能力(アビリティ)、警察、少年
遅くなりすぎました。暇が無くて申し訳ありませんでした
『能力』
能力とは人間一人一人が必ず秘めている潜在能力のようなものである。能力の発動は魔法と同様に自身の意思で発動が可能。
能力の発現方法は二つあり、
・魔法警察がもつ、儀式により無理やり引き出し発現する。
・何かの機会に稀で発現する。
能力は大きく分けて強化系と特殊系の二種類あり、強化系能力はさらに属性強化と肉体強化の二つに分類される。強化系能力は熟練度によって並→改→極と進化する。進化や伸び代には個人差がある。
【属性強化系】
無、炎、氷、雷、のいずれか一つが発現し、その属性の魔法が強化される。
【肉体強化系】
魔力による肉体強化の恩恵を普通よりも強く受けることが出来る。近接戦闘に特化している。
【特殊系】
希能力と呼ばれ属性魔法の強化や肉体強化の恩恵は受けないが個々が特殊な魔法を有する。その魔法に肉体強化の要素や属性強化の要素が含まれていることもある。
以前、ある犯罪組織が儀式の一部を盗みだしたため、能力を持つ犯罪者達も増えてきている。
***
黒い魔力を纏う少年。
次々と投げ飛ばされる狼たち。
予期もしない出来事が立て続けに起こるこの世界は、一体何なのだろう。
疑問符が浮かび上がり緊張と痛みが自分の身体を迸る。
そして、この世界から自分という存在全てを切り離すかのように鈴の意識は途切れた。
***
新宿区-魔法警察署
きちっとした青色の制服に身を包んだ茶髪の男は机の上に広げられた被害者のメンツの調査書を一瞥し焦燥の表情を浮かべていた。
「おかしい、被害者が少ない。この程度の人数に一体何をしたんだ?…いや、この被害者一人一人に共通点なんかがあるとしたら…違うそんなはず無い。彼らは全員一般人だ。いや、でも『あの人』までもが…」
「落ち着けYO。何が起きているのかはわからないGA、少なくとも『奴等』が絡んでいるならそう簡単にことは進まないかもしれないZE?」
焦り混乱する姿に声をかける者。
こちらも青いスーツを着た色黒の男だ。ラテン系とのハーフのような面影があり、語尾が変だ。
「『奴等』は犯罪組織の中でもずば抜けてイカれてる。奴等は儀式を手にしてる。へまをしたりする筈がない。その上『あの人』までもが被害者になっている」
「あの人って俺らの恩師NO?冗談DARO?あの人に勝るほどの力を持ってるって言うのKA?そんなバカNA」
茶髪の男と色黒の男はもう一度机へと視線を落とす。
「何はともあれこの事件が本当に『奴等』の仕業だったとしたなら……」
「もうとっくに何かが、始まっているということだYO…」
部屋の中央、二人の向かいに置かれたホワイトボードには、『奴等』首謀者の属する集団の名称が書かれていた。
犯罪組織
『ディナイエル』
***
薄汚れた天井だ。見たことのない天井。
それを私は暫くの間ぼーっ、と見上げていた。気がつくと鈴はベッドの上に寝かされており、全身に包帯が巻かれていた。
――そういや何で私こんな所で寝てるんだっけ?
全身に巻かれた包帯、動かせない体に残る痛み、見たこともない部屋そして……
片隅で壁に肩を預けて寝ている少年。
「な!?」
そうだ、この少年を私は知っている。獣に襲われていた私を間一髪で救ってくれたのはこの人だ。声を掛けようと眺めるように少年の方に顔を向ける。
染めずにしっかりとした黒い髪、可もなく不可もない平凡な体格の少年だ。顔見知りの人物では無いことは確かだった。
あれ、待ってこれ何て声を掛ければ良いんだろう。というか、体は動かせないし起こしにもいけないじゃん。向こうが起きるのを待った方が良いんじゃね?でも私だって色々聞きたいことあるし…
起こそうか起こさまいかあたふたとしていると少年もゆっくりと眼を覚ました。ガサゴソしていたから起こしてしまったようだがこちらとしては都合が良かった。
鈴はここぞとばかりに声を掛ける。
「あー…あのう……お、おはようございます」
「ん?ああ目が覚めたんだ。良かったぁ無事で」
少年はにっこりと笑顔を見せた。爽やかな笑顔に鈴も頬を赤らめてしまった。これぞ好少年って感じ。『好少年』という単語を思いだし、自分のことを好少年と称していたあの変態ドラッグ細男が頭に浮かぶ。
「どうしたの?なんか凄い渋い顔になってるけど」
「ああ、いえとっても嫌なものを思い出しまして。…で聞きたいことがあるんですけども」
「?」
「ここどこですか?貴方は一体誰ですか?この世界一体何なんですか?」
「私に一体何が起きているんですか?」
二人がやっと会話しました。ここから物語が始まります。