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67話〜一芝居

ガルドを挟みセルバディスとジルフォードは牽制しあっていた。

そこにマリアンヌとマルティスが現れガルドと話し始めると。

 ここはマルベールの街の南側に位置する近隣の森。ジルフォードがセルバディスに剣先を向けたままお互い牽制し合い動こうとせず、その2人に挟まれどうしたら良いのか困っていた。


 そして数分後、そこに何食わぬ顔でマルティスと顔を隠す為ベールを被り口を覆ったマリアンヌが3人の前に現れた。


「これはこれは、もしやガルド様ではありませんか?」


 マルティスがそう言うとジルフォードはセルバディスに剣先を向けたままマルティスを鋭い目でみた。


(コイツは確か馬車乗り場であったシャインスプラウトの大臣の配下の者。どういう了見だ?見ればこの状況が分かってねぇはずがねぇ。何を考えていやがる?)


 セルバディスもマルティスを横目で見ながら鋭い眼光を放った。


(この男と後ろの女は何者だ?見る限りだと私よりもかなり力が無さそうだが、何故そのように余裕なのだ?)


 ガルドはマルティスとマリアンヌを見ると、


「ん?そうだが、お前は誰なんだ。それにこの状況で話し掛けてくるってどういう事だ?」


 マルティスはジルフォードとセルバディスを見ないようにしながら、


「ガルド様。これは失礼いたしました。私はシャインスプラウト国、大臣モルケノフ=スタイン様の配下の者で、マルティス=ジェルマと申す者でございます。そして貴方様を探しておりました。」


(やはり、大臣モルケノフもガルド様を自国に取りこもうって腹づもりか。それで、コヤツを差し向けたって訳か。だが、何故こっちを見ようとしねぇ!)


(ふっ、なるほど。未だに人間同士、争いを繰り返しているという事か。愚かな事を……だが、何故だ?我々の方を向かずまるで気付いていないかのようにガルド様と話をしている。この男何を考えている?)


「俺に何の用がある?てか、用があるにしてもこの状況じゃろくに話も出来ねぇと思うんだが。」


「なるほど。ガルド様はお困りのご様子ですね。」


 そう言うと改めてジルフォードとセルバディスをみた。


「……おい!キサマぁどういうつもりだ!」


 ジルフォードはそう言うと、右手の剣をセルバディスに向けたまま、左手で短剣を抜きマルティスに向けた。


「コイツの言う通り。我々を無視しガルド様と直接話をするとは、どういうつもりだ?」


 マルティスは2人の恐ろしいまでの威圧感に一瞬心が折れそうになったが、何とか持ち直した。


「あっ、これは失礼しました。お二方がそこに居られたのは存じていましたが、ガルド様に真っ先にご挨拶をと思い、後になり申し訳ございません。」


(コイツ何のつもりだ?俺とこの魔族の奴に何の敵意も見せやがらねぇ。まして、俺は短剣とはいえ、剣先を向けている。何か裏があるのか、それとも馬鹿にしてやがるのか?)


「ふっ、なるほど。人間の中にも礼儀をわきまえている者はいるようですね。だが、その様子だと貴方もガルド様に用があると。」


 セルバディスは疑念に思いながらマルティスをみた。


「はい、そうですが。貴方がたもガルド様に用があるのですよね?それなら剣をしまい直接話された方が良いのではと思うのですが。それに私はガルド様を探す為、先程街で占い師を雇いここに来ました。もし、どうしてもガルド様に自国に来て頂きたいと思って居られるのであれば、この占い師にガルド様が誰の所に赴けば良いか占ってもらう。と、言うのはどうでしょう?」


「……なるほど。確かに下手にここで騒ぎを起こすより、良いかもしれませんね。」


「ふんっ!俺は気にいらねぇな。だが、確かにここで問題を起こす訳にもいかねぇ。」


 そう言うとジルフォードは剣と短剣を鞘に納めた。


(とりあえずここまでは何とか上手く行った。後はマリアンヌさんがこの2人の前で水晶を翳し眠らせるだけ。)


 ガルドはマリアンヌとマルティスに後の事は任せてあるのでその様子を見ていた。


 そして、マルティスはマリアンヌを呼んだ。


 マリアンヌは呼ばれマルティスの側までくると、セルバディスとジルフォードに軽く会釈をした。


「はじめまして、私は旅の占い師のマリーと申します。」


「これは何とお美しい女性だ。ベールに隠れ全ては見る事は叶いませんが、そのベールの奥から見える瞳は透き通り貴女の心の清らかさを物語っているようだ。あっ、申し遅れました。私はセルバディス=ディオと申します。」


「ふふ。セルバディス様。それはいいすぎかと思いますが。ありがとうございます。」


 マリアンヌは首を軽く下げた。


「私は、ジルフォード=ベックと申す。はて、マリーさんとは何処かでお会いしませんでしたかな?」


「いいえ。今日会うのが初めてのはずですが?」


(何なのこの勘の鋭さは!噂には聞いてはいたけど。ここまでとは思わなかったわ。気を付けないと……。)


(そう言えば先程ここに来る途中、マリアンヌさんが言っていたが。以前、城でジルフォードとあっていると。そうなると、やはり慎重にと行きたいが、気付かれる前に早く事を済ませた方がいいな。)


「ではマリーさん、私達3人の内誰の所にガルド様が赴けば良いのか占って頂きたいのですが。」


 マリアンヌは頷き、


「分かりました。では占いますね。」


 マリアンヌは水晶を取り出し2人に悟られないよう、最初ダミーとしてマルティスの前に水晶を翳した。


 その後、水晶を移動し呪文を心の中で言いながらジルフォード、セルバディスの順に水晶を翳した。すると2人は何故か眠くなって来て、


「……こ、これは……何故眠くなっ、た。マ、マリー、お前か?……いったいお前、は………。」


 ジルフォードは剣を抜こうとしたが眠気に勝てず地面にバタンと倒れ眠ってしまった。


 セルバディスもまた急に視界が歪みだし、


「……な、何と……こ、この私が、こんな手に引っかかるとは……ふ、不甲斐、ない………。」


 そう言うとセルバディスは頭を抱えたままそのまますっと地面に膝を付き前に倒れ込んだ。


「ふぅ、何とか上手く行きましたね。」


「ええ、そうですわね。一瞬ジルフォードのあの勘の鋭さには驚きましたけど。」


「マルティスにマリアンヌ済まなかった。一歩間違えれば危険な賭けだったはずだ。」


「ガルド様。勿体なきお言葉を頂きありがとうございます。」


「ガルド。ここから早く退散した方が良いと思うのだけど。」


「ん?ああ、そうだな。」


 そう言うとガルド達3人は急ぎマグド達の元に向かった。

読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)

とりあえずガルドとマルベールの街はマルティスとマリアンヌのおかげで難を逃れる事ができた。

では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)

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