私のスカートは村で一番長い
つたない文章ですがよろしく
私の家には姿見がある
由来は良く判らないけれど
多分ドワーフ的な妖精種が作ったのではと思う
鏡の中の自分をじっと見る
私もエルフなのでそれなりの見た目ではある
頑張って笑顔でも作れば、多少の可愛気もあるだろう
前世基準であればだが
この集落の人々は両親も含めて
目鼻立ちがキリッとしていて顔の輪郭もシャープな美人揃いである
その中で私だけゆるい感じなのだ
ジャンルが違うというか違和感を感じている
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「あら、珍しいわね」
姿見のを見つめぼんやりとしていたら、母に声をかけられた
別に珍しくはないと思う、出かける前とかチラッと見てるし
母は化粧箱から木櫛をいくつか取り出して来た
きっと、髪をすいてくれるのだろう
その姿見の前で私は椅子に座らされ
なんだか上機嫌な母は私の髪に櫛を入れ始めた
こういうのは、何年経っても慣れない気恥ずかしい
「アルシェ、今日は何が食べたい?」
私は出された物を食べ、出された物を着るタイプなのだ少し悩む
「カグーのシチューがいい」
カグーはこの森に多く生息するもふもふの飛べない青い鳥である
動きはとても素早いが私以外のエルフなら子供でも狩猟できる
定番メニューというヤツだ、普通が一番良い
「良いわよ、後でお肉分けて貰ってくる」
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しばらく私は母になされるままにしていたが
「そうだ、お母さん」
「なーに」
「このスカート短くない?」
「普通よ」
私の衣服は母が全てあつらえてくれるのだが
今履いているこの一番新しいスカートの丈が
これまでの物より明らかに短い
足首丈から膝丈への移行は私的に厳しい所だ
「恥ずかしいので次は戻して」
「普通よー」
この母上様は取り合うつもりは無いようだ
この地域は一年中過ごしやすいし、森の中もあまり行かないので
長くても良いと思うのだが
「いっそのことズボンはきたい」
母の手が止まった
鏡越しに、笑顔の筈だった母が私を真顔で見つめていた
……これはやばいのでは
「あなたには、アルシェ。教えていなかったかしら?、エルフの乙女がスカートを着用するのは森の決まりなのよ」
「嘘でしょ!」
「嘘じゃないわよ、妖精大宣誓にもちゃんと書いてあるもの」
ちなみに妖精大宣誓とは妖精種達の憲法的な物だ
私は読んだことが無かった
「それにねスカート丈が短い程、精霊達の加護が高まるといわれてるわ」
ああそれでか、みんながんばってんなーとは思っていたよ
でも絶対騙されてるよね
このあと、条件交渉して短いのはたまにだけ使う事になった
夕飯は美味しかったです
ここまで読んでくれてありがとう
ブックマークしてくれた方がいて驚いてます
こういう事って、思っていたより嬉しいですね