第五十五話 ボウリング
怒りに任せて新商品を作ると言ったがまずは村の人たちの分も含めてグリズリーとキラーコブラを狩らねばならない。
問題はアンネだ。店を開けていて欲しいのだが1人で放っておくのは怖い。
まず無いとは思うがアイアラン商会がこちらをはっきり敵視して以上、何か仕掛けてこないとは言い切れない。
それにアイアラン商会は動かなくてもアイアラン商会に毛皮を売っている人達とか気に入られたい連中はやりかねない。
アンネには嫌われそうだけど致し方ないか・・・。
「アンネ。」
「はい。」
「残念なお知らせがある。」
「え・・・?何でしょうか?」
「アンネに店をして欲しいのだが俺はグリズリーとキラーコブラを狩りに行く必要がある。」
「はい。」
「つまりアンネには1人で店をあけてもらわねばならないのだが、この前の1件があるから無理だ。」
「そうですね・・・。」
「そこでアンネには強くなってもらおうと思う。」
「え?ですが今から訓練してもとても間に合わないと思いますが・・・。」
「大丈夫だ。強力なモンスターを倒せばすぐに強くなれる。」
「え?え?」
「さあ行くぞアンネ!」
「嫌ですううううううう!」
俺はアンネを連れてワープした。
「ここはどこですか・・・?」
「ここはボマーロックの生息地だな。」
「ボマーロック・・・?それは何でしょうか?」
「倒されそうになると大爆発する岩型魔物だな。」
「何ですか!?その危険すぎる魔物は・・・。」
「だけど倒されそうになると動かなくもなるんだ。俺が動きを止めるからアンネがトドメを刺すんだ。」
「無理ですよ!爆発したら死んじゃいますよ!」
「大丈夫だ。爆発しないようにするから。」
スキルを封じてしまえばただの岩と変わらないからな。少々面倒だが非常に安全だ。
「ほら、早速来た。じゃあちょっと動かなくしてくるからアンネはそこで待ってろ。」
「はい・・・。」
「サイレントスキル!」
一発で決まった。幸先が良いな。
「妙技!生殺し!」
これでボマーロックは瀕死で動けないはずだ。念の為、鑑定で確認しておこう。
ボマーロック
LV28
HP1/1028
MP290/290
力357
敏捷138
防御214
魔力162
スキル(封印中) 石礫 ファイアアロー 自爆
うん。問題ないな。
「アンネ。こいつにトドメを。」
「え・・・。」
「いやアンネが倒さないと強くならないだろ。その為に準備したんだし。」
「む・・・無理ですよ。!」
「いやあれ瀕死だから。アンネでも殴るだけで壊せるから。」
「嫌ですよぉ・・・爆発したらどうするんですか!?」
「だからしないってば。」
参ったな・・・このままじゃ埓があかないぞ。
手間がかかるが俺が頑張るしかないか。
「索敵!ボマーロック!」
そして探し出したボマーロックを次々とさっきのボマーロックと同じ状態にしていく。
そして坂道の下へと配置する。
「アイシクルゾーン!」
そして坂道を凍らせて、俺たちのいる場所の両サイドの辺りにストッパーの岩を仕込む。これで完成だ。
「お待たせ。アンネ、これをここから転がしてくれ。」
俺は丸太を取り出して道に寝かせた。
最早パワーレベリングどころじゃない接待っぷりだな・・・。
「これを押して転がせば良いんですよね?」
「ああ。それで良い。」
「うーん!重いです・・・。えい!」
丸太が氷の上を勢いよく転がって行く。
そのままボマーロックの配置場所に突っ込む。
これは、あれだ。ストライクしか出ないボーリングだな。
そんな事を考えている間にボマーロックを丸太が殲滅していく。
「良し!お疲れ様。」
「はい・・・。」
アンネのLVは10を超えた。これなら滅多なことは起こらないだろう。
「俺はグリズリーとキラーコブラを狩るからアンネは店を頼む。」
「はい。」
俺はアンネと店にワープして、開店を見届けたらすぐにグリズリーとキラーコブラを狩り始めた。
索敵しては狩り、索敵しては狩り。っといけない。
剥製用に頭も残して狩らないとな。
俺はそのまま日が落ちるまで狩りを続けた。
「こんなもんかな?」
俺は狩りの成果に満足し、アンネを迎えに店にワープした。
「お待たせ。」
「あ、シュウさん。今日は絨毯が3枚売れましたよ。」
ふむ。やはり一定の高所得層には人気がまだあるようだな。
「お疲れ様。店仕舞いにして帰ろうか。レオンが腹を鳴らしてそうだ。」
「フフッ。そうですね。すぐに店を閉めてきますね。」
俺は店を閉めたアンネと一緒に家へとワープした。
「「ただいま。」」
「おかえり。」「おかえりなさい。」
「グゥゥ・・・。」
「はいはい。すぐにご飯にしますね。」
「僕も手伝います!」
アンネとレオンが夕食の準備を急いで始めた。
「スーリャ、倉庫はどうだった?」
「かなり大きいね。針や小刀をいくつか揃えておいたよ。難しいものじゃなければすぐに作れるようにはなってるんじゃないかね?」
「そうか。明日は村の人たちの絨毯作りをするが、終わったら剥製を作ろうと思う。」
「ああ。分かったよ。」
「ご飯が出来ましたよ。」
「「「「いただきます。」」」」
『アンネ。何かあったのかい?シュウがやたら張り切ってるみたいなんだけど。』
『実は今日・・・。』
「それで今日はこんなに遅かったんだねえ・・・。」
「おかげでとんでもない目に遭いました・・・。」
「なんだい?他にも何かあったのかい?」
「実は・・・。」
「そんな面白いことしてたのかい!?あたしも行きたかったよ!」
「スーリャ!?正気ですか!?」
ほう・・・スーリャは見所があるな。
「だってレベルとやらを上げて強くなればシュウみたいにスキルを使えるようになるんだろう?」
うん。なるぞ。
「そうすればあたしにもあのすっごい火やワープが出来るようになるんだろう?シュウ!あたしも強くしておくれよ。」
「ああ、今度時間が空いたらな。」
そうか・・・スキルの為にもレベル上げはした方が良いか・・・?
「僕もお願いします!」
「レオンまで・・・。」
「ああ、分かった。」
やることが山積みだな。明日からまた忙しくなるな。
「明日に備えてもう寝るぞ。」
「「「「おやすみなさい。」」」」
今日は忙しく動いていたのもあったせいか俺はすぐに眠りに落ちていった。




