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あけましておめでとうございます。

今年も宜しくお願い致します。


新年が明けたのにもかかわらず、これはいまだ、本編に入りません。

「はあー。どうしたらいいのかな? お先真っ暗だよ」


 昼の休み時間。遥は机に突っ伏して「うー」とうねっていた。


 あたしたちはお弁当を一緒に食べているのだ。遥は机を動かしてあたしの机にくっつけて、向き合った状態で食べた。


 それも終わってしばらく経った後に、遥が文句を呟きながら、このような格好になったのだ。あたしはお茶を飲みながら、「そういうもんだ」とだけ言いた。


 遥がこう文句言っているのは、昼食を取る前の出来事が原因だ。ちょっと職員室へ行き、先生にとある事情を話し、それによる返答があたし達にとってシビアなものだったからだ。


 どうして、何を、先生へ聞きに行ったか。大体その理由は察しつくだろうけど、まあ、これはまた時がさかのぼる。三限目の休み時間の事だ。





「あー暇だ」と、あたしは伸びをしながら言っていた。頭の後ろで手を組んだ。


 そうそう。入学式から一週間が経ったのだ。もうこの学校の生活に慣れてきたような気がしてきた。しかし、まだ行った事がない教室が結構あるので、新鮮気分は終わりを見せない。


 教室に入ると、何人かの生徒がいた。少ししか休み時間がないのに、人数が少なかった。他のクラスの人たちと廊下で話しているためだろうな。しかし、それでも騒々しいといえばそうだ。まあ、いくつものグループが別々の話をしているのだから当然だ。


 もう、友達選びは済んだはずだ。一週間も経てば確立されている。この段階での仲良しを見つけられなければこの先の一年はぼっち地獄と化すだろう。まあ、あたしはどうでもいいが。


 結局あたしは遥とだ。もちろん他にもいるが、遥と共にいる時間が多い。まあ、話せる相手なんて一人さえいればどうだっていいからな。


 あたしたちは自分たちの席に座っている。窓際で、外の景色が見渡せる場所だ。あたしと遥は出席番号が一つ違うだけだ。あたしが「お」で遥が「か」だ。窓際の席というのは、名前が早い人の特等席だ。日なたがとても気持ちがいい。暖かいしのんびりできる。外も見渡せるし。でも、外から見えるのはせいぜいグラウンドぐらいなので、体育の授業を行う生徒ぐらいしか見どころはないけど。


 あたしの後ろに遥が座っている。遥は一番後ろの席だ。あたしよりも名前が早い人が一人でもいればそうは席が遠くになっていただろう。運だな。


 遥は机に顎をのせていた。腕はだらんと垂れていた。そして、「うー」とうねり、憔悴しきった顔をする。授業でクタクタなのだろう。しかし、次でお昼だ。あたしは「もう少しだぞ。頑張れ」と頭を小突いた。


「お気楽ですね。美希ちゃんは。羨ましいよ」


 遥は生気のない声で言った。


「どこがだ。それと、しっかりしろ」


「もう、授業なんかつまんない。だるい」遥は足をじたばたさせる。「どうせならずっと自己紹介だけでいいのに」頬をふくらました。


「そっちの方が余計嫌だわ。だったら、ぼーっと聞いていた方がマシだよ」


 最初の授業は先生やまだ親しめていないクラスメイトに何かしらアピールする時間がある。あたしはそういうのが苦手だ。人前で話すと頭の中が真っ白になって自分が今何を言っているのか分からなくなる時がある。だから、当たり障りのないつまらない事を毎回言う。「よろしく」みたいな感じで、一言だけだ。


 遥は自分の趣味とかをばんばん臆面もなく言う。笑わそうとはしていないのだろうが、何故か笑いにつながる。それが馬鹿にされているかどうかは分からないが、本人はそれが嬉しいようだ。


