10月 24日 一周目
雑音混じりのラジオから、其れは聞こえてきた。
まるで終焉を告げるように。いや、終焉を告げに来たといい直した方が正しいか。
『あーあー、テステス。聞こえてますか?世界の皆さまー、こんばんわ』
事務的に淡々と彼女は言葉を綴る。
その声の美しさは輝く日のようなのに、対象的な冷淡な、平坦な、変わりもしない声色には寒気すらした。
『皆さまは何処で間違えてしまったんでしょう。皆さまは如何して間違えてしまったんでしょう。皆さまは何を間違えてしまったんでしょう。
私には分かりませんが、神さまがお決めになられましたから仕方ありませんよね。どうしようもない間違いをしたのだから、仕方ありませんよね。皆さまが皆さまだから仕方ありませんよね』
まるで言い訳に聞こえるが、コレはカウントダウンだ。
最初から決まっていた其れを言うための、どうしようもないカウントダウンだ。
『其れでは皆さま。私こと【天使】が皆さまを終わらせさせていただきます。
どうぞ、悔やみに悔やんで、消えていってください。さようなら』
そしてラジオからパチンっと、指を鳴らす音が響く。
刹那、光で出来た矢が空全てに装填され、そして一斉に放たれた。
あぁ、世界が終わる。