第三十二話 開店準備
「お店!私のお店ですよ!!」
そう言ってアンネは店舗の中へと入っていく。いや俺の店でもあるというか俺の店なんだが・・・
俺は苦笑しつつ続いて店内へと入る。
中は中型店舗というだけあってそこそこの広さがある。俺の家より広いのは言うまでもない。
具体的にはコンビニくらいだろうか。トイレと従業員の控え室に倉庫も含めての。
「シュウさん!!」
一通りはしゃぎまわって・・・いや見て回ったアンネが声をかけてきた。
「なんだ?」
「内装を整えたいのでお金を下さい!」
これまたど直球な・・・だが確かに必要な金だな。問題はどれくらいかかるのかだ。
「どれくらいいるんだ?」
俺の資金は木こりとして半年間稼いだ銀貨180枚から家賃や生活費を引いた銀貨140枚と
そこに例のシーザーウルフの皮を売って稼いだ銀貨15枚を足した155枚からさっき支払った
銀貨75枚を引いた銀貨80枚ほどだ。木こりで安定して稼げるとは言えこれ以上の出費はなるべく避けたいところだ。
「そうですね・・・具体的な金額は分かりませんが手提げ袋を展示する棚に絨毯を敷く台があれば
とりあえずは大丈夫ですかね。他の物は揃っていましたし。」
「それなら銀貨20枚もあれば足りるか?」
「十分です!早速見てきます。」
アンネは俺から銀貨を受け取ると矢の如く飛び出していった。店の場所は分かるのだろうか・・・?
さて・・・これで残る俺の資金は銀貨55枚。来月の支払いまでに木こりで20枚は稼げるから最悪でも2ヶ月は店を開けるって事だ。
内装や外装はアンネに任せておけば良いとして、俺は何をしようか。
あれ・・・?何もする事が思いつかないぞ。
う~ん・・・特に思いつかないから果物でも買って向こう三軒両隣のお店やお宅にご挨拶でもしておきましょうかね。
そんな訳で市場で果物を買ってご挨拶をして回った。
店に戻るとアンネが待っていた。
「買うものが決まったのですみませんが来ていただけますか?」
ああ。アイテムボックスで荷物持ちね。
「分かった。すぐ行くか?」
「はい!出来れば今すぐに!」
俺はアンネに案内され家具屋へと入った。
「これとこれです!」
アンネが買うと決めたのは大きなテーブルのような台と縦に5列に区切られた棚2つだ。
この大きな台だけで銀貨20枚しそうなんだが・・・それに棚が2つ付いたら銀貨35枚くらいするんじゃないか?
「アンネ。これはいくらしたんだ?」
「銀貨20枚ですよ?」
「そうか・・・。」
一体元の値はいくらだったんだろう?気になるが怖いので聞くのはやめておこう。
「ではシュウさんお願いしますね。」
「ああ・・・。」
俺は台と棚をアイテムボックスに収納し、店に戻った。
「台はここに出して下さい。棚はそことそこにお願いします。」
アンネに言われた通りに俺は台と棚を出した。
台は店の中央よりやや入口に近い場所に、棚はその両隣にといった感じだ。
だがこの規模の店舗にこれだけではやや寂しいかなと思うが商品がないから仕方ないだろう。
「ではテーブルに絨毯を1枚出して棚に手提げ袋を置いていきましょう。」
これで設営は完了だ。あっけなすぎるが商品が無いのだから仕方がない。
「じゃあ今日は一旦家に帰ろうか。」
「はい。開店は明日にはしたいですね。」
俺たちは家に戻り明日の開店を楽しみに休んだ。
木こりの仕事をを忘れていて夜に倉庫へ行き、おっちゃんにはまた絡まれてしまった・・・




