進路
遅くなりました。
「うううぅぅぅぅ…」
中野区-ファミレス
私、夜斗羽鈴は机に突っ伏し唸った。
元はと言えばコイツのせいだ…
「知らないよ!何なの進路進路進路進路進路進路ってうるさい!」
鈴の視線の先、忌まわしき紙をぐしゃりと握り潰し亜麻色に染まった髪を振り乱しながら前方へとぶん投げた。
べちっ!
怒りを籠めた一投。ぐしゃぐしゃに丸めた紙が一緒に食事していた一人の顔面に直撃した。
「はっ、そうだこの肩とコントロールがあればソフトボールで世界狙えるかも!!」
「狙えませんっ!」
元々不機嫌だった顔に紙くずを食らい、すかさず突っ込みを入れた彼女は親友の吹和こころだ。彼女とは小さい頃から親しく、今もこんなかんじでつるんでいる。
━べし!
「お前らうるせー、周りを気にしろ」
この気だるそうな金髪の少女も親友であり私たちの言い争いの粛正役の原良奈海である。
私たちは見た目からDQN集団に見られがち(実際そうかも知れない)の『女子中学三年生』三人組だ。JCである。JC3である。
そして現在、学校帰りに寄ったファミレスで私はこころたちに説教を食らっていた。
こころは呆れ顔で丸めた紙を丁寧に広げて治している。
「まー、でも確かにこころの言い分もわかんなくねーかな。アンタも将来のことそろそろ考えた方がいー」
「本当ですよ!このままだらだら引きずっててもどうにもなりませんよ!」
痛いところをことごとく突いてくる二人を鈴は髪を弄りながらチラチラ見た。
「えぇ…だから、そのぉ…だから私も二人と同じ高校行くって。ほら聞いた?きちんと考えてるでしょ、だから話は終…」
「それいつも言ってるやつじゃないですか!テンプレです、RPGの宿屋ですか、道具屋ですか!おざなりに返事しないで下さい!」
「やっ、宿屋なら『ゆうべはおたのしみでしたね』って言うレパートリーがあるし!」
「張り合うとこ違うだろ…つーかアタシらは同じ学校行くことを駄目っつーんじゃあない。あそこは特別だからアンタに合わないんじゃないかって…」
「あ!ああちょっと用事思い出したかも!ま、またね!!」
そういってそそくさと席を立ち出ていく。こういうときは逃げるに限る。
「あっまだ話は…」
「てゆーか…」
「「料金押し付けられた!!」」
***
「説教は先生だけで充分だっつの」
こころも奈海も私のことを親身になって考えてくれていることは知ってる。それが感謝すべきことであることも知ってる。
━決められない自分の心が弱いことも超知ってる。
自分でも解っているから、だからこそ変わらなければならないのだが、踏み出せずにいる。
『将来の自分』正直そんなものどうにかなると小さい頃の私は思っていた。なるように成る、と。
だけどそろそろ考えなければならない。
現在、日本いや、全世界で犯罪が多発している。何やらこの日本でも大きな組織が動き出したらしい。元々危ない組織が無かった訳ではなかったが増加してきているようだ。
ということで国はそれを取り締まる『警察』を必要としている。
通称『魔法警察』
魔法犯罪組織の抑止力である。
投稿おそくなりすいません。