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018

ケニヤはライガの家のリビングで座り、目の前のノートパソコンで基礎英語の授業動画を開いていた。


――「現在完了形は――」


カチッ。


突然、テレビの音量が大きくなった。

マーカスがニュース番組にチャンネルを変えたのだ。


画面に、真っ赤な文字が映し出される。


BREAKING NEWS – JAPAN UNDER ATTACK


ケニヤは顔を上げた。


次の映像で、部屋全体が沈黙に包まれる。


京都にある大規模な軍事施設から、黒煙が渦を巻いて立ち上っていた。

コンクリートの壁は紙のように引き裂かれ、地面は焼け焦げ、雷撃の痕が無数に残っている。


震える女性キャスターの声。


――「約三十分前、仮面をつけたテロ組織が、京都の合同軍事基地を正面から襲撃しました」


――「初期確認によりますと……日本のトップ4、5、6のヒーローが戦死したとのことです」


ケニヤは凍りついた。


トップ4。

トップ5。

トップ6。


それは単なる数字ではない。

国家の象徴的な戦力だ。


――「さらに、百名以上のヒーローが重傷を負っています」


――「軍は撤退を余儀なくされました」


画面は、組織が自ら公開した映像へと切り替わる。


瓦礫の中心に、若い男が立っていた。


裾の破れた黒いマントを纏い、風に煽られて揺れている。

顔には、無機質な白い仮面。

そこに、青い稲妻のような一本の線が斜めに走っていた。


バチッ――!


小さな雷が、彼の身体の周囲で跳ねる。

荒れ狂うことはなく、異様なほど安定している。

まるで雷が、彼に従っているかのようだった。


低く、冷たい声。

変声装置を通した、わずかに歪んだ音。


――「日本は、腐りきっている」


ドンッ!


彼の背後に雷が落ち、残っていた監視塔を完全に粉砕した。


――「大きな家系がヒーローを支配し」

――「ヒーローが一般人を支配する」

――「そして一般人は……ただのゴミだ」


ケニヤの全身に、鳥肌が立った。


男は手を上げる。


呪文はない。

詠唱もない。


ただ、軽く握り締めただけ。


その瞬間、空気が震えた。


――「俺たちは、このシステムを破壊する」


――「政権を打倒し」


――「家系に縛られない国を作る」


彼の手の中で雷が凝縮し、やがて一本の雷槍へと変わる。

眩しすぎる光に、カメラが激しく揺れた。


――「ハンターと呼ばれる者たち」

――「かつて家系に捨てられた者たち」


――「俺たちの側に立て」


雷槍が地面に投げつけられる。


ドォン――!!!


映像内の基地全体が引き裂かれ、地面は亀裂だらけになり、衝撃波で映像が激しく乱れる。


動画は、最後の言葉で締めくくられた。


――「俺たちは《天罰》だ」

――「そして雷は……日本を浄化する」


画面が暗転した。


部屋は、重苦しい沈黙に包まれる。


ケニヤは唾を飲み込んだ。


――「トップ4、5、6が……」

――「一戦で殺されたのか?」


ライガが立ち上がり、珍しく目を曇らせる。


――「雷属性だ」


――「普通のレベルじゃない」


マーカスは拳を強く握った。


――「雷の制御能力……ほぼ完全支配に近い」


ケニヤは、暗くなった画面を見つめ続けた。


その脳裏に、背筋が凍る考えが浮かぶ。


こいつは……

ヒーローじゃない。


人の皮を被った、災害だ。

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