ドットモルの谷にて 1
クリシェ達は旅の続き始める準備をする。
馬車が走り始める。長い時間緑が広がる平原を走り続ける。
ただ、その平原も終えて高い高い山の間の細い道を走り始める。
中腹の周りの道を進み反対側に出ると、だんだんと道は細くなっていき川が流れ始める。
馬車一台がギリギリ通れる真っ直ぐの道を進む。
私はすぐにわかった。川が流れ始めてから一本も木がなかったのに、不意に大きな立派な木が現れて、そこが叔父さんが落ちた場所だとすぐにわかった。
「あっここ、、、」
私がそう呟くと
シエル様は窓の外を見た後、私を見て
「大丈夫か?」
一言言う。
私は小さく頷いた。
だけど、とても怖かった。叔父さんが死んだ場所、そこで。今いるここが叔父さんの最後の場所だと思うと、呼ばれている様に近づきたくもなった。そのまま、落ちてしまいそう。
怖かった、水の音と風の音が心地の良い物で静かだった。
「シェ、、、リシェ。しっかりしろ」
シエルがクリシェの肩を掴んで声をかけ続ける。
クリシェは窓枠を触り、外を眺めている。
「シエル陛下。前の方で落石があったので、現在立ち往生している状態です」
人が1人通れる崖道を気をつけながら1人の兵士が伝達しに来た。
「ああ、わかった。皆に気をつける様にと、、、リシェ?」
バシャーン
クリシェは馬車の扉を開けて谷底に落ちていった。
「クリシェ様」
シャシャトが勢いよく谷の奥に飛んで行く。
「リシェ?」
シエルは追いかけようと飛び込もうとしたが、多くの兵に止められる。
「お前ら、俺はお前らの主だ。命令無視するつもりか」
そう言いながらも、兵達は必死に止め続ける。
「クリシェー。リシェ」