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第四話 毛皮

久しぶりの王都だ。相変わらず活気に満ちていて、田舎村とは大違いだ。思わずお上りさん気分になってしまいそうになる。


だがしばらくは生活の拠点にしていた勝手知ったる王都。俺は足早に目的地のアイアラン商会へと向かった。


アイアラン商会の前は凄い行列が出来ていた。見るからに金持ちそうな人も居れば、俺のように貧乏人そうなのもいる。皆ソファーを見に来たのだろうか?


外にいる店員を捕まえて聞いてみた。

「すみません。この列はアイアラン商会への順番待ちでしょうか?」


「そうだよ。ソファーを買いに来る人とあんたみたいな就職希望者とね。」


なるほど。これだけ人気の商会なら勤めたいと思う人も出てくるだろう。


だがしかし!!俺のように魔物を狩って買い取ってもらおうとする奴はいまい。


俺は意気揚々と列に並び順番を待った。こんな気分になるのは魔王を倒して王様に余計な真似呼ばわりされて以来だ。


しばらくして、俺の順番が回ってきた。俺は期待に胸を膨らませながら店に入った。


「いらっしゃいませ。本日は当アイアラン商会へようこそ。本日はどのようなご要件でしょうか?」


「噂のシーザーウルフのソファーについて少々話があるのですがよろしいでしょうか?」


「申し訳ありません。シーザーウルフのソファーは現在3ヶ月の予約待ちとなっておりますが構いませんか?」


「いえ、そうではなくてですね、シーザーウルフの毛皮を買い取って貰えないかなと思いまして。」


「ああ。毛皮売りの方でしたか。毛皮は現在銅貨3枚で引き取らせて頂いております。」


はっ・・・・・?ああ何だ聞き間違えか。びっくりしたぜ金貨5枚の素材を銅貨3枚で買い取るとか聞こえたぞ。もう一度確認しよう。


「すみません。良く聞き取れなかったのでもう一度お願いできますか?」


「分かりました。シーザーウルフの毛皮は現在銅貨3枚で引き取らせて頂いております。」


聞き間違いではなかった・・・そんな馬鹿な話があるのか?


「申し訳ありません。当商会がシーザーウルフのソファーを売り出してから皆様がこぞって毛皮を持ち込まれたのでこのお値段での買取となってしまっております。」


ああ・・・そうか・・・シーザーウルフは雑魚だ。戦闘がほとんどないこの世界の人間でも数人で囲めば倒せてしまうだろう。そんな俺と同じような貧乏人がこぞって毛皮を持ち込めば値崩れもするだろう。


俺はいつもの絶望を胸に商会を後にした・・・


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