第五十八話 ベルーナ
さて、ベルーナさんの勧誘にゼハードさんの家へと来てみたが、どうやら留守のようだ。
一度家の建設地へと戻りゼハードさんに聞いてみるか。
「あ、シュウさん!どうしたんですか?」
外で材木を切っていたレオンが俺の気付いて駆け寄ってきた。
「ベルーナさんに会いたいんだが居なかったんだ。それでゼハードさんに居場所を聞きにな。」
「ゼハードさんなら今は中で指示を出してますよ。」
「そうか、ありがとうな。レオンも頑張れよ。」
「はい!」
俺はゼハードさんに会いに建設中の家の中へと入っていった。
驚いた・・・思ったよりも完成に近い。
「お!シュウじゃねえか!まだ完成は先だぞ。」
「いや~驚きましたよ。もうこんなに出来てるんですね。」
「細かい部分がまだまだ先だな。何か気になる事でもあるのか?」
「いえ、今日はそういう話では無くてですね・・・実はベルーナさんに皮の剥ぎ取りを手伝って貰いたい
と思いましてお宅へ伺ったんですがいらっしゃらなかったのでどこにいらっしゃるか分かりませんか?」
「ベルーナに!?もし可能なら是非頼む!あいつならこの時間は裏山の方にいるはずだ。」
「あ・・・はい。」
「何しても構わないからよろしく頼む!なんなら孕ませてくれても良いぞ!」
・・・不安が大きくなってきたぞ。本当に大丈夫なんだろうな?
ゼハードさんに追い出されるようにして俺は裏山へと向かわされた。
裏山って言っても広すぎるんだよなあ・・・会ってれば索敵で探せるんだけど会ったって認識してないしなあ・・・。
確か裏山のでかい木のある広場だとか言ってたからそれを探してうろついているのだが中々見つからない。
昼になろうかという頃にようやくそれらしい場所に出た。
人が居る気配がある・・・。すみません格好付けました。
普通にサバイバル・・・いや野宿出来るような状態が目の前にあった。
俺がテントのような掘っ立て小屋に近づくと、逆に中から声がかけられた。
「誰だ!?」
「え・・・え~と木こりで今はゼハードさんに家を建ててもらっている石川周です。」
いきなり聞いてくるから何か変な自己紹介になっちまったじゃねえか・・・
「石川周だって?本物!?」
偽物でも出たことあるのか?無いよな?
「本物かどうかは分からないが昨日、倉庫で色々やった石川周だ。」
「それって本物じゃないのさ!」
そう叫んで中から飛び出してきたのは随分と健康的な美女だった。
いや、何というか美女なんだが何というかその・・・野生味に溢れている・・・。
「オオー!本物じゃないか。あたしに何か用か?」
「え~と、昨日うちの倉庫で皮の剥ぎ取りをしただろ?それが凄く上手かったから手伝って貰いたいなって
思って来たんだ。」
「な~んだ・・・いや、あたしはいいや。グリズリーの倒し方なら興味あるけど死体には興味ないね。」
やはり無理だったか・・・ん?倒し方に興味がある?
「倒し方に興味があるってどういう事だ?」
「そりゃグリズリーみたいな強いモンスターをあれだけ倒すなんてどうやってるのか気になるだろ?」
どうって・・・普通に首チョンパですが。
「全部綺麗に首だけ無くなってた。あれってどうやったんだ!?」
う~ん・・・隠しているわけじゃないんだが一応部外秘にしておきたい。
「あ~、それは関係者にしか教えられないんだ。」
「じゃあもし、あたしが皮を剥ぐのを手伝うって言ったら教えてくれるのか?」
むう・・・まあそれなら良いだろう。
「ああ、良いぞ。なんなら倒せるようにしてやっても良いぞ。」
これが迂闊すぎる発言だったと気づくのは、ほんの数日後の事だった。
「本当に!?ならやる!絶対やるからな!」
「あ、ああ・・・。分かった。これからよろしくな。」
「あたしがグリズリーを・・・ふふふ。」
何か美人が恐ろしい顔して笑ってる。美人が怖い顔するとなんで本当に怖いんだろう?
こうして俺は最後の1人も勧誘に成功(?)した。




