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評定の席にて

屋敷の奥にある広間に、家臣たちが集まっていた。氏直として座を占めた悠真は、内心の動揺を隠しながら彼らを見渡した。顔つきから察するに、北条氏の重臣たちだ。歴史書で読んだ名前が次々と頭に浮かぶ。北条氏規、松田康長、そして風魔小太郎の名を口にしたあの男は、おそらく風魔忍者の頭領だろう。


「殿、秀吉の軍勢は既に駿河に集結しつつあります。数万の兵が小田原へ向かうとの報せです。どういたしますか?」

一人の家臣が緊張した声で進言する。悠真は一瞬目を閉じ、深呼吸した。現代の知識がここで試される瞬間だ。小田原征伐は、北条氏が籠城戦を選び、長期間の包囲で疲弊し、最終的に降伏した戦いだ。だが、悠真は知っていた。現代の城郭研究者として、北条氏の城が持つポテンシャルを。そして、それを最大限に活かす方法を。


「籠城は愚策だ」

氏直の声が静かに、しかし力強く響いた。家臣たちが一斉に顔を上げる。歴史上の北条氏直は、優柔不断と評されることもあったが、今の氏直は違う。悠真の知識と決断力が、彼を別の存在に変えていた。


「小田原城の縄張りは確かに堅固だ。しかし、秀吉の兵站を断ち、機動力を削ぐ戦いを仕掛ければ、勝機はある。まず、風魔に命じて敵の補給路を攪乱させろ。次に、城外での遊撃戦を準備する。俺が直々に指揮を執る」

家臣たちは驚きを隠せなかった。殿が自ら戦場に立つなど、前代未聞だ。しかし、その言葉には確信が宿っており、誰も反論できなかった。

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