表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

企画参加の短編

あの日見た映画のDATとカセットテープの違いを異世界人は知らない

作者: ゆめみ

 なろうラジオの千文字企画です。企画キーワードを本文に入れてしまい、慌ててタイトルを捻り出しました。







 ここは異世界。吟遊詩人組合の事務所。


 理事はヘルメス。日本でいう道祖神で、四辻などの交差点に祀られる存在だ。そしてギリシャの神の常なのか、今日も女性トラブルに巻き込まれる。



「助けて!」


 扉を開けて女性が押し入ってきた。更に後を追って入ってきた男がヘルメスに因縁をつける。


「ここに逃げ込むってこたぁ、お前ぇがイロか? おうおうそんじゃあ落とし前つけてもらおうか!」

 

 ジーーーー、カチャッ


 そこへ部屋の奥からチャラそうなオルペウスが、トーガの隠しに右手を入れて奥から出てきた。


(……ごくり)


 一人乱入者の男だけが固唾をのんだ。助手であり弟子であり甥であるオルペウスがうんざりしながら叔父の前に出る。


「色? 見てのとおりさ。俺はチョコ食べるのを邪魔されて苛ついてるんだ。火力勝負でもしたいなら相手になるよ。俺は赤じゃないけどソコソコやるぜ?」


 この世界には魔法があり、髪色でおおよその使用魔法が予測できる。乱入男は赤茶の髪だった。


「お、おお。横入りして勝手にウタってるんじゃねぇよ。兄ちゃんは出すもん出しゃいいんだ!」


 乱入男は一歩引き、目を泳がした。


「なんだ。歌をご所望か。それじゃあ……」


「待て! それは出すんじゃねぇ。異世界なのに卑怯だぞ!」


 右手を隠しから出そうとしたオルペウスを乱入男が慌てて止めた。


「卑怯って、俺は歌うのが仕事だよ?」


 後ずさる乱入男を押入り女が訝しげに見ていた。


「まさかお前……オトリか?」


「お鳥? そんなことあるわけないだろ?!」


 この世界の主神は鳥神で人に变化することもできる。そんな存在と間違えられ、オルペウスは大声を上げて一歩前に出て、乱入男を掴もうとした。


「ひぃ〜、チャカだ! ズラかるぞっ!」


「待ってよ〜」


 お騒がせな男と女は去って行った。



「美人局かな?」


 オルペウスが右手の愛用の竪琴を机に置きながら言った。


「それよりこれはなんですか?」


 ヘルメスが花瓶の陰から四角い金属を持ち上げた。


「あぁダメですよ、勝手に再生しちゃ! それは地球の映画で見て買ってきたカセットテープレコーダーですよ。今日の対談に使うんです。」


「そうですか。……ところでさっきの女性は私の恋人でしたっけ?」


 女っ気のないオルペウスはため息をつきながらいった。


「多分あの転移者の男の仲間でしょ。」


「それですか。では私は道の神協会に行ってきます。」


「お勤めご苦労様です!」



 今日も異世界の神様は犯罪を一つ防止して、シマの平和を守っていた。





ワードが気になる方は「業界用語」で検索!

続きが気になる方は冬の童話祭2022『結婚式に妻を失った男が異世界でリトライ! 〜こと座流星群奇譚〜』へ。甥っ子の悲恋です。


 童話祭用に書いたものにラジオ企画キーワードが入っていたのでリンクしてみました。どちらも【異世界物語の設定は乙女ゲームでもWEB小説でもなく地球の神話シリーズ】のパラレル的なお話です。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冬童話2022「流れ星」
結婚式に妻を失った男が異世界でリトライ! 〜こと座流星群奇譚〜

ヘルメスとオルペウス登場作品
身代わりの乙女と迷宮の怪物
紫陽の女神と生命の円環

収納先
番外編 バードの歌

こちらもお時間がありましたらよろしくお願いします。


+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