 よくいる。狙って笑わそうとして盛大にスベるやつが。ああいう人って、休み時間トイレで泣くのだろうか。中学の時はパッとしなかったため高校デビューを狙うやつに限ってそうだ。まあ、誰とは言わないが。


「ねえ、美希ちゃん、暇?」


「何だよ。まあ、暇だ。暇すぎて死にそうなぐらいにな」


「死んじゃうの? やだ。私、美希ちゃんが死んだらもう生きてく価値がなくなっちゃう」


「そこは流せよ。というかお前の生きる価値が小さすぎだよ」


「えー。私は美希ちゃんにそれぐらい過大な評価をしているんだよ」


「それはどうも。褒められてるわけではいないけどね」


「ああー。間違えた」


 遥は頭を抱えた。


「大げさだな」あたしはくすりと笑った。「ところで、何が言いたいの?」と、あたしが訪ねた時だった。遥が、こう言ったのだ。


「美希ちゃん、ジャグリングの部活作ろう?」


「はい?」


 あたしは目をぱちくりさせた。突然何を言いだすかと思えば……。


 部活作ろう。という部分は納得できた。遥が入学式の時に行っていたからだ。それをあたしも了解していた。しかし、その前の単語だ。聞きなれない言葉が耳に入った。


「じゃぐりんぐ? 何それ?」


 あたしは記憶の中を探す。その単語を探りだす。しかし、出てこなかった。


「大道芸、って言ったら分かる?」


「あー。アレか。へー。そう言うんだ」


「まあ、ちょっと違うかもしれないけどね」


「違うのか?」


「まあ、でも、似たようなものだよ。大体、やっている事は同じだし」


「へー。しかし、何故にそれをチョイスしたんだよ」


「アレだよ。あの、入学式の時に、見たでしょ? 路上パフォーマンス。私ね、あれで、興味持っちゃったの。もう、それしか目が無くなっちゃった」


「あー」


 あたしはそういえばそうだったなと思いだす。遥は興味をガンガンに惹きつけられていた。こうなるのも、無理はないのか。


「しかし、やり方も何も知らないよ? 本当にそれでいいの?」


「今はネットとかもあるしね。それで何とかなるよ。私は、これと決めたら揺るぎないのは知っているでしょ? 別の部活にしとけばよかったなんて後悔はしないよ」


「まあ、そうなのな。分かった。それでいいと思うよ」


「本当! よかった。実は、道具とかも買ってあるんだ」


「どんだけ周到がいいんだ」


「あ、どうせなら美希ちゃんと一緒に買っておけばよかったな。まあ、いいか。貸すよ」


「サンクス。まあ、届いたら教えてね」


「うん! もちろんだよ!」


 遥は嬉しそうに笑う。


「それでさ、何の部活を作るかは決めたけどさ、どうやって部活を作るか分かる?」


「あ、うーん……。分からない。じゃあ、今から先生に聞きに行こうか」


 遥は立ち上がる。あたしはしばらく考えた後、「そうだな」と言って立ち上がり、遥と一緒に職員室へ向かった。





「五人だな。それと顧問、部室、それをまず用意しとけ」


 職員室へ行き、担任に部活を作るにはまずどうしたらいいのかを尋ねた。すると、このような条件を提示してきた。ずいぶんと適当な感じだった。


「じゃあ、顧問やってください!」


 遥が先生に明るい調子で言う。しかし、「他、当たってくれよ。俺は忙しいし」と、先生はぶっきらぼうに答えた。


「そこを何とか」


 顔の前で手を合わす。先生はため息をついていた。


「まず、メンバーだな。お前らで二人だ。あと、三人連れて来たら、な」


「じゃあ美希ちゃん! あと三人集めようね!」


「はいはい。それが出来たら苦労はしないよ」


「部活を新設した事例は意外にある。だから、何とか通るんじゃないか? だが、ちゃんとした目的がないと、通らないぞ」


「目的ならありますよ」


 それはあたしも初耳だった。


「まあ、それは俺に言わなくてもいい。とりあえず、条件をまず満たすことを考えろよ。本気で立ち上げたいならな」


「そうですね。分かりました」


