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黒の体は激しく震え、足が崩れ落ちそうになった。唇を噛みしめ、心臓は胸を突き破るかのように鼓動している。頭の中に響くのはただ一つの思い。




「あの化け物があんなに多くの人を粉々にしたのに…俺だけ見逃すはずがない。次は…きっと俺の番だ…!」




それでも黒の視線は戦場から離れなかった。ここに集まっているのは決して少ない狩人ではない。その中には、間違いなく数人の Sランクハンター がいるはずだった。その一人は長髪の男。今までずっと黙って立ち尽くし、恐怖など感じていないように見えた。もう一人は鷹の団の側で生き残りを集めて叫んでいた。




「なぜまだ動かない?何を待っているんだ…?」 ― 黒は震えながらも苛立ちを覚える。




その瞬間、空気を裂く閃光。


ドオオオンッ!!!




次の刹那、Sランクの男は姿を消し、風の渦だけが残った。気づいたときには、石像の左脚が爆ぜ飛んでいた。




「やったぞ!」 ― 叫びが上がるが、直後に灼熱のマグマが天から降り注いだ。二人目のSランクが石像の頭上に飛び乗り、両手を押し当て、熔岩を爆発させたのだ。




黒は凍りついた。


彼らが動かなかったのは恐怖からではない。状況を分析し、攻撃の機を伺っていたのだ。




「核は胸の赤い宝玉だ!!!」 ― 轟く声。




巨像は怒り狂い、全身に亀裂が走る。しかし赤い宝玉はまだ完全に姿を現していない。長髪の男が飛び込み、身体を強化して拳を叩きつける。岩が粉砕され、破片が飛び散るたびに、胸の奥で赤い光が点滅していた。




それは――彼の透視の眼が見抜いていた。あの中に核心があると。




巨像が暴れ狂い、剣を振り回し、近づく者を踏み潰す。土煙の中から岩の拳が唸りを上げてSランクを吹き飛ばす。次の瞬間、地面から巨大な剣が突き上がり、熔岩使いの胸を貫いた。鮮血が噴き出す。




「くそっ…もう猶予はない!」 ― 彼は叫び、握られた片腕を犠牲にして、その隙を利用し、核へ突進する。




残った腕で渾身の拳を叩き込む。骨は砕け、肉は裂ける。しかし、宝玉はついに半分ほど露出した。血に濡れたその瞳は炎のように燃え盛っている。




「皆、手を貸せ!!!」 ― 絶叫。




だが周囲の狩人たちは震え上がるばかり。石像の恐怖に縛られ、誰一人として前に出られない。絶望が広がる――




その時。


閃光が空を裂いた。


「シュッ――!!」




燃え盛る影が一筋の火矢のように突進する。速すぎて誰も正体を見極められなかった。




ドガアアアアアンッ!!!




その拳は宝玉を直撃し、轟音と共に赤い光が爆散した。




宝玉は――砕け散ったのだ。

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