66話〜惨劇を回避する方法
ガルドはジルフォードとセルバディスに挟まれどうやってこの場を切り抜けるかを考えたがどうしていいか分からず、通信用の水晶を使いマグドに相談する事にした。
ここはマルベールの街に隣接する森。ガルドはジルフォードとセルバディスに挟まれ身動きが出来ずにいた。
(どうする?力で押し切れば逃げる事は可能かもしれねぇが。下手に騒ぎが大きくなり、マグドの事がジルフォードにバレるのも不味いしな。ん?そう言えば、通信用の水晶があったな。)
ガルドはポケットに手を入れ水晶を持つとマグドに思念を送った。
“マグド聞こえるか?”
“………ん?ガルドか。ジルフォードを撒く事が出来たのか?”
“いや、ジルフォードを撒く事よりも、俺の目の前で面倒な事が起きそうなんだ。”
“それはどういう事なんだ?ガルド何があった!それに、今何処にいる?”
“今南側にある街の外の森にいる。だが、マグドがここに来るのは不味い。ジルフォードだけなら何とかなるかもしれねぇが。俺の目の前にセルバディスって言う魔族の者がいる。お前が王子だと分かれば、そいつはお前の首を狙うかもしれねぇ。”
“……な、何故そこに魔族の者がいる!?確かに俺がそこに行くのは不味いな。だが、そいつの狙いは俺ではなくお前なんだよな?……ガルド、何とかその場を凌げそうか?”
“凌げるかどうかは分からねぇが。ただ、ジルフォードとセルバディス2人が睨み合ってる。ここで2人がやり合ったら間違いなく街に被害がおよび、大変な事になるかもしれねぇ。それに、俺は2人に挟まれ動こうにも動けず悩んでるんだが。”
“そうかガルド。少しビスカ達とどうするかを話した後また連絡する。”
そう言うとマグドからの思念は途切れた。
ガルドはマグドと通信用の水晶を使い話している間に、ジルフォードはセルバディスに剣先を向け睨み付けていた。
セルバディスはジルフォードに剣先を向けられていたが動じず、仮面の下から見下すような目で見ていた。
そして、そのまま2人はピクリとも動かず無言のまま、お互い出方を伺っていた。
場所は移り、ここはマルベールの街の池の近くの白い建物と茶色の建物の間。グドルフはビスカ達にガルドから連絡があった事を知らせた。
「ねぇ、グドルフ。今セルバディスがここに来てるって言ったよね?」
「ああ、ガルドがそう言っていた。ビスカ、知っているのか?その魔族の事を。」
「……うん、名前だけね。確か魔族の中でもかなりの使い手だと、お父様が言ってたけど。」
「そうなると、ジルフォードとセルバディスがその森でまともにやり合ったとしたら。ただじゃ済まないのではないのか?」
「恐らくはそうなるでしょう。ガルド様は何と言われていたのでしょうか?」
「マルティス。確か、自分は大丈夫だろうが、このままでは街にも被害が出る可能性があると言っていた。」
「なるほど。流石は神に選ばれし者だけはありますね。瞬時にその2人の能力を感じ取る事ができるとは、ますます早く会ってみたくなりました。ですが、私がその場に赴いても構わないのですが。力の差は既に分かっています。さて、どうしたらガルド様をここにお連れする事が出来るのか?」
「確かにそうね。でも、ここでこうしていてもその2人を止める事は出来ないし。」
ユリィナがそう言い、グドルフ達はどうしたらいいか考えていると、ビスカがある提案をしてきた。
「ねぇ。あのさぁ。私が囮になっても構わないけど。それに本当は、セルバディスとは一度お見合い断っているから、私の名前を言えば分かると思うんだけどね。」
「いや、ビスカ!お前が行くより俺が行く方が、ジルフォードの気を引く事が出来る。」
マリアンヌは2人のやり取りを見ていて少し考えてから、
「……そうねぇ。それなら私が2人を眠らせた方が早いと思うのだけど。」
「マリアンヌ。そんな事が出来るのか?」
「グドルフ。出来るのは出来るけど。ただ、かなりのリスクを伴うのよね。これをやるには近付き水晶を2人に翳し、呪文を唱えなければならない。それに、やろうとしている事が相手に分かってしまうと、私の命が危うい。」
「……そうなると、確かにその2人にマリアンヌさんが近付くのはかなりのリスクを伴う。だが、お互い狙いはガルド様。そして、私もガルド様に用がある。これは賭けになってしまいますが。成功すれば確実に眠らせる事が可能です。」
「マルティス?何をしようとしている。」
「グドルフさん。簡単な事ですよ。私がマリアンヌさんとそこに赴きガルド様に話しかける。すると、2人は間違いなく私を警戒し狙ってくる。ですが、私はそこで敵意を見せず、ある提案をする。ただ、これはあくまで上手くいった場合の話になり、やはり、リスクを伴います。」
「なるほど、確かに私の方法よりも確実ですね。それに、この惨劇を回避するには、誰かがリスクを背負わなければなりません。ここは私とマルティスさんに任せてもらえませんか?」
「ええ、そうなりますが。この時にマリアンヌさんに上手く演技をして頂く事になります。」
「そうだな。その方法しかないだろう。すまないマルティスにマリアンヌ。よろしく頼む。」
グドルフは申し訳なく思い頭を下げた。マリアンヌとマルティスはそれを見て覚悟を決め頷いた。
マグドは通信用の水晶に手を翳し思念を送ると、マルティスとマリアンヌがそっちに行くとガルドに連絡した。
そして、マルティスとマリアンヌはガルドが待つ街の南側の外の森に向かい、ビスカ達5人は連絡があるまでここで待機する事にした。
読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)
ガルドの元にマルティスとマリアンヌが向かう事になった。
では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)







