50話〜狂気の剣士ジルフォード
ガルド達はスーザンに案内され人気の無い街道沿いにいた。
ここはロンテ村とティールの街の間に位置する街道沿い、ガルド達はスーザンに案内されここに来ていた。
この街道は、2つのルートに分かれており、ガルド達は人気の少ない道の方に来ていた。
……山を切り開いて作られた街道は、険しい崖に挟まれ、度重なる落石事故のせいで、この街道を利用する者は少なく、ほとんどの者がもう一つのルートを通る。
(んー、確かこの道は、ビスカの話じゃ危険とされ、滅多に人が通らねぇって言ってた筈だが?)
(ここって?何でこんな所を通ったのかな?やっぱりこのスーザンって人おかしい!)
するとスーザンはキョロキョロと辺りを見渡し始めた。
「この辺で襲われたのですが……。」
「そうなのですね。スーザンさん、何か手掛かりはみつかりそうですか?」
「うむ、何も無いようだが?」
「確かに何も無いようですね。手掛かりがみつからないのでは探すにも探せませんわね。」
「スーザンさん、本当にここで子供さん拐われたんですか?」
「そ、それは……。」
(クッ、まだなの?いったい何をやっているというのよ。こっちは準備出来たというのに。)
「聞きてぇんだが……。」
ガルドが言おうとしたその時……崖の上からガルド達の目の前に何かが、ドサっと落ちてきた。
スーザンはそれを見て驚き慌てて駆け寄ると、
「こ、これはどういう事なの⁉︎ギレン何があったというの?」
スーザンはギレンの側によると、生死を確認してみたが既に死んでいた。
ガルド達は一瞬何が起きたか分からずにいたが、直ぐに我に返り、ガルドはギレンの死体を見ると、額には、魔族の象徴である紋様があった。
「いったいどういう事だ?そいつは魔族なんじゃねぇのか?」
スーザンはガルドを睨んだ。
「クッ、だったら何だって言うのよ⁉︎でも、誰がギレンを?」
すると、崖の上から男が飛び降りてきた。
「フッ、これはこれは、まさかこんな所で魔族が狩れるとはな。」
マグドはその男を見るなり帽子を深々と被った。
(何故ここにジルフォードが、俺を探しに来たというのか?でも、何故三銃士が動いたのだ?)
……この男は、ジルフォード=ベックといい、シェイナルズ国の三銃士の1人だ。
普段は冷静で穏和な性格なのだが、一度剣を握ると人が変わったようになる為、他の者達からは狂気の剣士ジルと恐れられている。
緑色の髪で長く後ろで縛り、前髪は目よりも長く、右寄りのライン分け、大きめの帽子を被っている。
「お、お前がギレンを殺したというの?」
「ああん、なんだテメェは?そいつが俺の周りをチョロチョロしてやがるから、ちょっと遊んでやったら死にやがったがな。」
ガルドはスーザンとジルフォードを見ると、
(いったい何なんだ?スーザンとこのギレンは魔族で、最初から俺が狙いだった。そして、このギレンがここで待ち伏せをしている時に、こいつが通りかかったっていうわけか。だが、こいつは何者なんだ?)
「何者かは知らねぇけど、とりあえずその手に持ってる物騒なもんをしまっちゃくれねぇか?」
「私はユリィナ=モルグと言います。失礼ですが、貴方のお名前を聞かせて頂きたいのですが?」
ジルフォードは剣を鞘に納めると、
「確かに、これは失礼。先に名乗るのが礼儀でしたね。俺は、ジルフォード=ベック。シェイナルズ国の三銃士の称号をいただいている者です。それで、ガルド様はどちらにおいでですか?」
ガルドはジルフォードを見ると、
「俺がガルドだが、あんたはシェイナルズの者って訳か、なるほどな。そうなると俺が狙いか?」
ジルフォードはガルドの前で片膝をつくと、
「なるほど、貴方がガルド様なのですね。それでは、私とシェイナルズ城に来て頂きたいのですが?」
「シェイナルズ城に俺が?何で行かなきゃならねぇ。」
「勿論貴方様が、神と契約された方だからですよ。」
スーザンはジルフォードを見るなり、
「なるほど、お前はシェイナルズの……ガルド様は渡すものか!我々と来てもらうのでな。」
「ちょっと待て、クッ、俺はどっちにも行くつもりはねぇ‼︎ 」
「ガルド、これってどうするの?」
「流石に、状況があまり良くありませんわね。」
「うん、そうだね。どうするつもりかな、ガルド?」
「あーー、俺にどうしろってんだよ⁉︎」
ジルフォードとスーザンは睨み合いながら、口論していた。
そして、ガルド達はしばらく2人のやり取りを見ていたのだった…。
読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)
さて、ジルフォードとスーザンの口論が長く続く訳もなく……
では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)







