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第二十八話 熱

家へ戻った俺たちは早速、作業を開始した。


「俺が皮を切るからアンネは縫ってくれ。」


「分かりました。どんどん縫いますね。」


こうして作業を始めたが、順調極まりない進捗で仕上がっている。


5個ほどの手提げ袋が完成したところで昼食にした。


「御馳走様でした。アンネ、俺はちょっと倉庫へ行くから休憩していても良いぞ。」


「分かりました。でも作業は続けます!」


「分かった。あまり頑張りすぎないようにな。」


「はい!いってらっしゃい。」


俺は倉庫へと出かけるが、足取りがやや重い。


最近の倉庫の管理人のおっさんがややうざいせいだ。やましい事など何も無いのに気が重い。


だが俺にも責任は多少有るのは認めよう。何しろアンネも俺もほぼ家に引きこもって製作活動をしているからな。今日はすぐに完成させられそうだから終わったらアンネに村を散歩でもさせよう。


そんな事を考えていたら倉庫へついてしまった。


「こんにちは~。」


「おう。今日は早いな。」


そりゃ連日絡まれればな・・・


「さてはアンネちゃんに嫌われるような事でもしたか?」


「してませんよ。はい、今日の分です。」


「あいよ。じゃあまた明日な。」


「はい。また明日。」


今日は絡まれる前に脱出できたぜ。さて、さっさと帰って続きを作りますかね。


「ただいま。」


家へ入って見たが、返事がない。出かけたのか?


「アンネ。」


「あ、おかえりなさい。」


集中していたのか。頑張りすぎるなと言ったんだがなあ・・・


既に6個目の手提げ袋が完成している。俺もすぐに作業に入った。


「これで終わりだな。」


「出来ました。」


ついに10個目の手提げ袋が完成した。これで目標だった商品が揃ったのだ。


「これでやっとお店が・・・。」


そう言って立ち上がろうとしたアンネだがつまづいて転んでしまった。


「大丈夫か?」


起き上がらせたが、足元がおぼつかない。


「平気です。すみません。」


「平気じゃなさそうなんだがな・・・。」


アンネを椅子に座らせて様子を見ると、明らかに顔が赤い。


慌てて手で熱を計ってみるとかなり熱かった。


「熱だな。ベッドで寝なさい。」


「でも街でお店が・・・。」


「そんなのは明日でも明後日でも良い。」


グズるアンネを無理やり寝かせる。


「すみません。こんな大事な時に・・・。」


「別に急ぐ事でもないさ。店を出す前で良かったじゃないか。」


「そうですね・・・。すみませんが休ませていただきます。」


「ああ。寝る前にこれを飲んでおけ。」


俺は解毒ポーションと普通のポーションをアンネに渡した。熱には効果が薄いがそれでも飲ませないよりはマシだろう。


「ありがとうございます。」


「ああ。おやすみ。」


「おやすみなさい。」


アンネが寝るまでしばらくは様子を見ていたが無理をさせすぎたようだ。


奴隷になったのがいつ頃か分からないが、環境が変わってこうも忙しくしていたら体調の1つも崩すだろう。全く迂闊だった。


反省しつつ何か出来る事は無いか考えたが看病なんて基本する事はない。あるのかもしれないが分からん。


身体に良さそうな物を作るくらいか。


久々に俺は自分で食料の買出しに出た。


「こんにちは。」


「あら。今日はアンネちゃんじゃないのね。」


「ええまあ。」


「何かあったの?」


「いえ、ただちょっとアンネが熱を出してしまって・・・。」


「あら。大変じゃないの!」


「いえ、熱を出しただけですから大丈夫ですよ。」


「何言ってるのよ!アンネちゃんはこの村にとって大事な子なのよ!熱だって油断は出来ないわ!」


あれ・・・アンネいつの間にそんなに地位を上げていたんだ・・・?


「そ・・・そうですね。それで身体に良い物を作ろうと思いまして。何か良い物はありませんか?」


「そうねぇ・・・いや良いわ!あたしが作って持って行くわ。」


「え?そんな悪いですよ。」


「良いのよ!あんたは家でアンネちゃんの様子を見てなさい。」


そう言っておばちゃんに追い返されてしまった。


家へ帰ったがアンネはまだ寝ていた。


何をするでもなくただアンネを見守っていたが、タオルを濡らして汗を拭くくらいは出来ると気付いたのでしておいた。


それが終わった頃に丁度おばちゃんがやってきた。


「ほら。これを食べさせてあげなさい。」


「ありがとうございます。アンネはまだ寝ているので後で食べさせます。」


「ああ。鍋返すのは明日で良いからね。」


そう言って帰るおばちゃん。本当に助かる。


しかし、それからしばらくした頃だろうか。また来客があった。


「アンネちゃんが倒れたんだって?これは見舞いの果物だ。食べさせてやってくれ。」


「お前が無理をさせ過ぎたんじゃないだろうな?これでも食べさせてやれ。」


「お前・・・節度ってものをもう少しだな・・・・。」


ありがたい事にアンネが来た初日以来の見舞い客ラッシュだ。最後の管理人のおっさんは余計だったが。


「おはようございます。」


「おはようではないな。アンネ何か食べられそうか?」


「そういえばお腹がすきました。」


「これを露店のおばちゃんがくれたんだ。食べると良い。」


「おばさんが?ご迷惑をおかけしてしまいました・・・。」


「気にするな。今度の商品が売れたらお礼はするさ。」


「そうですね・・・。頑張って売ります!」


「頑張るのは風邪を治す事だな。」


「そうでした・・・すみません。」


「それと他の村の人からも見舞いの果物やら色々届いてるから食べたかったら言ってくれ。」


「他の皆さんまで・・・この村は本当に良い村ですね。」


「そうだな。だから早く治して元気になるんだぞ。」


「はい!」


アンネはおばちゃんが作った病人食と果物を1つだけ食べるとまた眠った。


この様子ならほっといても明日には熱が下がるだろう。


後、俺がすべき事は見舞い客がアンネを起こさないように対応するだけだった。

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