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支城からの報せ

翌朝、氏直が広間で家臣たちと朝餉を取っていると、急使が駆け込んできた。顔は青ざめ、手には泥と汗に汚れた書状。

「殿、急報にござる! 八王子城が秀吉の軍勢に攻められ、落城したとの報せ!」

広間に重い空気が流れる。八王子城は北条氏の重要な支城であり、北条氏照が守りを固めていた要衝だ。氏直は箸を置き、書状を受け取った。

「敵の数は?」

「三万を超える大軍と見られます。氏照様は城を守り抜こうと奮戦されたが、敵の鉄砲と大軍に押され、討ち死にされた模様……」


氏直の胸に冷たい感覚が広がった。北条氏照――叔父にあたる名将であり、八王子城を拠点に北条氏の北西を守っていた。史実でも、1590年の小田原征伐で豊臣秀次率いる大軍に攻められ、落城と共に命を落としている。悠真の知識が、その記憶を呼び起こす。

「他に動きは?」

「はい、韮山城にも敵の手が伸びつつあるとの報。伊豆方面からの圧力も強まり、支城が次々と孤立しつつあります」


松田康長が立ち上がり、声を荒げた。

「殿、八王子城が落ちたとなれば、小田原への道が開かれる! 救援を急がねば!」

「無駄だ」

氏直の声は静かだが、重みがあった。家臣たちが一斉に彼を見上げる。

「今、兵を動かせば小田原本城が手薄になる。秀吉の狙いはそれだ。支城を切り捨ててでも、本拠を守りつつ敵の勢いを削ぐ。それが最善だ」


松田が唇を噛む。「しかし、氏照様を失ったままでは……」

「叔父上の死は痛い。だが、慌てれば北条は滅ぶ。風魔が補給線を断ち、敵の足を止める。それで時間を稼ぐ」

家臣たちは沈黙した。歴史上の氏直なら動揺していたかもしれないが、悠真の冷静な判断が彼らを抑えていた。

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