第二十一話 無双する
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「ここはどこですか?」
「グリズリーの生息地だな。」
いきなりのワープに戸惑いつつも落ち着いた様子で尋ねてくるアンネに教えてやる。
「は・・・冗談ですよね?」
「いやマジだぞ。ほらあっちの方に居るだろ?」
そう言って指さした方向へアンネを連れて行こうとしたが、アンネは足がすくんだのか一向に動こうとしない。
「無理ですよ無理。死んじゃいますよ私!!」
「さっきも言ったが、どうということはないんだ。」
「そりゃあご主人様なら生き延びられるかもしれませんが、私は無理ですよ!死にたくないです!!」
人聞きの悪い。俺がまるで囮か何かにするみたいじゃないか。
というかさり気なくご主人様呼びに戻ってるな・・・。
「まあいざとなればワープでどうとでも逃げれる。とりあえずもう少し近づくぞ。離れると危ないからしっかりついてこい。」
そう言って歩き出すと、アンネは本当におっかなびっくり嫌々ついてきた。
俺の服の裾を掴んでオドオドしている様はお化け屋敷にでも来ているようで非常に可愛い。そんなイベント転移前にはなかったけどな。
って脅かすのや可愛いアンネを見るのが目的じゃない。俺の力を理解させなければ・・・。
俺が目的を思い出すのとほぼ同時にグリズリーが視界に入った。
「お。居たぞ。あれがグリズリーだな。」
「ひっ。」
アンネが震えながらしがみついてきた。役得を楽しみたいところだが、離れてくれないと倒せない。
いや、正確には楽勝で倒せるが倒すところを見せられない。断腸の思いでアンネに離れて見てるように指示する。
「ここで待機してろ。騒いだりするなよ。周囲にはあいつしか居ないから安全だけどな。」
「分かりました。危なくなったらすぐに逃げましょうね。」
半泣きの状態だが何とか聞き入れてくれた。あんまり無駄に怖がらせるのも悪いからさっさと済ますか。
俺はアンネが見ているのを確認してグリズリーに駆け寄り、普通に蹴り飛ばした。本当にただの蹴りだ。
するとグリズリーは錐揉みしながら吹っ飛んで行って、息絶えた。
俺はアンネのいる場所へと戻り、呆然とするアンネにドヤ顔しないように心がけながら話しかけた。
「な。雑魚だったろ?」
「あれは本当にグリズリーだったんですか・・・?」
「そうだよ。アンネも見ただろ?」
「実は私を驚かす為に用意したとても大きい熊だとか?」
まだ疑っているのか・・・こうまで信じてくれないと悲しいぞ。
「じゃあもう1回今度はキラーコブラで試すか?」
そう言って今度はキラーコブラの生息地へとワープした。アンネは必死に首を振っていた・・・
「こ・・・ここは?」
「まあ想像通りキラーコブラの巣があるところだな。」
アンネの顔色がみるみる青くなっていく。
「も・・・もう帰りましょう。シュウ様のお力は分かりましたから。」
そうか・・・?だが折角来たんだから力を見せつけたいしなあ・・・
「まあすぐそこだし。行ってみようか。」
努めて軽く散歩に誘うような感じで言ってみたのだが、アンネは足がすくんだのか歩き出さない。
仕方なく俺が手を引いて連れて行った。仕方なくだからな!手をつなげてラッキーだとかめっちゃ思ったけどな!!
そんな至福の時間はすぐに終わりを告げた・・・キラーコブラの巣が見えてきてしまったのだ。
「あそこだ。見えるな?」
「は・・・はい。帰りましょうもう十分でしょう。」
何が十分なのか分からんのでスルーした。
「ここで待ってるように。討ち漏らしはしないけど万一の為に動かないように。」
「は・・・はい。」
まるで捨てられる飼い犬のような目で俺を見るアンネ。やばい超可愛い。終わったら持って帰ろう。
馬鹿なことを考えながら俺はキラーコブラの巣へと突撃する。
どう倒すか考えてなかったが力を分かりやすく見せつけるために頭を掴んでは引きちぎり、尻尾を掴んでは叩きつけを繰り返した。傍から見たら完全に野獣そのものだったろう。
終わってアンネの元へと帰ってみると、アンネはまたも呆然としていた。
話しかけてもいまいち反応が良くなかったので、家へとワープし休憩する事にした。




