第十二話 布団を売りに
今日は遂に完成した最高級羽毛布団を売りに行く。ここまで長かった・・・・
問題は売る相手だ。この最高の布団ならば欲しがる人間は腐るほど居るだろうが、この布団を買える人間となると相当限られてくるだろう。
王様・・・はないな。あんな奴にこの最高級布団を売ってやる訳にはいかん。
アイアラン商会も商売敵だ。買ってはくれまい。
残る金持ちの知り合いは・・・いや知人か。王宮に挨拶に行ったときに出会った貴族くらいだ。
まずは宰相やら、うんたら大臣やら、謁見の間で見たが会話はしていない。
よって俺の選択肢は1つしかない。王城で謁見の間に行くまでの案内をしてくれたギュレーヌ侯爵だ。
彼とは多少の会話というか、話をして面識があると言えなくもない関係と言えよう。
しかし、こうして考えてもいると俺ってこの世界で魔王討伐しかしてないから人脈皆無なんだな・・・
落ち込んでいても仕方がない、王都へワープしよう。
さて、とはいえ困ったぞ。王城に行けばほぼ確実に会えるとは思うが王城に行くのは避けたい。
王都に所有していると思われる、屋敷を直接訪ねさせてもらおう。
ギュレーヌ侯爵の家は侯爵の領地に城なり屋敷なりがあるのだろうが、領地に戻られていたら面倒だな。
何せ王城で最後に見てから、3ヵ月は経っている。領地に戻っていても何も不思議じゃないのだ。
まあ悪い方向に考えていてもキリがなさそうなので、道行く人に侯爵の屋敷について聞いてみよう。
「すみません。ギュレーヌ侯爵のお屋敷に用があるのですが、どちらにあるか分かりますか?」
「侯爵様だって?そんなお人のお屋敷なんか分かるわけないだろ。」
道行くおっさんに声をかけてみたが、まあそうだよな。
「貴族街の方で探してみろよ。」
すると話を聞いてた別のおっちゃんがそう言ってくれた。
「有難うございます。そうしてみますね。」
お礼を言って、その場を離れようとした。
「貴族街ってどっちにあるんですかね?」
おっちゃんは呆れた顔をしながらも教えてくれた。
貴族街にやってきた。なるほど、名前の通り生意気そう・・・ではなく高級そうな屋敷や建物が多い。
とりあえずそこに居る警備兵に聞いてみるか。
「すみません。ギュレーヌ侯爵の屋敷を探しているのですが。」
「ん?ああ勇者(笑)殿ですか。侯爵の屋敷はあそこの建物ですよ。」
最初は不審者を見るような目つきだったが、どうやら俺のことを知っている兵士だったらしい。小馬鹿にされたような気がするが気のせいだろうか。
ギュレーヌ公爵の屋敷の前まで来た。でかい屋敷ばかりだが、この屋敷は大人しい感じでまだ好きになれそうな雰囲気をしていた。
「あの、すみません。面会の予約等は無いのですがギュレーヌ侯爵にお会いしたいのです。」
「面会の予約がないだと・・・そのような者をいちいち取り次ぐ事は出来ん。」
「石川周です。侯爵とは王城で少々話をさせていただきまして本日はお話があって参りました。」
「ふむ・・・。一応侯爵に確認してくるので少々待っていただきます。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
門前払いを食らいそうになったが、何とか話を繋げられた。
「お待たせしました。侯爵がお会いになるそうです。」
良し。これで後は最高級羽毛布団を売るだけだ。いくらで買ってくれるかな?
金貨100枚?いやこの素材だ。金貨300枚や1000枚だって有り得るぞ。
俺は期待に胸を膨らませながら侯爵邸に入っていった。




