第1話 日常
長閑な…いや別にそうでもない田舎町。
一応関東ではあるはずのI県にある町。
そこが私、水瀬楓が今、住んでいる町。
「はぁ…めんどくさ」
明日の準備をしながらそうこぼす。
なにせ、明日は祝日だが高校の、まあ社会科見学?というのかな、がある。
「だる、明日は折角の推しキャラピックアップ日なのに」
…え?花のJKがなぜ休日の予定にゲームの話をだって?
ふっ、女子高生がどいつもこいつ、放課後休日カラオケだのなんだのっていうわけではないのだよ。
…主語がでかすぎたわね、某野獣の枕みたいに。
…多分回りは放課後、休日友人と遊んでいるのだろう。だけど…
まあ、察していると思うが私はボッチだ。
なぜかって、自慢ではないが…嘘、普通に自慢だが…私の容姿は一般的に言えば非常に優れ整っているといえる。
多分このまま東京の大学に進学して終活で無双して日経225の事務職になれるぐらい。
…
…
…
…うん、ここまででわかるであろう、私は非常に癖の強い性格をしている。
趣味もあれだし、まあ学校で浮くのは当然だと言えた。
だが別にコミ障というわけではないので中学の半ばまでは「普通の人」を演じた。
だから友達も普通にいた。
しかし両親の仕事の都合でこの町に引っ越してきて中学も転校してから…。
演じるのをやめた。
なぜかって単にめんどうくさくなったからである。
どうせ大学進学にあたって東京へ出るのだから、ここで無駄に「普通の人」を演じて気力を消耗することを嫌ったのである。
その結果、まあ普通に浮いた、なんせこちらがコミュニケーションを取らないのだから、相手のクラスメイトもどうしようもないだろう
というわけで絶賛ぼっちというわけだ。
…なに、女子でボッチは致命傷?…大丈夫死んでないから致命傷じゃない。
それに大学に進学したらまた「普通の人」を演じる、何故嘗て、こちとら色々と調べているんじゃい。
大学でボッチは講義や卒論、そして就活という情報戦をするうえで致命的だからね。
ということで、高校2年生の現在、存分に自由にボッチ生活を謳歌しているというわけです。
そんな孤高のボッチ(笑)系JKである私は勿論冒頭のような学校行事など行きたくない。
…だがそうは問屋が卸さない、例え高2春の時点でK塾の模試にて志望校A判定だろうと、良い内申をとって指定校で行くという道を残していたほうがリスクマネジメント面で有効であろう。
というわけであしたの社会科見学、いや発電所見学会は休めないのである。
海沿いの田舎町の発電所とどのつまり、アトミックな奴である。
「えーと、マイナンバーカードと…」
ホントにあんな入出が面倒くさい施設とか疲れるから行きたくないが内申のために出席率を落とすわけにはいかないのである。
…はぁ、めんどい。




