孤児、王女様、騎士団長
当時、私は四歳だった。右と左をよく間違えるような、箸も正しく持てないほど幼かった。
クルル様は六つ上の十歳だったと言う。そんな年のましてや国王の娘である王女様が、何故に城下街に居たのか。
その理由は私がクルル様としばらく時を過ごし、一緒に城下街に行こうと誘われた時に知る事になった。
「え?だって父上は視察に行くのに私は駄目だなんておかしいでしょ?そうよね?ん?」
何度も強行突破しようとしたらしく、いつか勝手に行かれては困ると警備を厳重に強化してでのクルル様の許可が下りたらしい…。
十歳の女の子が城下街に行きたいとは遊びに行きたがる年頃だからと普通は考えられるだろう。しかしクルル様は違った。
私の様な者を救って下さった。その他にも治安を荒らす怪しい人間達を何人も摘発した。
正義感溢れる王女様は、私の、国の、誇りだ。
そんな王女様をお守りしたい。お守りする力が欲しい。どうしても欲しい。
そう思った私はその日から毎日騎士団の稽古に通った。何度も邪魔者扱いされたが、それでも何が何でもしがみ付いた。
そんな私を育ててくれたのが今の騎士団長であるダイザー団長だった。