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レンツは両手をポケットに突っ込み、大きく笑いながら余裕たっぷりに闘技場を後にした。


まるで、先ほどの勝利など取るに足らないことだと言わんばかりに。




観客席に座っていたクロは、眉をひそめ心の中でつぶやく。


「……もう三回戦だぞ。第一回戦じゃないんだ。なのに、あいつはまるで散歩でもしてきたかのように平然としている。」




――




その日、クロはハンター協会へと足を運んでいた。


このハデシュの街には数多くのハンターグループが存在する。その中でも特に名の知れたのはイーグル。大規模なチームではあるが、まだ国家ハンターグループには届かない。




国家に認定されれば、多くの特権を得ることができる。高ランク任務への優先参加権、自由な行動の保障、そして国家の庇護。


だが、クロにとってそれはまだ遠い未来の話だった。




クロはイーグルに応募すると同時に、十を超える中小グループにも加入申請を出していた。


ハンターの任務は必ずチームで行う決まりだからだ。安全を確保するため、単独行動は認められていない。




二日後――結果が届いた。


クロを受け入れたのは、たった一つの小さなグループだけだった。


大きなグループは、名も無き新人を仲間に加える理由などなかったのだ。




――




その新しいチームは、正直寄せ集めだった。


メンバーは、クロを含めて三人。




リーダーは二十歳前後の青年。二日前にこのチームを結成したばかりだという。


もう一人は同じくらいの年頃の少女。昨日登録したばかりで、即日加入したらしい。


そして今日、クロが三人目となった。




こうして、見知らぬ三人は突如「仲間」となったのだ。




――




ハデシュはソララ最大の都市と呼ばれてはいるが、必ずしも最も繁栄しているわけではない。


寒冷な大地が広がるこの地域で、生き残れるのは海に近い限られた区域だけだった。




軽く挨拶を交わした三人は、最初の任務を受ける。


それは――放棄された鉱山の調査と採掘。




難易度は低く、危険性も少ないとされる依頼。まさに、新米チームにうってつけの仕事だ。




「鉱山か……大したことはなさそうだ。でも、何か面白いものが眠っているかもしれないな。」


クロは胸の奥で小さな期待を膨らませ、静かに目を輝かせた。



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