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ジョン――最後の希望と呼ばれた男は、今や無惨にも頭部だけを残して粉々に砕け散っていた。血は地面に広がり、かつて燃えていた瞳は空虚に閉じていた。




その瞬間、大広間に戦慄の轟音が響き渡る。




「グゥゥゥ…ドン!!!」




巨人の騎士像はひび割れながらも、再びその肉体を再生していく。砕け落ちた破片は瞬く間に元へ戻り、まるで不死そのものの存在。むしろ先ほどよりも、さらに凄まじい殺気を放っていた。




大剣を握りしめ、一歩一歩進むたびに床が揺れ、地震のような衝撃音が響く。そいつは突如として群れに飛び込み、無慈悲に剣を振り下ろした。




「来るぞ! 盾を張れッ!!」




複数の魔導士が力を合わせ、巨大な光の防壁を作り出す。だが――




「ドォォォン!!!」




たった一撃で砕け散った。光の破片と共に後方の冒険者たちが斬り裂かれ、血が噴水のように吹き上がる。




「ひっ……ひいいいっ!!!」




悲鳴が広がる中、別のグループが反撃に出た。無数の魔力弾や矢が降り注ぐ。しかし、それはただ岩を叩くだけの無意味な雨。巨騎士の装甲は微動だにしない。




次の瞬間――




「ズバァァァッ!!!」




横薙ぎの一閃で十数人が一度に切り裂かれ、四肢が宙を舞った。床に叩きつけられた身体は血の海を作り、空気までもが鉄臭く濁っていく。




その惨状を、クローは遠くから呆然と見つめていた。全身が震え、冷たい汗が背中を伝う。これまでの試練とは次元が違う。これは――虐殺だ。




「くっ……!」




息が乱れ、視界が揺れる。逃げ場は? どこに行けばいい? 背後の出口はすでに閉ざされ、周囲には死体の山。




だが、ふと気づく。




――あの巨騎士は、人が集まっている場所ばかり狙っている。




群れに混ざれば、必ず巻き込まれる。




「……そうか。なら……!」




クローは歯を食いしばり、決断した。




「一人で動くしかない!」




仲間たちの悲鳴を背に受けながら、彼は群衆から外れて逆方向へ走り出す。心臓が破裂しそうなほど早鐘を打ち、肺は焼けるように痛む。それでも足を止めることはなかった。




孤独に賭けるしかない――そう悟ったのだ。

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