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ドットモルの谷の記憶

リシェが朝目を覚ますと


「おはようございます」


シャシャトが私の目の前で飛んでいた。

リシェがすぐに起き上がると、目の前のシャシャトにぶつかって、その小さな体はどこかへ飛んでいった。


「ああ、ごめんなさい。大丈夫ですか?」


リシェは少し痛い額をさすりながら、シャシャトの心配をすると、ふらふらとしながらも


「大丈夫です。びっくりさせてすいません」


と謝ってきた。


「いえいえ、急に起き上がった私も悪いですから」

「いや、今のはそいつが悪い」


ドアの方にリシェが目をやる。

そこには、シエルが立っていました。


「おはよう。目が覚めたか?朝ごはん準備してあるから、リシェ申し訳準備ができたらおいで」


シエルはそれだけ言うとさっさと行ってしまった。

シエル様はどうしてあんなにすぐに行ってしまったのだろう?とリシェは考えていると


「シエル殿は紳士です。リシェ様がすぐに準備を進める事ができるようにあんなにすぐにお戻りになったのでしょう」


シャシャトは頭を少し振って私に言う。

少しまだふらつきを残しながらもシャシャトは「私も」と言いながら外に行ってしまう。

すると、お世話する侍女の方が来て狭い馬車の中で準備を手伝ってもらい、リシェは外に出る。


「お待たせしました」

「いや、そこまで待っていないから安心しろ」


昨日は夜の森しか見えなくて、辺りが明るくなると雰囲気がとても変わっていた。朝を告げるように鳥が鳴く。

二人は朝ごはんを食べていると


「そういえば、シエル殿」

「なんだ、シャシャト?」

「この旅の目的地はどこなのですか」

「私の国だ」

「シエル殿の国?」

「ああ、私はカッツェシャ帝国の王だ」

「王様だったのですか」

「ああ、そうだ」

「今日はどちらまで進まれるのですか?」

「ドットモル渓谷を越え国境近くのマトベまで行くつもりだ」

「やっぱりドットモル渓谷を通るのですね」

「どうした?リシェ。ドットモルで何かあったのか?」


クリシェは何も言わずに下を向いていた。

それから、静かな朝食を食べ終わるとすぐに出発する。

緑が青々と深い森を越え、草や花が生き生きと過ごす平野に入る。


「リシェ、少し休憩でもするか?」


シエルは馬車を止めて、椅子や机を置きお茶やお菓子を準備した。

平野の真ん中でシエルとクリシェはお茶をする。


「叔父さんが亡くなった場所なんです」


クリシェはぽつりと呟く。


「叔父さんの最後手紙を書いた場所なの」


クリシェの手元には一枚の手紙を持っていた。その手紙は何度も読み返した後があった。


「王の子供一人は必ず翼を持つ者が産まれるのですが、私の父の兄弟の中だったら叔父さんが翼を持つ呪い子なのです」

「そうなのか」

「そうなんです。私の近くには叔父さんがよくいてくれたんです。家族が段々と怖くなっていく中で叔父さんだけが唯一心を許せる相手だった」


クリシェは思い出の棚から一冊のアルバムを取り出して読み上げるかのように優しい顔で話し始める。

クリシェはぽつりぽつりと母親の事、家族の事そして叔父さんの事を話し始めた。


「叔父さんは本当に優しくて私に本当に良くしてくれた。だから、今からそこに行くって考えると行きたくないって気持ちと行きたいって気持ちで私どうしたらいいのかわからない」


クリシェの手紙を持つ手が震えていた。


「クリシェ。行きたくないって思うならドットモルを通らない道を選ぶ事もできる。だけど、私は行くべきだと思う」


シエルはクリシェの手を取る。

青空の少し白い雲が流れるのを見ながら、風の音だけの静寂が流れる。


「い、行きたい」


クリシェは勢いよく立って言う。

そこで、突風が吹いて髪が乱れる。


「行こう。俺がついてる。どこまでも君、リシェの近くにいるから」


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