第5話 お兄の同僚
「お前、そりゃ国内トツプクランの最前線メンバーだからな一応」
「へー」
「興味なさそうだな妹よ」
「興味ないというか実感がわかないというか」
「ああ、記憶障害のせいでか、なんかまあ、それこそ突然ダンジョンが日常になった世界に突然転移してきたみたいなかんじだな楓」
「…そうね」
感じというかたぶんそのまんまなんだけどね…とほほ。
「それにしても俺の絶剣とお前の零式、結局じじいは俺たち一族の呪いは立てていなかったか結局」
はい、なんかお兄が意味部下なことを言っていますが…まあこれは転移前からあった問題であって私のこのフファンタジーな世界への順応がそこそこ早かったのは、この一族の呪いともいうべきもののせいなんだよね…はぁ。
ユニークスキル[零式]…となっているがお兄の[絶剣]同様これらが、そんな程度の枠に収まる概念ではなく、恐らくこのステータスというシステムに表層部分だけで無理やりスキル化したものだろう。
「お、クランマスターからの呼び出しだすまん楓」
「了解、じゃあねお兄」
「おう!ちゃんと学校いくんだぞ!」
そう言って去っていた。
…学校ねえ?
その後退院した私は家に戻った。
なんと今の私は兄と二人暮らしらしい、父は新潟に単身赴任。
というかこの家、でかい。
家というより屋敷である、これを御年22歳のお兄が立てたというのだから驚きだ。
お兄から渡されていたカードキーで入門し、鍵を開けて…あれ?空いている。
不思議に思いながらも中に入る。
玄関には女性もの靴が一足、ということは来客かな?
そのまま人の気配がするリビングに到着する
ソファを見ても、誰もいない?
「あんたが翔君の妹ね」
「!?」
後ろからの声に驚きながらふりむく。
そこには
めちゃくちゃごつい鈍く輝くガントレットを胸の手前で打ち合わせこちらを見下ろす女性。
端的に言うと高身長クール系美人…みたいな?私も退部混乱しているようだ。
「あ、えーと」
「大丈夫よ、翔君からことのあらましは聞いているわ、良かったわ、元気そうで」
「…どうも、えーと」
「あら、私としたことか自己紹介がまだだったわね、私は星野心寧、翔君の同僚よ」
「同僚、ですか」
「そう、同僚ね…なのに翔君の奴私を置いてソロダンジョン踏破とか…全く」
なんかお兄が星野さんに迷惑を掛けたらしいが事情がいまいちわからない。
「はぁ、まあそれでも予定は予定よ、まずは…着替えて、いきましょう」
「予定?着替える?どこに、ですか?」
いやほんとにわかわかめ。
「ああ、このことも忘れているのね、簡単よ、どうしてもスキルが身に着けたい楓、あんたが翔君を通して、鍛えてほしいと依頼してきたのよ?」
「私が、がですか…でもスキルはもう」
「ええ、でもどうせスキルの使い方なんてほとんどわからないでしょう?」
「はい」
「なら、公共の場で暴発しないように慣らしおく執拗があるわよね?」
「そうですね…」
「ということでこのジャージに着替えてらっしゃい」
というわけで洗面所に行き着替えて戻ってくる。
「星野さん、着かえてきました」
「よしじゃあ行くわよ、地下訓練場に」
そう言うや否や、星野さんは近くの本棚をどかすると稚加栄への入口が見えてくる。
びっくりハウスだ!
そう言って入口に入り階段を下りていく星野さんを追う。




