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第3話 融合

「…また、か」

また天井の景色、ごつごつした岩。

取り敢えず頬をつねる痛い。

「よし、つまり現実!以上‼」

今の状況を理解できた、できてしまった。

あの電話相手が言っていたような無理やり情報を頭の中に入れられ強制的に理解できた。

ふと傍らにあったスマホを手に取る、そこには以下のようなメールが表示されていた。


(ここはダンジョンなるものなのだ!水瀬楓さん!意味が解らない?簡単なのだ!要はお約束のローファンタジーな世界なのだ。楓さんがいるのはダンジョンの下層なのだ。あ、これ以上が文字制限に引っかかるから端的にいうのだ、ダンジョン、魔物倒す、君強くなる、ボス倒す、脱出できる、なのだ!)

わぁお端的、すぎるはボケが。

だがこんなふざけたメールと植え付けられた情報により理解できてしまった。

要は非日常が来たということだ。

頭に植え付けられた情報を整理する。

…まず確認すべきは。

「え~と、ステータス?」

そう私が唱えると目の前にVRのウインドウのようなものが現れる。そこには…


【水瀬楓 種族:人間

 力   3

 魔力量 4/4

ユニークスキル

 融合

スキル

身体強化LV1】

…       ]

よし、率ダメ厳正はないタイプと見た!…と、じゃない。

「はぁ~だる」

うん、残念ながら大体状況を理解できてしまった。

まさか現国の成績以外でweb小説を読んでいた経験が生きるとは。

端的に言おう要するに

 突然ゲーム的になりダンジョンが現れた世界でダンジョンの下層スタートローファンタジーだ!!

「…問題は一般人がこんな状況に放り込まれたら普通に死ねるということだ!いやほんと無理です、たすけて」

よし!現実逃避終り!

どうせなら最後まで足掻くのが私、水瀬楓だ。

取りあえずスマホは…まあ無理かあのメール以降電波は来ていない。

となると来るかわからない救助を待つか、それとも…

「行動するか、か」

どうやらそれこそゲームのようにボスとやらを倒さないと脱出できないらしい。

そしてそのボスを倒すため強くなるには魔物?を倒す必要があるとか。

聞いた話では人間は中型犬あたりでも無手だと勝てないとか聞いたが大丈夫なのかな。

あれかな?爪楊枝持ったハムスターとか出てくるのかな?いやだって私が倒せそうなのその位では?


コツコツ


「!?」

後ろから足音、驚いて振り向くとそこには…

爪楊枝をもったハムスター…ではなく。


なんか棍棒を持った緑肌の直立二足歩行のサル。


あれだ、なんかゴブリンとか呼ばれてそうな感じの…

「ひやあああああああっ!?」

うん普通にビビりまくって叫んでしまった。

混乱した私、混乱しすぎて持っているスマホを全力で投げつけた。

その投擲されたスマホはゴブリンの頭に当たり…

「あえ?」


ゴブリンの頭を吹き飛ばした。


そのまま頭を失ったゴブリンの体は空気に溶けるように消滅していった。

[ゴブリンを倒したのだ 経験値21を獲得したのだ]

頭の中に響くなんとかもんボイス。

よし落ち着け落ち着け。

なんてことはない私は魔物を倒して強くなった、ただそれだけだ。

ただどうやってという疑問符が付く、ただの高校生の私が投げたスマホが、なぜ明らかにそこらの野生動物より頑丈そうなゴブリンを殺めるに至ったか。

「…ステータス」

【水瀬楓 種族:人間

 力   5

 魔力 3/6

ユニークスキル

   融合

スキル 

身体強化LV2】


ステータスが増えたのは魔物を倒して強くなったから。

現有魔力?が減って身体強化のレベルが上がっている?

