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プロローグ
「これは・・・。予想以上だな」
コンクリートの破片の上に立った一人の人間が呟いた。
その人間の見つめる先、ほんの数時間前まではなんの変哲もない平和な町だった場所は今や瓦礫の山になっている。
そこが赤く染まっているのは夕日のせいだけではないはずだ。
「このあたりに生存者はいないみたいよ」
上の方から声が聞こえた。
声の聞こえた方にはスコープを構えている別の人間がいる。
「そうか、じゃあ戻るか。ここにいても仕方ない」
「・・・・・・」
そこにもう一人の人間が音もなく現れた。
「殲滅終わったのか?」
その人間は軽く頷いた。
「ならさっさと引き上げよう。また湧いてきても面倒だ」
三人の戦士はその場から姿を消した。