第五話 始動
王都の毛皮事件から数日。
今日も今日とてしがない木こりをして家で無駄な時間を過ごしている。
正直な話転職も考えた。毛皮10枚で銀貨3枚なら給料増えるしな。
というか実際アルバイト感覚でやってみた。
王都近くのシーザーウルフの出現場所はほとんどが貧乏人たちで埋め尽くされていたのでワープで隣の国まで行って100匹ほど乱獲してきた。
だが、シーザーウルフをそのまま納品は出来ないのだ。シーザーウルフから毛皮を剥いでようやく商品になる。毛皮を剥ぐのにど素人の俺では1時間ほどかかってしまった。
慣れてきても30分ほどはかかる。つまり時給銅貨6枚だ。それでも・・・と思い、頑張って毛皮を剥いで剥いでようやく商会に持ち込んだら毛皮の買取額が銅貨2枚に下がっていた。このままではいずれ銅貨1枚すら値がつかなくなるだろう。
俺は銀貨9枚になるはずだった毛皮を銀貨6枚で買い叩かれ、またも絶望に突き落とされたのだ。
俺の短く儚い夢が終わり、いつもの絶望の生活が戻ってきたという訳だ。
だがそれでも一度見た夢を忘れられず、残った毛皮を剥いでいる。
時給銅貨2枚。時給2000円だ。日本なら高額バイトだが木こりなら時給銀貨1枚。それに明日には買取価格が半減しているかもしれない。
お先真っ暗。アホらしくなってベッドに寝転んだ瞬間、俺に天啓が舞い降りた。
『ならば別の他の人間には倒せない魔物の素材で家具を作れば良いのではないか?』
幸い、毛皮の剥ぎ取りのおかげで多少手先は器用になった。
シーザーウルフなんて雑魚じゃなくもっともっと格上の魔物の素材ならとんでもない金額になるに決まってるだろう。
問題は作る家具だ。俺には職人の経験なんてない。素材を手に入れたとしても、果たして家具に仕上げられるだろうか?
だが何もしないよりはましだ。俺は早速作る家具について考え始めた。
まず今寝ているベッド。これは簡単そうだが木材を加工するのは難しいだろう。それなりの技が必要になりそうだ。
ならば布団はどうだろう?毛皮に中に綿・・・いや羽毛を仕込むだけだ。布団ならば俺でも作れるはずだ。
良し!!そうと決まったら早速布団の材料を考えよう。
毛皮は何にしようかな・・・・?やはりあいつだろう!ゴールデンジャイアンドベアだ!!
かなり強い魔物で、丈夫で触り心地も良い上に金色で見栄えも素晴らしい!!最高の毛皮だろう。
さて、次は羽毛だが・・・これは見栄えが関係ないから悩ましいが、カイザーフェニックスで問題ないだろう。
その名の通り最強クラスの魔物で、不死鳥だ。きっと良い羽毛をくれるだろう。
そうと決まれば早速作ろう!俺はゴールデンジャイアンドベアの生息地にワープした。
小銅貨100円 銅貨1000円 銀貨10000円 金貨100000円 白金貨100万円
小銅貨は出るか分かりません。こんな感じの通貨感覚になると思います。