第二話 木こり生活
「奥義!疾風カマイタチ!」
今日も森で無駄に奥義を使い木を切る。20本まとめては、流石に無理なので良さそうな木を2~3本まとめて切り、アイテムボックスへ入れる。それを8回ほど繰り返し、20本貯めたら一度家へワープする。
余りに仕事が早い為、木を引き取ってくれる倉庫の管理者がまだ来ていないのだ。
家には何もなく、特にする事もなく時間を潰す。村にも当然、娯楽施設などはない。
昼飯を済ませたら倉庫へ向かう。ワープしても良いのだが、する事がなくなるので歩いていく。
10分ほど歩いて倉庫へ着く。アイテムボックスから木を取り出して倉庫へ入る。
「こんにちは~。」
「おう。相変わらず早いな。」
倉庫の管理者とお決まりのやり取りをして木を引き渡す。
「ほい。お疲れさん。」
本日の給料の銀貨を1枚受け取り、倉庫を出る。
「はい。まいど。」
途中の露店でおばちゃんから食材を銅貨2枚分(2000円相当)を買い家に帰る。
これが俺の生活の全てだ。これが異世界転移して最強の力を持つ男の1日だ。
これなら日本に居た頃の方が余程ましな生活ができた。
だけどさ・・・異世界で最強チート持ちなら普通はこうだろ!?お姫様と結婚とか、Sランク冒険者とか、奴隷ハーレムとか、貴族にしてもらったりとか、王様になっちゃったりとか!
なのに俺は王都から少々離れた街からやや離れた村で・・・いやよそう。片田舎の村のしがない木こりだ。
更に悲劇的なことに俺は現在22歳で童貞だ。そしてこの村には若い娘が1人も居ない。何の希望もない。
俺はこのまま異世界チートを何の役にも立てられず、田舎村で孤独に年老いて行くのだろうか・・・
そんな絶望に嘆きながら、日々を送っていたある日、俺に転機が訪れる。