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2話

エタっていた私に温かいコメントありがとうございます。消した箇所まで早く投稿できるように頑張ります!

 大和はそっと扉を押す。すると扉はまるでドミノの様に押された方向へバタンと倒れてしまった。ぶわっと舞い上がる埃に大和は顔をしかめ、鼻と口にマスクの様に薄く黒炎をまとった。


 入ってすぐに目に映ったのはベッドに横たわる1つの骸骨だった。骸骨型のモンスターかと大和は左腰のホルダーに差していた黒雛を抜いて正眼に構えた。切っ先両刃の黒い刀身が壊れた扉から入ってくる日光を受けて鈍く光る。



 ススっとすり足で1mの所まで近づいた大和は、剣先から紐の様な細い黒炎を出して骸骨に触れた。


 超能力で出した炎は使用者本人に繋がっていれば炎が触っている物の感触が感じられる。ただし、感触だけであって色も材質もわからない。硬さや柔らかさ位であればわかる。例えば、硬くて球状の形をしているのはわかるが、それがガラスなのか、鉄なのかはわからない。


 動き出す様子もなくただの骸骨だと感じた大和は炎を自身にしまい、黒雛を鞘に戻した。大和は骸骨の前に両ひざをつき両手を合わせる。


(この部屋にある使えそうな物を使わせてもらいます)


 改めて部屋を見渡すとかなり質素だった。机と椅子、暖炉とベッドが一つずつあるだけだった。が、机の上にボロボロの紙と小箱が一つあったのが大和の目に入った。 


「紙はボロボロだけど文字らしきものはしっかり書いてあるな・・・はぁ、やっぱり全然知らない文字だ」


 紙には日本語でも英語でもましてや大和の前にいた世界の言葉でもなかった。悩んでもへこんでも仕方ないと気持ちを切り替えた大和は、小箱を調べるために黒炎を紙の様に薄く温度は気温と同程度のものをだして小箱を包んだ。


 鍵穴はついておらず、黒炎で少し開けて、小箱の中には開けると何かが飛び出してくるような仕掛けはなく、指輪の様な形の物と、丸くそして、薄いコインの様な物に鳥の羽ような形した柔らかい物の3つだけだった。


 指輪だったら少しは売れるかも知れないし、コインはもしかしたら銀貨とか金貨かも知れないと大和は思った。黒炎をしまい小箱を開けると中には模様や宝石などないシンプルな銀の指輪と丸く平べったい眼鏡のレンズみたいなガラス、白い羽ペンようなものが入っていた。


「指輪は良いとしてこのガラスは何だ?」


 大和は小箱の中を見ながらガラスを取りだして目の前に持ってくると、ガラスに文字が浮かび上がった。


『翻訳の指輪』

 指輪の内側に魔力を込めて文字が彫られており、これを装備した者は、共通語と精霊語の読み書きと会話が出来る様になる。


「・・・さすがファンタジー」


 ガラスは物を鑑定する物みたいで骸骨を見てみたが、何も浮かばなかった。それよりも指輪だろう。


 言葉の問題に頭を悩ませていた大和だったがこれで大丈夫だろうと心が少し軽くなった。右手の人差し指にはめると指輪は縮み大和の指のサイズに合わせてくれた。


「これで手紙が読めるかも」


 手紙に目を通してみると内容が理解できた。手紙には


『楽しい人生だった恵まれた人生だった。世界中を旅し、仲間と共にダンジョンや巣に挑んだ。楽しかった。だが、一番心躍ったことは手に入れた魔道具やアイテムで仲間たちと村を造ったことだろう。まぁ、性分なのか仲間に村を任せて俺は性懲りもなく旅に出ちまったがな。さて、これを読んでいるお前さんよ、ここ物は自由に持って行ってくれ死んだ者には必要のないものだ。大した物はないがな。俺が旅でよく使っていた相棒達を小箱に入れてある。指輪はスキルがなくとも精霊たちと会話ができる優れものだ。必要がないと思ったら売ってくれて構わん。銀級ダンジョンのアイテムの中でも希少なアイテムだ。2~3か月遊んで暮らせるだろうよ。だが、鑑定の瞳は持っていたほうがいいぞ。こんな辺境に来るようなお前のことだ。きっと必要だろう。・・・自由に持って行ってくれと書いたが代わりに頼みがある。仲間と造った村の様子を見てほしい。見るだけで構わないからよ。転移の羽飾りは村のはずれに飛ぶように設定してるからな。頼むぜ』


「・・・・・・」


 羽を持ち上げ鑑定のガラスで見てみると


『転移の羽飾り』

 自身の真上に放り投げると、特定の場所に転移する。


 と書いてあった。手紙の中に気になる単語がいくつかあった。『ダンジョン』『巣』『魔道具』『アイテム』『銀級ダンジョン』『スキル』大和はこの世界がゲームの様なファンタジーの世界なんだと改めて認識した。振り返り骸骨に向かって大和は、


「ありがたく使わせてもらいます。ちゃんと村に行きますのでどうか安らかに」


 有用な遺品を譲ってくれた故人に感謝をした。同時にファンタジーな世界に来たという事にかなりテンションが上がっていた。


(魔法とか俺も使えちゃったりするのかな。手から魔法陣が出て火・・・は出せるからいいとして氷とか風の刃とか出せちゃうのか・・・)


 まだできると決まったわけでもないのにあれやこれやと妄想が進む大和。ひとしきり楽しんだ後は転移の羽飾り使うため外に出た。


「日本にいたころゲームで転移の魔法を使ったら、天井に頭ぶつけたてMP無駄にしたことあったからなぁ。リアルでやったらちょっと怖いし痛いだろうし、安全に外でやるとしようか・・・・・・懐かしいなぁ、あのゲーム。人気作品だったから新作いっぱい出てんだろうな」


 外に出た大和は、さてと、とつぶやいて手に持った転移の羽飾りを思い切り自身の真上に放り投げた。体を上に引っ張られる様な感じがしたと思ったら次の瞬間、体が上下左右あらゆる方向へ回転する感覚に陥った。


(たしか宇宙飛行士ってこんな訓練するんだったっけ?)


 あまりにもあれな感覚に薄れゆく意識の中で大和はぼんやりとそんなことを思いながら意識を失った。

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