 遥は肩を落とした。そうして、あたし達は職員室から出ていった。


「あたしと遥で、とりあえず二人は確保できているんだからひとまずそれでいいじゃないか」


「まあ、そうだね。でも、はあ。何か、先が見えないね」


 遥は珍しく、深いため息をつくのだった。





 そんな感じで、今に至る。


「まあしかしだな。何事も前向きに考えればいいんじゃないか?」


 あたしはそんな遥を励まそうとする。


「前向き?」


「そう。例えば、障害は多ければ多いほどそれを乗り越えた時の達成感はすばらしいものとなる、みたいな」


「あー。なるほど。さすが美希ちゃん。ポジティバーだね」


「ん? まあ、どちらかといえば遥の方がそうだろうけどさ」


「美希ちゃんの言うとおりだよね。何かを作るって事は難しい事なんだよね。それだからこそ、作り上げたときの達成感や快感が素晴らしい、のだよね」


「そうそう」


「よし! ヤル気出てきた」


「復活早いなー」


「にしし。それも私の取り柄だよ」


 あたしは嘆息した。まあ、いいんじゃないか。これで。


「とりあえず、あと三人はどうする?」


「まあ、幽霊部員でもいいというなら、適当に当たればいいだろうけど」


「私はそういうのはしたくないな。やりたい! って強く思っている人たちを集めたいの」


「まあ……そうだね」


「いい人はいないかな?」


「そう簡単に見つかったら、苦労はしないさ」


「だよねー。別に同級生じゃなくたっていいんだよね。先輩とかでも」


「それはそうじゃないか?」


「だったら一人ぐらいは、やってる人、興味がある人はいるでしょ」


「まあ、そうだね」


「うーん。でも、顧問と部室も厳しいよね」


「それね。うん。確かに。優しそうな先生をたぶらかすぐらいしかないっしょ。大体の先生はそういうのには関わりたくないだろうしね」


「顧問を落とせさえすれば、抱き合わせで部室もゲットできるかもね」


「それが理想だよな」


 あたしたちは、こんな感じで、話を進めていった。しかし、未だに具体的な策は生み出すことが出来なかった。


「あ!」


 と、遥が何かを思いついた。


「じゃあさ、学校でやってみようよ。昼休み使って中庭で練習する。そうすれば、嫌でも人の目につくでしょ? そうすれば、興味ある人は寄ってくるはずだよ」


「その案はいいよね。でも、初心者だし、恥ずかしいぜ」


「なら、練習すればいいよ」


「ま、当たり前の事だね」


「うん!」


 あたしは背もたれにもたれ掛った。


 なんだか、面倒くさいという気持ちと、面白そうという気持ちが入り混じっていた。というか、そもそもあたしは遥にやろうといわれているだけで、それを詳しく知らないでいるんだよな。こうなるのも当然か。


「そういえばさ、職員室で言っていたけど、目的はもう決まってんの?」


「うーんとね。でまかせ。まだ、ただ見てやってみたいって思っただけだから、正直まだ実感がわかないんだよね」


「実感がわいてから誘ってよ」


「てへへ。ごめんね。私、そういう性格だから」


「はいはい。それは知ってる」


「とりあえず、やることは山積みだね」


「ああ。そうだね。とりあえず、時間はあるんだし、ゆっくり一つ一つ問題をクリアしていく事だね」


「そうだね。うん。じゃあ、まずは部員一人ゲットを目指そう」


 あたし達は頷いた。部活動の結成の為にいよいよ動き出すのだった。




私は、大学でサークルを作りましたが、その時に必要な人数は10人でした。半分以上が名前を貸してくれました。部活を作るには、そういう工作が必要なんではないかと思います。

今回は特に説明はしません。

次回の本編はようやく、解説できると思います。

まあ、悩んでいますが、そういうことで。

では。

今年も宜しくお願いします。

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