頭に無理やりのねじ込まれた知識と比較する。

「…なるほど、そういう」

つまり今私はスキル身体強化を使い魔力を消費して腕力を強化、そうして投げたスマホの速度はゴブリンを殺めるに至るほどとなったと。

…そうだ冷静に考えると、普通の人間がツキノワグマより強そうな魔物と戦うんだ。

与えられた異能もそれ相応に強力なはずである。

脇に落ちていた手ごろなサイズの石を拾い投擲する。

ゆうに100マイルは超えていそうな速度で石は飛翔し壁に衝突し砕け散る。

「わーお、今ならサイヤング投手になれそう」

人類にはその知能のほかに他の動物に対して優れた能力がある。

それすなわち投擲だ。

「…方針は決まったわね」

なぜか生物を殺めたというのに何も感じない、が今は都合がいい。

ステータスを確認するが今の投擲で魔力は消費していない。

なら簡単だ、今の100マイル投擲攻撃ならきっとゴブリンに致命傷を負わせることができるだろう

「投擲暗殺作戦、開始よ!」











4

あれからゴブリンを遠距離から投擲で倒していった、その結果

【水瀬楓 種族:人間

 力   11

 魔力 9/18

ユニークスキル

   融合

スキル 

身体強化LV2】

嬉しいことに力が増すごとに現有魔力も少し回復するらしい。

よしこのままレベリングを続けて…あれ。

今更気が付いた、普通はもっと早く気が付くべきだった。

あれだけ運動(と言っても投擲だけど)をして恐らく数時間。

空腹も尿意も睡魔もどれも来ない…

心身共に非常に良好な状態のままだ。

なるほど、このダンジョンとやらは下手をすればゲーム以上に私に対して都合がよくできているのだ。

…ここが現実であるのはもう等の前に理解できた.

ならこんなことをしでかした奴の目的は?

主観になるがこんなことを行える文明は地球にはないつまり、宇宙人の仕業か?

…はぁ、これは考えても仕方がない、今はとりあえず脱出を優先しよう。

そのために行っている魔物狩り(なおゴブリンのみ)…これいつまで続ければいいだろう。

なまじ安定して狩ることができすぎて逆に出口が見えなくなている、あと流石にゴブリンを発見する数も落ちてきている。

ここで朗報あのメールの言っていたボスの位置はもうわかっている。なぜかってゴブリン狩りの途中にそれっぽい荘厳とも形容すべき扉があったからだ。

…落ちていた石ころを拾ってぎゅっと握る、すると石ころは粉々になる。

うん、人間離れした力になっている。

あ、あともうこのダンジョンの構造も大体把握できており、一層しかない。

ダンジョンの魔物はほぼ殲滅した、つまりこれ以上強くなるあてはない。

もっと強くなっておきたいが、例えば、この[融合]とか言うユニークスキルが気になるがどう使うかわからないのが…ね。

…行くか

水瀬楓!女は度胸よ!

というわけで来た道をさかのぼり例の荘厳な扉の前に到着する。

扉に手を触れると、ゆっくりと開いていく

恐る恐る中に入る。

体育館ほどの空洞だ。

そこには…

「なに、これ?」

てっきりゴブリンの強化版みたいなのが出てくると思ったのに。

そこにあったのは…黒々とした色々なものが混ざり合い溶けかたまったかのような物体。

かなりの大きさだ。

「これはな」

と言おうとしたときだった。

[警告なのだ!致死に至るレベルの放射線を検知したのだ!]

「…は、え?」

放射…線。

ならこれは、この黒い塊は!

私の父が発電所勤務だから知識はそこらの学部生より、ある!

「溶融燃料!?」

なぜ、そんなものが、いやそういえば、私が地上で最後にいた場所って…原子力発電所だ!

ダンジョンとやらはプラント如飲み込んだというの!?

[緊急なのだ!テスター保護のためテスター自身の魔力障壁に放射線をカットするのだ]

と暗い壁が私を覆う。

これは…それより…うえ、気持ちが悪い吐き気がする。

…やっちゃた、裸の溶融燃料の前で数秒野ざらし。

明らかに致死量の放射線を浴びている。

[警告なのだ、障壁の持続時間はあと1分なのだ]

…何分だろうがすでに私の被ばく量は致死量なのだ今更過ぎる。

はぁー、ここまでご都合主義って感じだったのにここにきて明確に殺しに来たわね。

まあ、そんなにうまくできないか世の中、いくらファンタジーになろうと世は無常ってね。

…いやまって?

「ステータス」

【水瀬楓 種族:人間

 力   11

 魔力 9/18

ユニークスキル

   融合

スキル 

身体強化LV2】


…そうだ、あるじゃないかなんかご都合主義っぽいものが

私は[融合]をタップしてみる、すると…




ユニークスキル[融合]

あらゆる物、概念と自身を融合し新たな存在へと至る








…これか。

明らかにヤバそうなスキルしかいこれをどうにかしないと私は死ぬ。

だから、もう、何をすべきかは決まった。

私は自らの拳で黒い障壁を破壊する。

何と融合するかは決まっていた。

視界が晴れる

目の前には…

一見は真っ黒な溶融物

それは最早人の手を離れ、最早コントロール不可能なもの。

それが放つ不可視の光は…今ここにいる、私の体に致命的なダメージを与え続けているだろう。

選択肢はない…やるしかない。

だから…私はそれに対して震える手を向けて…唱える

「融…合…!」

そう唱えた瞬間またもや私の意識は闇に沈んだ。



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