プロローグ
「ナツ-!!朝だよ!!」
毎日同じ声に起こされる。
ハルカの声だ。
渋々起き上がり、服を引っ張り出し着替える。
「ちょっと!!私がいる前で着替えないでよ!!」
だったら早く出ていけよって思いながら着替えを済ませ、部屋を出る。
廊下を歩き食堂に向かう。
「おはよう、ナツ」
「ん〜おはよう」
声を掛けてきたのはアキヤ。
ハルカと同じ、俺にとってはイトコである。俺達3人は旅人である。
ハルカは母さんの妹の子で10歳。
子供のくせに妙にませててムカツク。
アキヤは母さんの姉の子で19歳。
スポーツ万能、容姿淡麗、眉目秀麗という俺の憧れ。
何でも出来るから言うことなし。
「どうしたのナツ。ご飯冷めちゃうよ」
「…あ!!ううん何でもないっ!!いっただっきま-す!!」
「全く…早くしなさいよ」
小煩いチビは睨みつけて無視だ。
「本当、15歳のくせにガキね」
「どっちがガキだ。このチビ!!」
「チビじゃないわよ!!まだ大きくなるもんっ」
「はいはい」
こんなやりとりは毎日だ。
そして大体そこにアキヤが止めに入る。
「はい、そこまで。早くご飯食べなさい。1時間後には出発するよ」
俺達が旅をする理由は、言わば修行である。
3姉妹の母さん達は有名な治癒師だった。
治癒師というのは、気で傷を直すもので、表面的な傷から心の傷まで癒す能力者なのである。
俺達はまだまだ完璧に能力を身に付けていない為に、母さん達の後を継げない。
その為に旅を始めたのである。




