49話〜疑問
ガルド達はロンテ村の中を歩いていると、村の外から女性が息を切らせ近づいて来た。
ここはシェイナルズ国とピースバーグ国との国境沿いに位置するロンテ村。
かつて、この村は国境沿いに面しており、国同士の貿易の拠点として、かなりの人で賑わっていた。
だが、現在は隣国のピースバーグ国の国境沿いにマルベールの街が出来た為、この村に立ち寄る者が少なくなり、現地の若者も他の街や村に移住する者も増え、この村に残っている者は数十名しかいない。
そして、治安もかなり悪くなっていた。
かつての面影は無く、村はかなりさびれ、市場に売っている品物も数少ない。
村の整備もあまり行き届いて無いらしくゴミが散乱していた。
ガルド達はひとまずこの村で休憩をとる事にした。
そして村の中の異様な雰囲気を確認するかのように、ガルド達は歩いていた。
「それにしても。国境沿いにある村だと言うのに、やけに人が少ない気がするんだが。」
「確かに、マグ……あー、グドルフの言う通り、ちょっと人が少なすぎるね。」
「んー、おかしいわね?私が前にここに来た時は、もっと賑わっていたと思ったんだけど。」
「ユリィナは、前にもここに来た事があるの?」
「マリアンヌ。うん、何年か前に1度だけね。」
「そうなんだな。俺にはよく分らねぇ。だが、確かに、この村は俺がいた村よりも人が少ねぇみてぇだな。」
話しながら歩いていると、村の外から女性が息を切らせながら駆けて来て、ガルド達の目の前に来るなり、地面に座り込んだ。
「はぁはぁ、た、助けて下さい。子供が……。」
ユリィナは女性の側まで来ると手を差し伸べ、
「いったい、何があったのですか?」
女性はユリィナの手をとり、立ち上がると、
「あ、ありがとうございます。私はスーザン=パラエと申します。隣国のピースバーグのラゼンの街から、ティールの街に用があり、子供を連れて向かっていたのですが、途中で何者かに襲われ子供が拐われました。お願いです‼︎どうか子供を助けて下さい。」
「なるほど、子供が拐われた為、この村に助けを求めに来たという事か。」
「それは大変ですわね。お子様を助けてあげなければ。」
「んー………。」
ビスカは気になっていた。何故子供だけが拐われスーザンは無事だったのか。
ビスカはスーザンの心の中を覗いてみた。
(……ん?これって、何なの心が読めない⁉︎いったいどういう事?)
「聞てぇんだが?何で子供だけ拐われ、アンタは無傷なんだ?」
(んー、どうもしっくりこねぇ。何なんだ?この違和感は……。)
「それは……。」
スーザンはガルド達から目を逸らした。
「そういえば、確かにおかしいわね?何故子供だけが拐われたのでしょうか?」
「それは、私にも分かりません!気がついた時には既に子供が居なかったのです‼︎」
「まぁ、こんな綺麗な人が嘘を言っているとも思えない。ここは助けに向かった方が良いと思うが?」
「あー、えっとね。グドルフ……てか、どうするガルド?」
「ビスカ、そうだな。何かあまり気乗りしねぇが、助けに行った方がいいみてぇだしな。」
(まぁ、気にはなるが、何とか大丈夫だろう。それに、この村の者達の様子も何か異様なくらいに変だしな。)
「それで、お子様はどこに拐われたのか分かっているのですか?」
「あ、ありがとうございます。いいえ、それが何処に拐われたのかは分からないのですが。あー、でも、もしかしたら、その現場に戻れば何か分かるかもしれません!」
「そうなのですね。では、そこに手がかりを探しに向かった方がいいですね。」
スーザンは下を向きニヤッと笑った。
ガルドとビスカ以外はそれに気がつかなかった。
(やっぱり、この女……。)
(ふ〜ん、なるほどね!心は読めなかったけど、甘いわね。表情に出すとは……さて、どうするのかな?ガルドもこの女の人おかしいって気づいたみたいだけど?)
「ああ、そうだな。そこに一度行った方がいいみてぇだな。」
(そこに行けば何か分かるかもしれねぇしな。まぁ罠なら罠でかかってみるか。)
そして、ガルド達はスーザンに案内されその現場に向かったのだった…。
読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)
さて、スーザンの目的は何なのか?そして何者なのか?
では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)







