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Feeling×Hopes!  作者: TT
タイカイの実情
2/2

その2

「ただいま帰りました……」


 卓球場から100mほどの寮。

 そこに私は暮らしていた。


 それなりの実力を持った卓球プレイヤーのみ入れることもあり、とてもキレイな寮となっている。

 入れる人数は6人、と聞けばいかに特別かは明らかだろう。

 団体戦メンバーしか入れないのだ。


「お疲れさん。6時間。相変わらず無茶してんなー。なんていうか……アホ?」


 時計を確認した後、にへらと気の抜けそうな笑顔を向けてきたのは、一つ上の二野(ふたの)先輩だ。

 腰までの長い髪の毛に、凛とした顔立ち、けれど丸眼鏡な上目が小さく、美しい顔とは言えない。

 ちなみにシェーク使いで中陣ドライブ型だ。


「アホじゃないですよ!もう。先輩こそギフトないのに練習量少なくないですか」


 少し苛立っていたのもあって、強めに嫌みな返答をしてしまう。

 けれど、この先輩のことだ。

 少しも堪えはしないだろう。


「『ギフト』……あ、才能のことか。そりゃあそんなん私にはないけど、別に困りゃしないしなー。便利そうだけどな」


 少し悩んだ顔を浮かべる。

 けれどそれもつかの間、また気の抜けた笑顔に戻り、笑顔で地雷を踏み抜くようなことを口走った。


「なんだ、また負け越したんか?」


 流石に頭にき、タオルで汗を拭いていた手がとまる。


「『また』じゃないです!勝ち越してるほうが多いですから!もう、先風呂頂いちゃいますからね!」


 拭いていたタオルを洗濯物いれに投げ込んで、すぐに着替えの支度を行い出す。

 その様子を見てか、二野先輩もクローゼットを開け、着替えの準備をし始めた。


「何付き合い悪いなー。先風呂といわず一緒に入ろうぜー」


「くるなら勝手にしてください」


「とか言いつつ、眼鏡外した私の顔を拝みたかったり?」


「私、好きな男性いるんで」


「美形を拝むのと、異性を意識するのは別もんだぜー」


「知りませんよ。て言うかそんなこと言うなら、いい加減コンタクトレンズにしたらどうですか?確かに目、ほんとは大きいんですし」


「レアだからいいんだろー。眼鏡によって小さく見える目、はずすとそこには美女が……!ってな」


「私にとってはレアじゃないですからわかりません。風呂上がりから就寝まで、いつも眼鏡ないじゃないですか」


「ちなみにコンタクトレンズで卓球すると、強くなるぜ」


「どんな現象ですか」


「信じるか信じないかは閑菜(かんな)次第だぜ」


 そう下らない会話を終えると、先輩がさてと立ち上がる。

 支度を終えたようだ。


 私もすぐに、準備していた着替えなどを持ち上げると、部屋の鍵を持って外へ出た。


「早く部屋出てください。鍵、閉めちゃいますよ」


 おーう今いくー、と返答が聞こえ、そそくさと二野先輩が部屋から出ようという行動が見てとれた。


 ふと、寮の出入り口から見える外をみると、いつもと代わり映えのない夕焼けが、キレイに映り込んでいた。




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