表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/63

第四十六話 名前

店に戻ってみると男爵の使いと思われるガラの悪い男たちがアンネに絡んでいた。


俺は慌てて間に割って入った。


「失礼しました。キュベール男爵の使いの方ですね?」


「シュウさん!」


アンネが縋るようにこっちを見た。大丈夫だ。絨毯なら出来ているからな、


「こちらが男爵様の絨毯と手提げ袋になります。ご確認下さい。」


「おう。って俺らに本物か分かるかよ!本物だって証拠を出せ!」


証拠だと?んなもんあるわけ・・・いや出せるな。出してやろうじゃねえか。


「分かりました。少々お待ちください。」


俺は店の奥でアイテムボックスから毛皮を剥ぐ前の頭無しグリズリーを取り出して戻る。


「これでいかがでしょうか?毛皮を比べれば確認出来ると思います。」


「お・・・おう。この首の無いグリズリーはどうしたんだ?」


「私が倒しましたよ?これでも元勇者ですからね。」


連中の顔は真っ青だ。アンネを脅した罰だ。良い気味だ。


「そ・・・そうか。どうやら本物のようだな。良し帰るぞ!」


「へ・・・へい。」


連中は逃げるように絨毯と手提げ袋を持って帰っていった。


「大丈夫だったか?アンネ。」


「は・・・はい。」


良く見るとアンネは震えている。よほど怖かったのだろう。


「キャッ!」


「危ない!」


アンネがよろけて転びそうになったところを慌てて抱きとめる。


「だ、大丈夫か?」


おかしなところはなさそうだが念の為に確認する。


「しばらくこのままで良いですか?」


「え。あ・・・ああ。構わない。」


やはり相当怖かったのだろう。ってこの状況物凄い役得じゃないか!?


俺が役得を楽しんでいるとアンネの震えが止まったようだ。


「まだ絨毯は置いてあるかな?」


店仕舞いをする前だったのだろう。お客さんが入ってきた。


慌ててアンネが俺から離れる。残念だ。


「はい。有りますよ。少々お待ちください。」


俺は店の奥へ戻りアイテムボックスから絨毯を取り出してそのお客さんに渡した。


「「ありがとうございました。」」


そのお客さんが出て行ってから店仕舞いにしてアンネに昼食のサンドイッチを渡した。


「ありがとうございます。いただきますね。」


アンネがサンドイッチを食べ始めた。


アンネが昼食を終えるまで俺は考え事をしていた。


いくらこの世界が平和で危険な人物が居ないと言ってもそれは俺から見た話だ。


アンネにはさっきのちょっとガラが悪い程度の連中でも十分脅威となりうる。


防犯の観点からももう1人男の店員を店に置いておきたいがレオンではその役目は厳しいだろう。


俺が居れば完璧だが俺は狩りもしなければならないし木こりの仕事まである。


結局有効な手段は思いつかないままアンネを連れて俺は家に戻った。


「「ただいま。」」


「おかえりなさい!」「おかえり。ん?何かあったのかい?」


スーリャがそんな事を言ってきた。


「ああ。ちょっと手違いがあってな。」


「ふ~ん・・・大丈夫だったのかい?」


「ああ。問題はないはずだ。」


「なら良いんだけどね。」


引っかかる言い方だな・・・何か気になる事でもあったのか?


「何かあるのか?」


「別に~良いって言ってるだろう?」


「なら良いんだが。」


気になるがスーリャがそう言う以上仕方ないか。


「それで午後からはどうするんだい?」


「アンネとスーリャで絨毯を、レオンは手提げ袋を頼む。俺は皮を剥いだり狩りに行ったりだな。」


「分かりました。」「はい!」「了解だよ。」


そろそろ始めようか、というところで家のドアがノックされた。


「はい。」


アンネがすぐに出ていき来客の対応をしている。


「パーラさんがシュウさんに話があるそうです。」


「分かった。」


アンネに呼ばれ俺も出ていく。


「シュウさん村長が何か話があるんだってさ。」


パーラさんって食材売りのおばちゃんじゃないか。


「話って何でしょう?」


「それは聞いてないけど多分人が増えた事が関係してるんじゃないかい?」


なるほど・・・確かにこれだけ人が増えると問題とか何かあるのかもしれないな。


「とにかくあたしはシュウっさんを呼んでくれって頼まれただけだからね。他に用がなければ早めに行っとくれ。」


「分かりました。わざわざ有難うございます。」


「良いんだよ。あんたらは大事なうちの村の若者だからね。」


そう言っておばちゃん・・・じゃなくてパーラさんは帰っていった。


「という訳で俺は村長の家に行ってくる。後の事は任せた。」


「「はい!」」 「はいよ。」


俺は村長の家へ向かうことにしたがその前に倉庫へ寄ろうと思った。


後回しにして忘れるのも困るしおっちゃんが用件を知ってるかもしれないからな。


「こんにちは~。」


「おう。今日はいつもどおり早いな。」


「はい。これ今日の分です。」


「おう。貰った酒飲んだぜ。ありがとな。すげー美味かったぜ。」


「それは良かったです。ところで今日村長に呼ばれたんですが何か知ってますか?」


「いや。俺も聞いてないな。まあでも人が増えた事に関しての注意とかじゃないか?」


やっぱり知らないか・・・まあ行ってみて確かめるしかないか。


「そうですか。」


「おう。じゃあシュウ、また明日な。」


「はい。また明日。」


俺は倉庫を後にし外に出ようとした。が・・・ここでおっちゃんに絡まれた。悪いのは俺なのだが。


「ちょっと待て。」


「どうかしましたか?」


「シュウ。お前俺の名前知ってるよな?」


「え?」


知っているに決まっている。最初に自己紹介したし、してもらったしな。


確か・・・あれ?思い出せないぞ。えーとアークじゃなくて・・・アイクでもなくて・・・


「勿論ですよ。アライさん。」


「全然覚えてねーじゃねーか!ザックだよ!1文字も合ってねーじゃねーか!!」


やっちまったー・・・いやまだだ!まだ誤魔化せる!


「やだな~冗談ですよザックさん。」


「絶対本気で間違えたろ!ったく・・・今度間違えたら覚えてろよ。」


ザックおっちゃん怖いって・・・


「じゃあザックさんまた明日。」


「おう。また明日な。」


こうして俺は今度こそ倉庫を後にし村長の家へと向かった。


良い機会だったので名前を付けてみました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