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第22話:疑惑

 翌朝は村で眠ったときよりもすっきりと起きることが出来た。

 リデルは久しぶりに清浄な森の気を得たおかげでいつもよりも元気だ。しきりに洸野の能力のことを「すごいですよ」と誉めている。

 洸野の置き土産は森の他の場所でも影響が出ているらしく、空の探索を終えたエアルも彼のことを絶賛していた。

「メガリスまでの道が清浄な気で包まれています。昨日のままなら、今日中につけるか怪しいものでしたけど今ならば午前中にでも辿り着けそうです」

 エアルの言葉に理の眉根が少し寄る。

 いったいどれだけの無茶をしたのか、心配になる。彼のことだ、自分のことなど余り考えずに能力を使ったに違いない。

 自分たちを戻すために心配に無理をさせている現状をどうにか打破しなければならない。

 そのためにもあの紫水晶メガリスの元にいち早く近づくことが自分たちの使命だった。

「馬は1頭はもう駄目ですね・・・残り2頭で行きましょう」

リ デルはつないであった馬を確かめながらそう告げる。残りの道への時間を考え、余分な荷物をここに置いていき、人が2人乗れるようにする。

 簡易の朝食を済ませると彼らは置いていく荷物を一つにまとめて丈夫な布をかけ、リデルと威、エアルと理という形で分乗し、すぐに森の奥へと馬を走らせ始めた。




 近づくに連れメガリスの大きさがはっきりと判るようになった。

 色ガラスにも見える大きな塊がごろごろと大地に転がり、少し暗い色を含んだ水晶がこちらを監視しているようだった。

「前に来たときはこんな感じではなかったのに・・・」

 エアルは『巫女姫』に就任した直後、参拝した時のことを思い出す。

 メガリスは今と同じように大きかったが、その輝きは段違いに強かった。こんな暗い色の石など一つも転がってなかったような気がする。

 異変の最初は新しく就任した『光の神官』がこの地を訪れた時からだろう。

 度重なる異変・魔物の暴走。人を寄せ付けなくなった『聖体』メガリス。

 光の神官は何もしていないといっていたが果たして本当なのだろうか。

 第一、これほど強く響いている風の中の『ねがい』を聞き取れないあの男が光の神殿の最高神官であること事態が間違いの始まりではないかとエアルは真剣に思っていた。

 他のエレメントの神官たちが『彼の弟』の方がその座に相応しいと思っていても、神殿内の最重要事項に口出しできるはずもなく、エアルは始終歯がゆさを感じていた。


『排除セヨ・・・』


 その言葉はどこからともなく響いてきた。

 紫色の結晶の中に生まれた黒い渦が、澱みながらも力をためる。

『コレ以上、奪ワレル事ハ許サレヌ・・・排除ヲ』

 馬が異変に気づき、暴れ始める。

 理はなんとか馬を宥めるとエアルに降りるように言った。彼女が急いで降りると同時に理もその背から降り立ち、馬を開放してやる。

 こんな突き刺さるような憎悪の念の中で馬に正常でいろということ自体が無理だ。

 見るとリデルたちも同様に馬を下りていた。

「この先は徒歩だな」

 馬はきっとあの清浄な気で埋められた場所に戻っているだろう────そう信じて4人は更にメガリスへと近づく。

『排除・・・排除・・・』

 悪意の言葉は先ほどから引っ切り無しに続いている。

 いったい何が起きているのか解からないが、『彼女こえのぬし』は大切な『何か』を奪われたために狂ったようだ。

「やはり、光の神官が何かをやったのですね」

「それ、どういうこと?」

 初めて聞く内容に、理はエアルに視線を向けた。彼女は下を向くようにしながら、悔しそうに唇を噛んでいる。

「最高神官の職につくものは、必ず、メガリスと世界樹に挨拶に行くのが慣例です。もちろん私も一度ここへと来たことがあります。

 そして2ヶ月前、ある男が光の最高神官となりこの地を訪れました。それからこの異変が起こったのです」

 その言葉に理の目がすぅっと細められる。

「この水晶の核となっている金色の天使をその彼が盗った?」

「可能性がないとはいえません」

 金色の天使はこの世界を守り、水晶は魔の気に染まらぬように金色の天使を守っていたはずだ。

 それを無視して水晶の中の天使をさらったとすれば・・・この世界は守護の一つを剥がされたことになる。

『私の羽が、染まる前に、私を殺して』

 夢の中の天使はそう言っていた。たった二ヶ月で彼女の羽がどれだけ魔の気に染まったのだろう。

 少なくとも夢の中の彼女の羽はまだ白かったのが唯一の救いだ。

「光の王と闇の王は、メガリスの中の天使と深い関わりを持つ・・・ゆえにあの水晶の意識と接触できるのもあなたがただけだと言われています」

 エアルはやっと彼らをここまで連れてきた理由を告げる。それが彼女のすべき事柄だった。

エアルがやっと自分の行動理由を彼らにつげました。

彼女はずっと自分の世界を救うことだけを前提に動いてきました。それが紫水晶メガリスの暴走を止めることです。理と威がいやがったとしても地球世界との扉がそこにあるかぎり、彼らはやってくれると思って彼女はこれまで旅をともにしてきました。

ちなみにリデルは本当に何もしらずに付き添っています。

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