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三人の冒険者たち――クロウ、レン、そしてアオイは、放棄された鉱山の探索任務に挑んでいた。
協会の評価では、この鉱山は危険度が低いとされており、特に強敵や罠も存在しないはずだった。
だからこそクロウも気楽に考えていた。
「まあ…今回は問題ないだろう。」
ただし、採掘権を得るためには800ジャクを協会に支払わなければならなかった。
三人はそれぞれ分担して支払い、闇に包まれた坑道へと足を踏み入れる。
先頭を歩くのはリーダーのレン。
彼の掌に揺れる小さな炎が、暗闇を切り裂き道を照らす。
クロウはというと、両手を頭の後ろで組みながら口笛を吹き、
ときどき小さな火を壁に灯して光源を増やしていた。
「なあ、アオイ。」クロウが振り返り、軽い調子で尋ねる。
「君の一番得意な能力って何なんだ?」
アオイは少し考えてから答える。
「三属性の基本魔法は人並みだけど…特別なのは暗闇でも視認できる力と、普通の人より数倍遠くまで見える視力かな。」
「ほう?それは面白い。実際に見せてみてくれよ。」クロウは興味深そうに目を細める。
アオイは真剣な眼差しで前方を見据え、静かに言った。
「25メートル先に、分かれ道がある。」
レンとクロウは半信半疑の表情を交わすと、
レンが素早く火球を撃ち出した。
火球は一直線に飛び、壁にぶつかって炸裂する。
その光の中、確かに右側に狭い通路が姿を現した。
「なっ…本当かよ。」
「見事だな。」
二人は驚きと称賛の入り混じった目でアオイを見つめた。
三人はその右の道へと進んでいく。
しかしクロウの胸中には、ひっかかるものがあった。
「妙だな…まだ魔物も魔石も見当たらない。…まさか今回の依頼、完全に無駄足ってことか?」
その瞬間――
「前方に…大きな門がある!」
アオイが叫ぶ。
クロウは反射的に炎を生み出し、視界を一気に照らし出した。
光が坑道の奥を満たし、そこに浮かび上がったのは――
巨大な石の門。
門全体に複雑な紋様が刻まれ、そこから冷たく不気味な気配が漂ってくる。
クロウは思わず身震いした。
背筋に嫌な予感が這い上がっていく。




