心、3つ
あれからまた少し歩いたところで、俺達は次の街が視野に入るところまで来た。
「ところでアキヤ。次の街はどんなところなの?」
ハルカがアキヤを見上げながら聞いた。
「多分、前の街とは全然違うところだよ。荒廃してるって聞いた」
「荒廃?前の街とさして変わらない距離にあるのに何で荒廃しちゃうんだよ」
俺は殊更不思議だった。
近くの街と街にそんな差があるのかと。
「この国は街と街が独立してるからね。いくら近くって言っても経済状況や科学の発達具合は違うんだよ。習わなかった?ナツ」
アキヤが更々と説明するのを聞いて理解はしたが納得はしなかった。
1つの国なのに、その中で独立している街と街。
貧富の差が広がる一方である。
「……変な国だよな」
「まあね、仕方ない。これがこの国のあり方として定着してしまってるから仕方ないよ。大人達はもはやそれが普通になってるから何も言わないし」
普通に…か。
慣れって怖いな。
俺もいつかそうなるのだろうか。
「あっもうすぐだよ」
ハルカが前方を指差すと、街の入口が見えてきた。
だんだん近くなる街。
俺達は唖然とした。
「何…これ…」
ハルカが思わず声をあげる。
ここは本当にさっきまで俺達がいた街と同じ国なのだろうか。
街の入口からして明らかに雰囲気が違う。
寂れていて、空気が重く、何となく空まで不機嫌に見える。
どこの街も多くは塀に囲まれていて、入り口は4箇所ある。
そして必ず、この国の者であるという証を見せなければならない。
その証とはペンダントで雫型をしている蒼い石だ。
これにより人々は国の者かを判断する。
しかしこの街の入り口に証を確認する人の姿は無く、ガランと入り口の門が開ききっていた。
「何かあったのかな」
「そのようだね。いくら荒廃してるとはいってもこれは酷い」
門の奥に見えるのは何か大災害があったのではないかと思うような、民家の崩壊。
人々が苦しみと悲しみに染まっている姿だった。
「酷い……一体これは…」
足を踏み入れるとカチャリと音がする。
割れた硝子が地面に散らばっていて、それを踏みつけたようだ。
「とにかく、街の中央へ行ってみよう。国と繋がる施設があるはずだ」
「そうだね」
俺達は入り口付近から街の中央へと走りだした。




