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第三十六話 紹介状と予約票

突然だが、現状を整理しようと思う。


店は順調で貴族御用達になりそうだ。だが品切れ中・・・。資金は金貨400枚程。4000万円!!


4000万円か・・・大金ではあるが・・・宝くじに当たるよりは少ないよな。もっともっと稼がねば。


だが・・・精々1日に作れるのは絨毯10枚か手提げ袋20個といったところだろう。


十分と言えば十分だが俺とアンネが丸1日拘束されてしまう。


俺には木こりの仕事もあるし魔物を狩ってこないといけないし現実的に厳しいところだろう。


またアンネに倒れられても困るしな。


更にはこのまま2つの商品のみ作っていてもすぐに飽きられてしまうだろう。今はまだだが新商品も開発したい。



よって・・・物を作るのが得意な奴隷を買おうと思う。


前置きが長いって?仕方ないだろう奴隷を買うだなんて決意だぞ?言い訳の3つや4つしておかないとな。


何故奴隷かと言えばアンネが奴隷だからである。奴隷は扱いやすくとても有能だ。


アンネが特別である可能性は高いがそれでも人を雇うより遥かに信頼出来る。


「という訳で奴隷を買いに行こうと思う。」


「はい。ですがよろしいのですか?奴隷は決して安くはありませんが・・・。」


そうだろうな。だが物を作るのが得意な人材の確保は急務なのだ。


「構わない。」


「分かりました。」


そうして俺たちは歩き出した。だが肝心なことを忘れていた。


「奴隷ってどこで売ってるんだ?」


「分かりません・・・私は男爵に直に買われましたし・・・。」


困ったな・・・心当たりなんてないし。いや・・・1つだけあるか。今まさに名前が出た人物が。


「キュベール男爵に紹介してもらうしかないか。アンネは買い食いでもして待ってろ。」


そう言ってアンネに銀貨を1枚渡す。


「すみません・・・有難うございます。って多いですよ!?」


あ・・・確かに銀貨は多すぎたか。いかんな、金銭感覚が狂い始めているようだ。


「待たせるのだし構わないよ。何か欲しい物があったら買って良いぞ。」


待ち合わせ場所を決めてアンネと別れ、俺はキュベール男爵の屋敷へと向かった。


げ・・・またあの門番だ・・・。


「すいませ~ん。男爵にまた用があって来たのですが入ってよろしいでしょうか?」


「あん?あ~お前か。お前が来てから男爵の機嫌が良くてな。多分大丈夫だろうが一応聞いてくるわ。」


おお・・・思ったより好意的だったな。


「入って良いとさ。ほらさっさと入れ。」


態度があれなのは相変わらずだが若干マシになったか?


まあ態度とかはどうでも良いか。大事なのは奴隷商を紹介してもらうことだ。


俺は前回と同じ応接室で男爵と再び会った。


「おお。勇者殿。この前の布団だが実に素晴らしいな。非常に丈夫な上、煙草の火を落としても焦げ跡すらつかなかったぞ。それにこの柔らかさだ!実に素晴らしい。」


そうだろう。そうだろう。あれは最高級の布団だからな。って寝タバコは危ないからやめろ。


「それは良かったです。それでですね・・・今日は男爵にお願いがありまして。」


「ほう・・・なんだ?言ってみなさい。」


「この前頂いた奴隷が実に素晴らしくてですね、奴隷商を紹介して欲しいのですよ。」


「なるほど。そうだろう。そうだろう。良かろう!ワシの紹介状を持ってここへ行くと良い。」


「有難うございます!」


あれぇ・・・?凄いすんなりいったな。本当に機嫌が良いんだな。って思っていたら・・・


「うむ。その代わりと言ってはなんだが。勇者殿は新たに面白い物を作ったそうだな?」


「ええ、まあ。」


「先ほどワシの部下にも買いに行かせたのだが既に売り切れておったようでな。どうにかならんものか。」


「そういう事でしたら少々紙を借りれますか?」


「うむ。」


俺は簡単な予約票を作り男爵に渡した。


「これをお持ち下されば売り切れていても商品をお出しさせますので。」


「そうかそうか!それは素晴らしいな。」


「本当はこの場でお渡ししたいほどなのですが申し訳ありませんが本当に在庫すらないもので・・・。」


「いやいや手に入るのなら構わん!」


「それでは本日は有難うございました。」


「うむ。また来るが良い。」


俺は男爵の屋敷を後にした。そういえば借りを作らずに済んだのも良かった。


思っていたよりあの男爵良い奴じゃないか?騙されているのだろうか?


俺はアンネと合流しに約束した場所へと向かった。


アンネも丁度来たところのようだ。


「お待たせしました。」


「いや、待ってないよ。」


そう。ほとんど時間は経っていないと言って良いだろう。なのになんだ?その荷物は。


「随分買い込んだな。何をそんなに買ったんだ?」


するとアンネはやや言いにくそうにこう言った。


「え~と・・・化粧品とか身の回りの物です。」


「そうか。じゃあそれはアイテムボックスにしまっておこう。」


「はい。お願いします。あ!これは良いです!!」


「何でだ?全部しまってしまえば良いだろう?」


「良いんです!!私が持ってます。」


何故だ・・・?あ!女の子用品か。そうか・・・そういうのを買うのも必要だったか。


「分かった。それとこれから欲しい物があったら小遣いくらい渡すからな。」


「はい。ありがとうございます。」


「それと男爵に紹介状を貰ったが代わりに予約票を渡したから持ってきたお客さんには最優先で商品をお出しするように。ただし他のお客さんにはバレないようにな。」


「分かりました。」


「あ、ついでに今後は奴隷だと名乗らないように。奴隷ではあるが他の人には従業員と名乗れ。」


「よろしいのでしょうか?」


「ああ。なんだったら副店長だとか名乗っても良いぞ。」


「本当ですか!?ありがとうございます!!」


おお?便宜上の事なのに凄い嬉しそうだな。もっと早く言ってやれば良かった。


「買い食いはもうしたのか?」


「いえ。まだです。買い物に夢中だったので・・・。」


「じゃあどこがで昼食を食べてから奴隷商へ行こう。」


「はい!」


俺たちは昼食を取ってから奴隷商へと向かった。

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