
「ん?おい!これグリズリーの絨毯じゃねえか!?」
「そうですよ。」
「私たちのお店で扱っている商品ですよ。おじさん!」
「なんだと!?そうか・・・。」
マイクさんは予想通り驚いたかと思えば何やら思案顔だ。
「念の為に聞くが、お前たちがアイアラン商会の真似をした訳じゃ無いんだよな?」
ん?いやどうなんだろうか。魔物を素材にするというアイデアは貰ったし真似したかな。
「ん~魔物を素材にするのを参考にしたので真似したと言えるとも思います。」
「そうか・・・。それで絨毯と手提げ袋だったか?その2つはどっちが先に作ったんだ?」
「それはこちらが先に作りました。」
「それなら良いんだが・・・。最近アイアラン商会が類似品に惑わされるなと躍起になっていてな。」
はあ・・・?なんだそりゃ。
「宣伝のような事をあちこちでやっているし、街の方でも何かやってるらしいぞ。」
街の方でも・・・?まさか今日お客さんが来なかったのにも関係してるのか?
「まあお前が悪いんじゃなければ良いんだ。こっちで組合に俺の方からそう説明しておく。」
「すみません。助かります。」
本当に助かる。やってもいないのに盗作扱いは流石にゴメンだ。
「な~に良いって事よ。まあ頑張れよ。」
「はい。色々有難うございました。」
「ありがとう。おじさん!負けてはいられませんね!」
「一度街へ様子を見に行ってきます。」
「おう。また来いよ。」
「また来るね。おじさん!」
俺とアンネはマイクさんの店を出て街へとワープした。




