59話〜ジルフォードとマルティス
ジルフォードはガルド達を探す為、馬車乗り場から離れ他に行こうとしたその時ジルフォードの前に馬車が停車しマルティスが降りてきた。
ここはマルベールの街。グドルフ達はカフェで休んでいたが、シャインスプラウトとマルベールを往復している馬車がそろそろ到着するかもしれないので馬車乗り場の方に向かっていた。
そして、グドルフ達は馬車乗り場の近くまで来ると見慣れた顔がそこにいた。
「……ビスカ、ジェシカ、レフィカル待て!!今馬車乗り場に行くのはまずそうだ!」
グドルフに言われビスカ達は立ち止まり離れた場所から馬車乗り場を見ると、
「グドルフ。確かにまずいね。ジルフォードが、ここに居る事をガルドに伝えないと。」
「ああ、そうだな。だが、どうやってガルド達を探す?」
「ねぇ。二手に分かれて探す方がいいんじゃないかな?」
「ジェシカ。なるほど、その方がいいかもしれんな。」
「二手に分かれるって事は、俺はいつも通り、ジェシカとって事だよな?」
「えっとさ、私はジェシカと行こうかな。探すだけだしさ。」
「まぁ、それでもいいが。あっ、そうだった。この通信用の水晶を渡しておく。使い方は分かるよな?」
ビスカは頷くと、グドルフから通信用の水晶を受け取った。
そしてビスカ達は、ジルフォードの事を警戒しながら二手に分かれガルド達を探しに向かった。
一方、ジルフォードは馬車乗り場の辺りをウロウロしていた。
(ん〜、ガルド様達はどこに居られるのか?それとも既に他の街に行かれたのか?もう少しその辺を探して居ないようであれば、ここからだとシャインスプラウトの方かリバーウッドの方に行かれたと思うが……まぁ、ここで考えていても仕方がない。)
ジルフォードはそう思いながら、その場を離れようとしたその時、シャインスプラウトからの馬車がジルフォードの前で停車した。
すると、ジルフォードは歩みを止め馬車の方をみた。
(この馬車は、シャインスプラウト行きのですね。今乗れば今日中には着きますが……さて、どうする?)
ジルフォードが考えながら馬車を見ていると、扉が開き4人の男女が降りてきた。
そして、その中にマルティスもいた。
(恐らくガルド様達は、まだこの街に居ると思いますが……。)
マルティスは馬車から降り辺りを見渡した。
そして、マルティスはジルフォードと目が合い話し掛けた。
「すまない。人を探しているのだが?シェイナルズからの旅の数名の男女なのだが見かけなかっただろうか?」
(ん?以前、どこかで会ったような気がするのだが?)
「これは人探しとは奇遇ですな。私も人を探してシェイナルズから来たのです。」
(はて?どこかで会っているような……それに身なりからして、まさかとは思いますが、シャインスプラウトの方から来たとなると、もしかするとガルド様を探している可能性は高い。ここは少し様子を見る事にしましょうか。)
「ほう、シェイナルズから遥々人探しですか。」
(シェイナルズから来たという事は、身なりから見て、城の者と考えられるが。まさかとは思うが、ガルド様を探すため……可能性は大いにある。用心に越した事はないな。)
「そうなのですが、シェイナルズをめったに出る事がなく、この辺の地理に不慣れのせいか、人を探すにも一苦労でしてね。なかなか見つからずどうしようかと思っていた所なのですよ。」
「それは、お困りのご様子で。ですが、私も人を探しているため、お手伝いができず申し訳ない。」
「それは構いませんが、先程、シェイナルズからの旅の数名の男女を探していると申されたな。私が探しているのも旅の数名の男女なのですが、探している者達が同じではないと思いますが、私の方はそう慌てて探す必要はありませんので、もし差し支えなければお手伝いしたいのですが。」
「それは……有り難きお言葉ながら、申し訳ないが、お断りする。それに、あなたの手を煩わせるほどの事ではありませんので。」
(まさかとは思うが、薄々感づいているというのか?やはりここは何とか切り抜けねば。)
「それは、残念です。あっ、そうそう、先程から気になっていたのだが、貴殿とは以前どこかでお会いしたような気がするのですが?」
(やはり、この男とは以前シェイナルズ城で会っている。確かシャインスプラウトの大臣の配下の者だったはず。もしそうだとすればやはりガルド様が狙いか。)
「申し訳ないが、恐らくあなたと会うのは、初めてだと思うが?誰かと間違えているのでは?」
(この男は、やはりシェイナルズ城の者か。私の顔を知っているという事は、以前モルケノフ様とシェイナルズ城に赴いた時に会っているという事になる。ここはしらを切り通した方が良さそうだが、どう切り抜ける?だがその前に、普通に話をしているにも関わらず。この男から先程から伝わってくるこの感覚はなんだ?まるで猛獣にでも睨まれているようだ。この私の身体が異常なまでに反応し震えている。この男は危険だとな。)
「これは失礼、あまりにも似ていましたので。それと、先程は顔色一つ変えていなかったようですが、急に顔色が変わったような気がするのですが、具合が悪いのでは?」
「いや、大丈夫だ。だが、申し訳ないが、やはり人探しは、私1人で充分だ。」
「分かりました。しかし、1つだけ忠告をしておきますが。もし今度会うような事があれば、どうなるかは分かってますよね。では、そろそろ探さなければ日が暮れてしまいますので、これにて失礼する事にします。」
ジルフォードはそう言いながら、マルティスを鋭い目で見た後、会釈をしその場から離れガルド達を探しに向かった。
(クッ……宣戦布告だと?ふざけるな!な、何なんだ、あの男は……シェイナルズの城の者なのだろうが、あの時あんな奴があの場に居たというのか?いったいどこに……ん?ちょっと待て、あの場には確か、警戒の強化をしているためという事で、三銃士も来ていたはず。……なるほどどこかで会っていると思っていたが、三銃士の1人か……流石に名前は忘れたがな。まぁいい、今はあの男よりも早くガルド様達を探すのが先だ!)
そして、マルティスはその場を離れガルド達を探すため、ジルフォードが向かった方角と逆の方角に向かったのだった…。
読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)
さて、この後ジルフォードとマルティスはまた何処かで鉢合わせするのか?
では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)







